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#2 宇治上神社参拝

ライオンズゲート

 ライオンズゲートなんていうことばすら、数ヶ月前には全然知らなかった。夏至とか秋分みたいに宇宙のエネルギーが満ちる時。8月は動く時って色々な人が言っていたけど、私の体感としてはなんとも身体が重くて動く気になれないなーって感じだった。そろそろ愛ちゃんに会いたいなって思いながらも、暑いしなーもうちょっと涼しくなってからでいいかなーなんて言い訳してた。でも、とりあえず連絡だけ取ってみよう。そうだ、明日は8月8日ライオンズゲート。連絡取ってみるにはちょうどいいタイミングかも。
 この前に会ったその日のうちに、ひらめいていたことがあった。次に会う場所。宇治。私と愛ちゃんの住むまちの間くらいで、私たちのビジョンの種が根付くいい場所はないかなって思った時、ひらめいたのが宇治だった。だからまずは、宇治上神社にご挨拶に行こう、と思った。
 2020年8月12日。連絡さえ取ってしまえばトントン拍子だった。このスピード感なんかすごいな。よし、ライオンズゲートの勢いに乗ってみよう。直感に従ったら一体何が起こるんだろうって、ワクワクした。

内側でうごめく不安の渦

 予定していたよりも早くに家を出れそうだ。そうだ、先に行ってちょっと宇治川べりを散策してみようとひらめいた。ちょっと気になっていた天ヶ瀬吊り橋。でも昼間に歩くのは暑すぎるし、またの機会の方がいいかななんて思っていたけど、朝のうちなら大丈夫かなって思った。
 愛ちゃんに待ち合わせ場所と時間の変更をお願いして、宇治駅から天ヶ瀬吊り橋に向けて歩き出した。30分くらいの道のりだし、気持ちよく歩けるだろうと思ってた。
 それが、10時すぎとはいえ、思った以上に日射しがきつかった。吊り橋、なかなか見えてこないしまだかなぁーと思っていると、見えた、やっと見えたー。ちょっと安心してちょうど木陰があったので休憩した。そしたら、だ。そこから動けなくなった。
 思った以上に暑さにやられてた。日陰で立ち止まっている分には大丈夫なんだけど、動こうとするとフラフラする。やばい、熱中症で倒れるんじゃない?私。いやいや、もうちょっと休んだら大丈夫でしょう?いや、でもいつまでこうしてる?愛ちゃんとの約束あるし。そうだよ、橋までもう少しだし、橋渡ったらたぶん木陰の道になると思うんだ。でもそこまでたどりつけるかな。倒れちゃったらどうする?ちょっとヒッチハイクでもしてどっかまで連れてってもらう?ていうか柵があって車道に出れないし。愛ちゃん呼んでタクシーで来てもらう?でもせっかく楽しみにしてたのに丸潰れになっちゃう。ちょっと落ち着け、こうして静かにしてたら大丈夫なんだ。きっと大丈夫だよ。そうそう、ほら落ち着いてきた。大丈夫なんじゃない?行けるんじゃない?よし、ちょっと先に進んでみよう。
 そうして、少し歩いてひなたに出てみると、クラっ。やっぱだめだ。すぐさっきの木陰へ引き返す。あぁどうしよう。どうしよう。やっぱり誰かに助け求める?あーどうしようー。
 うん、ちょっと落ち着いてみよう。おなかに、丹田に意識を集中してみよう。スーハー、スーハー。すると、自分の気が胸や頭に集中してることに気がついた。よし、気を下に降ろそう。しばらく呼吸に意識を集中すると落ち着いてきた。そうだ、今日は昼から雨って言ってた。いざとなったらこのままここにいてもそのうち曇ってきてなんとかなるだろう。なんて屁理屈が出てきて私を勇気づけた。よし、行こう。今度は大丈夫そうだった。そして少しだけ曇って太陽の光を穏やかにしてくれた。あぁ、神さまありがとうございます。そして、ひとりで気持ちよい散歩を味わおうとした、私の中の愛ちゃんへのちょっとした罪悪感もあったことに気がついた。あぁそうだったのか。

