2021.6.12 FP1級実技試験part1
※模範解答ではありません。
※解答には間違いも含まれます。正答については各自でご確認ください。
※とても心の声がうるさい感じです。笑
――Aさんの抱えている問題点や、Aさんから相談されそうなことをできるだけ挙げてください。
「①資金をX社に集中させたいと考えていることについて、②X社にY社所有の本社兼工場土地建物を移転することについて、③長男Cさんへの事業承継、④自宅の建替について、⑤配偶者居住権について、⑥円滑な遺産分割、⑦納税資金の確保、⑧相続税額の軽減、⑨自筆証書遺言保管制度について、⑩長女Dさんへの生活の支援、です」
――はい、ありがとうございます。では、X社にY社の本社兼工場土地と建物を移転したいということですが、これはどういう目的でしょうか?
(あー、やっぱそこから聞かれるよなー)「…おそらくですが、現在X社は総資産に占める株式の割合が50%以上ということで、株式保有特定会社にあたると考えられます。Y社の不動産を取得することで、総資産に占める株式の割合が引き下げられますので、そうすることで株式保有特定会社でなくなるようにすることが目的だと思います」
――はい、そうでしょうね。株式保有特定会社の株式はどう評価しますか?
「純資産価格方式です」
――あと、S1とS2の合計の場合もあるね。とりあえず、株式の評価が高くなりますよってことね。
「はい」(よかったー!あってたー!)
――この場合、X社に不動産を売却した時の課税関係はどうなりますか?
「譲渡所得…(いや、譲渡所得って個人やん!法人法人!)あ、いえ、譲渡益に対して課税…」
――課税?されますか?
「譲渡益に対して課税…されます」(えっ、されるやろ?)
――うん、グループ法人税制っていうのがあるから、勉強しておいてね。Y社はX社の子会社だから、この場合は課税されません。
「あっ、そうですね、失礼しました」(あー!!そうだったー!!)
――では、長男Cさんへの事業承継はどのようにしますか?
「非上場株式の贈与税の納税猶予の特例を利用する方法があります」
――この場合、それを使うのがいいですかね?
(えっ、だめなの…?)「…長男Cさんはまだ経験不足ということですが、この特例を利用した場合、事業を継続する必要などがありますので、そういった点では利用の検討も必要かと思います」
――役員になって何年以上必要でしたっけ?
(えっ、Cさん役員じゃなかったっけ?いや役員やん…何年目かまで書いてたっけ…?)「役員になってから3年以上たっている必要があります…」
――そうですね、3年たってない可能性もありますね。
(あっ、そういうこと…?)「そうですね、その点は確認が必要です」
――いつまでにやる必要がありますか?
「2023年の5月…(ド忘れして自信なかった)までに、特例承継計画を作成して、都道府県知事の確認を受ける必要があります」
――はい、ちなみにこの特例のメリットとデメリットは何ですか?
「メリットは、全ての株式について贈与税の負担なく、無税で移転できることです。デメリットは、特例承継計画の作成による事務負担とコストの増加が考えられます。それから、事業を継続できなかった場合などは猶予された税額と利子税を合わせて納付する必要があることもデメリットかと思います」
――はい、ありがとうございます。自宅を建て替えるという話がでていますが、これについてはどうしますか?
「住宅資金の一括贈与を利用して、長男Cさんに資金贈与した上で、拠出した資金の割合に応じて共有登記することを提案します」
――なるほど、分かりました。配偶者居住権とはどのようなものですか?
「所有権と居住権を分けて考えるというものです。長男Cさんが将来自宅を相続した場合、妻Bさんが追い出されてしまうということも考えられますので、配偶者居住権を設定することによって、妻Bさんに所有権がない場合でも、終身自宅に住み続けられることになります」
――では、円滑な遺産分割について、まずどういったことが考えられますか?
「遺言書を、事前に相続人も含めて相談した上で作成するのがいいと思います」
――そうですね。自筆証書遺言保管制度の話もありましたが、これはどんな制度で、どんなメリットがありますか?
「法務局で自筆証書遺言を保管してくれる制度です。法務局にて保管されますので、紛失や改竄の心配がなくなります。それから、自筆証書遺言は相続発生時に検認を受ける必要がありますが、この制度を利用すると検認が不要になります」
――はい。ちなみに、遺言には他に公正証書遺言もありますけど、どちらを勧めますか?
(どっちとかあるん…?)「…個人的な意見になりますが、自筆証書遺言は形式などが厳しく決められていて、遺言自体が無効となることなどもございますので、公正証書遺言の方をお勧めします」
――分かりました。では、他には何かありますか?
「Aさんの資産は不動産が多く、また長男Cさんにかたよった分割となる可能性がありますので、代償分割を検討します」
――それにはどうやって対策しますか?
「長男Cさんを受取人とする生命保険に加入し、代償分割の資金にします」
――分かりました。税額の軽減についてはどうしますか?
「…小規模宅地の特例の利用を提案します」(←テナントビル土地が対象になるかどうか分からず、あんまり触れたくなかった。でも言わないわけにもいかないしな…)
――どの土地が対象になりますか?
「自宅土地を妻Bさんか、同居後に長男Cさんが相続した場合、特定居住用宅地として330㎡まで80%評価減となります」
――テナントビル土地はどうですかね?
(あー!!聞いてほしくなかったのにー!!持ち帰るか…!)「…事業用宅地になるかと思いますが、こういった場合に適用できるかどうかは確認して…」
――1階部分は?どうなります?
(いや、被せてくんの!?持ち帰らせてよ!)「えっと、特定同族会社事業用宅地…ですかね…」
――2階から上は?
「…貸付事業用宅地…?」(あてずっぽう)
――併用できますかね?
「…一定の調整を行えば併用できますが、今回は自宅土地に対しての利用で良いと思います…」(もうわけわからん)
――なるほど、こっちで使い切ってるからってことですね?
「はい…」(グッタリ)
――では、納税資金の確保についてはどうしますか?
「生命保険を活用します。生命保険金には500万円×法定相続人分の非課税枠がありますので、相続税額の軽減にもなります。今回の場合は1,500万円まで非課税となります」
――他には何かありますか?
「…X社株式を金庫株としてX社に買い取ってもらう方法があります」
――あー、そうですね。ちなみにテナントビルについては何かないですかね?
(えっ)「…テナントビルの土地建物をX社に売却する…?」
――そうですね。その場合いつ売るのがいいですかね?
(えっ)「…小規模宅地の特例を利用した場合は、相続税の申告期限まで保有している必要がありますが、期限後3年以内に売却すれば相続税の取得費加算が利用できます」
――そうですね、取得費加算ね。まぁ、多分この場合は、小規模宅地は使わないでしょうね。
(なんなんだよ)「はい」
――では、FPの職業倫理には何がありますか?
「顧客利益の優先、守秘義務の順守、アカウンタビリティ、インフォームドコンセント、コンプライアンスの徹底、能力の啓発です」(この辺でアラーム鳴りました)
――それら全て大事だと思うんですが、今回のケースではどれを一番重視しますか?
「インフォームドコンセントです。FPといたしましては、お客様にとって最善の提案をすべきと思いますが、実際にその提案を実行されるのはお客様です。お客様に納得感のないままで提案を実行いただいたとしても、お客様の満足度は低くなると思います。そのため、お客様に納得いただき、同意いただいた上で提案を実行していただくことが大切だと思います」
――以上で終わります。
「ありがとうございました」
最後までお読みいただきありがとうございました!