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死ぬ間際に思い出すであろうこと

朝、2歳の息子が自転車ではなくベビーカーで行きたいと訴えてくるので、20分くらいかけて保育園への道を歩くことにしました。道すがら、クロアゲハが飛んできたので「見て、ちょうちょだよ」と指差し、ひらりひらりと舞うその様子を眺めていました。


ふと、「自分が死ぬ間際に『人生ってわりとよかったなあ』と思い出すとしたら、今みたいな瞬間な気がする」と思ったのです。ものすごく近くにあって、それなのにひとりでいたら全く知らなかった美しい瞬間を、子どもと一緒にいることで共有できた瞬間。間違っても、今日のタスクを予定の時間より前に全部こなせて気持ちよかったこと、とかを思い出すことはないでしょう。


でも短期的に見ると、毎日ちょうちょが舞ってる様子を見て充実感を味わってはいられません。近くを見たり、遠くを見たりを繰り返しながら、虫眼鏡で見つけた美しいものと望遠鏡で見つけた美しいものを組み合わせて、「自分っぽい人生」はできるんだろうな、と金木犀の香りを嗅ぎつつ考えました。

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