愛ちゃんとの再会

 天ヶ瀬吊り橋を渡ると、予想通り、木陰の道になった。さっきまでの暑さはやわらいで、気持ちよく森林浴ができた。さっきまでの不安や焦りはなんだったんだ?っていうくらい、体感が異なっていた。
 愛ちゃんから、約束の場所、宇治上神社に着いたって連絡が入る。まだそこまで距離があったけど、宇治川沿いに歩き続けると、朱色の橋の上に、愛ちゃんを見つけた。なんだかとっても素敵な場所だった。
 その観流橋のそばにあった興聖寺というお寺に行ってみることにした。琴坂という参道でまたちょっとさっきの不安がよぎったけれど、その後にはまたすばらしいことが待っていた。本堂に手を合わせてから中に入ってみるととても静かで落ち着いていて、そして結構広かった。参拝順路に沿って歩いてゆくと、それはそれは素晴らしいお庭があった。畳の部屋の前後に庭があり、外はあんなに暑くて倒れそうな気温なのに、自然の風だけでなんと心地よかったことか。私は思わず大の字になって寝転んだ。いつまでもそこにいれそうだった。ほんとうに身体も気持ちも安らいで、満たされて、身体を起こしてみると、そこには庭を眺めている愛ちゃんがいた。あぁ、私たちは"見守り、見守られている"関係なんだなぁとしみじみ思った。そして、私も静かに瞑想した。
 それぞれが、心落ち着いたころ、どちらからともなく話し出した。その中で愛ちゃんが、一番私に伝えたかったことから話すって言って最近気になってる本を紹介してくれたり、周りで起きてることとか話してくれた。そして、私と一緒にアートセラピーをやりたいって言ったそのひとことに、鳥肌がたった。私の自分軸にザクッと入ってきたから。私もやりたいこと。それを一緒にできる仲間がいるなんて、なんてうれしくて、ワクワクするんだろう。そして、そのために、まずは定期的に勉強会を開かないかって提案してくれた。この、無理なく始められる第一歩を提案してくれたのもありがたかった。
 私はどちらかというと、頭で考える人だ。だけど、今回は、そういうのじゃなくて、より自分の直感とかイメージとか、そういうのを大事にして、現実的にどうかとかはあんまり考えないようにしようって思った。だから、この前まいた種がどうなるのか、あまり結果を求めるというより、何が起きるのかのプロセスを楽しもうって感じ。そうしたら、思いの外ハードルは低く、でも確実に本質に近づきそうな、小さな小さな芽が出てきたような気がしてすごいなと思った。
 あまりにも心地よくて自然と波動が整って心がオープンになる。まさに、場のチカラだと思った。どれくらいそのお寺にいただろうか。1時間を優に超えたところで空腹を感じ、ランチを求めて次に向かった。

宇治上神社にご挨拶、そして不安の再来とデトックス

 福寿園で茶そばのランチをいただきながらも、愛ちゃんとの話は尽きなかった。ほんとなら、一番に参拝しないといけないだろうに、最後になってしまった宇治上神社の参拝。宇治神社にもご挨拶して、いざ宇治上神社へ。あれ?あまり書くことがない。それまでの出来事のインパクトが強すぎて、宇治上神社はさらりと参拝して終わってしまった。というか、たぶん14時半くらいの一番暑いタイミングで、長くいれなかったのだ。そこから宇治駅まで15分くらいの道のりだと思うけど、それだけの距離でもめちゃくちゃ暑くて。帰る前にちょっとだけ休憩しよう、と駅前の伊藤久右衛門のお店に入った。歩いている間はまだいいんだけど、やっぱり立ち止まるとダメだ。またフラフラした感覚が出てくる。さらに悪いことにお店があまりにも冷えすぎていた。身体が一生懸命ほてりを冷まそうとしているのに、お店の中が寒すぎて、身体は、え?冷ますんじゃないの?えっ?温めるの?どっち?みたいになってしまって、また調子が悪くなり、不安が再来した。せっかく並木良和さんの統合とかやり始めていたところなのに、いざとなるとそれどころじゃない。というか、そういう時こそ統合するチャンスなのに。その時は午前中のトラウマと、家に帰れるだろうかって不安の渦の中にいた。まさに、入り込んでいた。とりあえず、愛ちゃんにお願いしてお店を早めに出ることにした。やっぱりまた急激な温度変化だったけど、駅はすぐ前だし、暗雲が迫ってきていて、日射しはそれほどでもなかった。そう言えば、昼から雨って予報だったけど、全然降らなかったな。
 宇治駅でもまだ微かに不安は残ってたけど、なんとか保ちながら愛ちゃんと別れた。1本電車見送ろうかなって思ってトイレに行くと、思いがけず出るもんが出てスッキリした。そして、すぐに来た電車に乗れた。雨雲の中に向かって電車が走り出した。自分の中では今日1日で色んなことがあって、ヘトヘトだった。ライオンズゲートのエネルギー強すぎ。そして、この不安っていう周波数こそ私が手放したい大きくて重たいおもりだ。たぶんまだまだ出てくるんだろうけど、よし、手放すと決めるぞ!

つづく

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