見出し画像

μ'sしか勝たんかったオタクがLiella!に見た輝きについて

私はラブライブ!無印が大好きで、これまでラブライブ!シリーズをずっと見てきた。
Aqoursの物語も、ニジガクの物語も追いかけていた。みんな可愛くてキラキラしていて、それでもμ'sほどはハマれなかった。
どこに優劣があるとか、そういう問題では無いと思う。Aqoursに関しては、一度地雷を踏んでしまいそれ以降意欲が下がってしまったが、どれもそれなりには楽しんでいた。
Liella!の誕生が発表されて、これまでのように何気なく動画を見た。衝撃を受けた。とてもときめいたからだ。
それこそ、μ'sの時のように。
そしてその衝撃は、アニメ1話を視聴してから確信へと変わった。

というわけで、私にとってのμ'sについてと、Liella!に見た輝きについて、書き留めてみたいと思う。
(前者がとても長くなったので、適宜後半まで飛ばし読みしてください)

1.私にとってのμ's

2016年4月1日。
映画館のライブビューイングで、その伝説とも呼べるステージを見てから、私はすっかりμ'sの亡霊と化してしまった。

ことあるごとに、更新されることのないμ'sの楽曲を聴き続けて、ファイナルライブの円盤を何度も見返した。100回以上は見たと思う、そしてその度に号泣した。
彼氏に振られた夜も、見た。振られた時には出なかった涙が驚くほどたくさん出た。

μ'sと出会ったのは大学受験の最中だった。息抜きにYouTubeを見ていたら、たまたま当時の新曲である「Music S.T.A.R.T!!」のライブ映像が流れてきた。
アニメは好きだったが、それまでアイドルなんてそんな興味なかったし、ラブライブ!のことも「にっこにこにー」と「かよちん」くらいの知識しかなかった。
そして正直舐めてた。オタクがちやほやしてるだけのコンテンツだと思っていた。
でも画面の中にμ'sが登場した瞬間、釘付けになった。気づいたら笑顔になっている自分がいた。
キャラを知っているわけではないのに、μ'sがそこに立って踊っていることに感動を覚えた。
けれどもそれから追っていたわけではない。受験もあったし、たまにYouTubeでライブ映像を見るくらいだった。

大学に入って、時間ができてアニメを見てみたら、どっぷりハマった。
高校は女子校だったし、部活で歌って踊ってたのでとても感情移入した。というか、「何かを頑張った」経験のある人なら誰しも感情移入してしまうのではなかろうか。

中でも第2期の伝説となったスノハレ回、ラブソングを作りたいが女子校で恋愛経験がないため作詞に悩むメンバー。
彼女たちが出した結論は、それぞれの「好きなもの」に向けたラブソングを作るのだ。それは「学校」であったり、「スクールアイドル」であったり、多種多様である。
同じく女子校で恋愛経験のなかった私には、この結論はとてもしっくりきた。
ラブライブ!シリーズを通じて「大好き」という気持ちはとても大切に描かれていると思うが、この回では特にその色が強かった。「大好き」の気持ちを大切に、μ'sはとても輝いていた。

キャラクターも皆とても魅力的である。
頑張りすぎて空回りしてしまう穂乃果、友達と一緒にいたくて夢とは違う道を選ぶことりちゃん、憧れているのに自信がなくて挑戦できないかよちん、過去の経験から人にキツく当たってしまう絵里ち、ストイックすぎて周りが離れていってしまったにこちゃん、「友達」や「仲間」にこだわったのんたん。しっかり者かと思いきやキュートな海未ちゃんも、素直になれないけど本当はみんなのことが大好きな真姫ちゃんも、みんなの一人一人の気持ちがわかったし、愛おしかった。

中でも私が一番感情移入し、後に唯一無二の推しとなったのは星空凛ちゃんである。
私も凛ちゃんも、小学生の頃の些細な出来事がきっかけで「女の子らしさ」が苦手になってしまった。
スカートは履けなかったし、髪の毛も短くしていた。

凛ちゃんは親友のかよちんの「凛ちゃんは可愛いよ!」という言葉で、自信を持つようになる。私もかよちんのその言葉に、救われた気がした。
凛ちゃんの側に行って、私も、私自身のために「凛ちゃんは可愛いよ!」ってたくさん言ってあげたかった。
だからそのあと凛ちゃんが可愛らしい、女の子らしい衣装を嬉しそうに着ているのを見るたびに、涙が出るくらい嬉しかった。
そしてその度に私は「凛ちゃんは間違いなく世界で一番かわいいよ!」と叫んでいた。

ラブライブ!の魅力といえばもう一つ、曲が本当に良い。
私は特にその歌詞に励まされた。
μ'sの曲を聴いていると、元気が出過ぎて涙が出ることがよくある。
不思議な感覚だが、心の奥の柔らかい部分に直接響いて、元気の塊のようなものをぶつけてくる感じで、とにかく涙が出てしまうのだ。
私が特に好きな歌詞をいくつか挙げよう。

「たまにはゆっくり君のペースで、やりたいことたち見つめてごらん そのあとがんばれ!」
-どんなときもずっと

「愛するって歌うことかな 想いをみんなへ 伝えたい願いのこと いっぱい声を出すんだ大きな声出すんだ それが僕らの表現さ」
-Super LOVE=Super LIVE!

「悔しいなまだNo brand 知られてないよNo brand なにかもこれから熱い気分」
「壁は壊せるものさ 倒せるものさ 自分からもっと チカラを出してよ」
-No brand girls

「諦めない限り奇跡は何度でも起こるんだ 君にはもう伝わってるよね 諦めない 本気で夢を描くんだよ」
-A Song for You! You? You!!

