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木のドリッパーでコーヒーを淹れる。#2

さて、木のドリッパーはどうやって作るか。
これ、木工をやっている人間なら意外に簡単に発想するかもしれない。
木の塊にまず垂直に穴を開ける。
穴径はv60と同じ18ミリ。
それを基準に円錐状に轆轤で切削加工。この様子は企業秘密なんでお見せできないのが残念。
角度は市販の円錐フィルターと同じにする。
簡単そうに見えるがかなり難しい技術。
全て手加工ですから。
木は樺と言う木を使っています。信州の高原によくある白樺の仲間です。もちろん国産。
緻密な木目が特徴です。

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さて、試作第一号がこれです。

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どうですか。いいでしょう。(笑)

内側のテーパー部には贅沢に漆を塗っています。
更には下面も。お湯が触れると思われる部分には漆を塗りました。漆には類い稀な耐水性があるのです。
塗っては拭き取るを繰り返す拭き漆と言う手法です。
これを5回。漆は黒呂漆と言う黒っぽい漆。
白木を見せたいので外側はウレタン塗装。
もちろん食品衛生法をクリアしたものです。

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では、早速コーヒーを淹れてみます。
すると、あれれ。
円錐フィルターの先端から下面につたって横漏れしてしまう。。これはダメだ。
うーん、形状に問題があるのだろうか。
ちなみにこれが下面。

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これは、横漏れしないように堰を作る必要がある。
轆轤職人さんとのやりとりが始まる。
私がスケッチ描いてトライしてもらうの繰り返し。
ちなみにほぼSNS上で打ち合わせができてしまうのは凄いと思った。今時だ。
やりとりのスレッドが後から見返せるのもいい。

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そして、最終的に横漏れ防止の堰はこうなりました。
外観が複雑な形状になってしまったが、これはこれで美しい。

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比べるとよくわかる。

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これで試してみたら結果は良好!
横漏れせずに安定してコーヒーが滴下されてます。
たったこれだけのことですが、設計図がないところから形にするのは本当に大変。
でもこれがものつくりの醍醐味!

ちなみに改めていろいろな既成品のコーヒードリッパーの下面を見てみると同じような工夫がなされている事に気づきます。
みんな悩んで考えてるんだなあとしみじみ思う。

まずは第一関門クリアです。よかった〜!

面倒な注文を引き受けてくれた轆轤職人さんには感謝です!ありがとう!

次回はリブの話 味の違いの話です。

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