キリがないのでここらで止めておくが、どの曲も本当に素晴らしいので聴いたことがなければぜひ。

2.μ'sの好きなところ

なぜここまでμ'sのことが大好きなのか、ストーリーも曲もそうだが、Aqoursやニジガクにはない明確な理由がいくつかあると思う。

①それぞれの個性が際立っていること
μ'sは9者9様、性格も見た目もかなり違う。中でも一番特徴的なのが、歌声が全く違う。
少し慣れれば誰が歌っているかすぐ分かる。この点に関してはAqoursやニジガクにはない特徴だと思う。
私は特に凛ちゃんの歌声が好きである。推しというのもあるが、可愛い声と特徴的な歌い方、ライブでのりっぴーの安定感が大好きである。

キャラクター性もみんな違ってみんな良いから、不思議なほど9人の人気順が明確ではない。私の友達も、みんなそれぞれ違う子を推している。満遍なく人気なイメージが強い。

②キャストの歌やダンスが上手ではないこと
意外に思えるかもしれないが、私はこの点をとても魅力的に感じている。
μ'sは「人前で歌やダンスをすること」を前提に作られたグループではないため、キャストの中には得意でない方もいる。
あくまで個人的な意見だが、私はラブライブ!にそもそも歌やダンスの技術的な上手さを求めていない。
求めているのはそれぞれのメンバーの魅力であり、共感でき、元気をもらえて、そして心から愛せることである。

μ'sはAqoursやニジガクに比べて、もしかしたらパフォーマンスの技術的なクオリティは低いかもしれない。
でも9人全員が、6年間全力でμ'sであり続けてくれたこと、そしてその姿にいつも心動かされていたことは私にとって大きな魅力だった。

特に南條さんは、最後の一年は膝が悪く紅白歌合戦にも出れなかった。それでもファイナルライブでは、数曲だけだが、絢瀬絵里「と一緒に」ステージに出てきて踊ってくれた。ライブ一曲目の「僕らのLIVE 君とのLIFE」で南條さんの姿が見えた時の感動は今でも忘れられない。映像見ただけでも号泣できる。
そしてキャストが本当に仲良しなのも微笑ましい。

③センターの存在
μ'sは、「みんながセンター」をモットーにしている。もちろん主人公格である穂乃果がセンターの曲が多いが、「穂乃果がセンター」と決まっているわけではない。
ラブライブ!のシングル曲センターは代々ファン投票によって決まるのだが、μ'sのシングル曲はセンターが大サビや盛り上がりの部分で印象的なソロを歌うくらいで、それ以外のメンバーもそれなりに歌う。
(先述したAqoursの地雷ポイントとは、この点が異なるというところである。個人的な好みなので悪しからず。)

それ以外の曲ではやはり穂乃果が盛り上がりを担当することが多いが、その穂乃果の存在感が圧倒的である点もまた好きなポイントである。
実を言うと私は穂乃果というキャラがあまり好きではない。一人突っ走ってみんなに迷惑をかけるのは、私の性格には受け入れ難いことだからだ。
それでも穂乃果の歌声は本当に大好きである。元気が出るし、ラブライブ!そしてμ'sを象徴する歌声だと思う。
それでいて、穂乃果以外がセンターの曲も、雰囲気がガラリと変わって素晴らしい。誰がセンターに来ても「良い」のが最大の魅力だろう。

3.ありがとう、μ's

そんな大好きなμ'sも、ファイナルライブで終わりを迎えてしまった。
キャラのみんなが決めたから、キャストもそれを追いかけるというのは、最後まで彼女たちらしい決断であった。
後にも先にも、あれほど感動的で、会場全員の気持ちが強く繋がったライブは無いと思う。
映画館で、1曲目から照明が上がるその瞬間まで、号泣しながら、訳もわからなくなりながら、「ありがとう」と叫んでいたのを覚えている。

ファイナルライブ、東京ドーム。
あの会場の一体感。
μ'sは間違いなく、「みんな“と”叶えた物語」だった。

そして最初に書いた様にその後すっかり亡霊となっていた。最初の1〜2年は音沙汰もないし、悲しかった。
久しぶりにえみつんがイベント登壇した時は、本当に泣いた。また穂乃果が見れただけで、幸せだった。
その後は様々なイベントに少しずつ登場してくれたり、アプリゲームでは新規ストーリーも追加されていった。少しずつまたμ'sに会えて、嬉しかった。

そんな私に訪れた転機は、「ラブライブ!フェス」であった。
私が布教しラブライバーとなった友人が、チケットを当ててくれて現地参戦できた。初の生μ'sである。
ステージ上に9人が現れた時、信じられないくらい泣いた。初めて会えた、またみんなに会えた。
トロッコでりっぴーたち1年生キャストが目の前を通って、吐きそうなくらいドキドキした。
何回も家で練習したスノハレの色替え。初めて現場でできた。オレンジの光の一つになれた。胸がいっぱいだった。
終演後、近くの席の名も知らないおじさんと興奮しながら「μ'sやばかったですね!」と喜び合った。

しかし、AqoursもSaint Snowもニジガクも、可愛かったし素晴らしかった。彼女たちが真摯にμ'sの背中を追いかけながら、μ'sとは違ったベクトルで自らの輝きを追い求めている姿を見て、私の中で何かが変わったと思う。
それはμ'sの亡霊としての呪縛の様なもので、μ's以外が「ミトメラレナイワァ」だった私も、μ's以外を好きになってもいいのかも?と思えるようになった。
アプリゲームでμ's以外の子のカードを引いても、少し嬉しいと思えるようになった。純粋に、新曲が出たら聞いてみたし、どこかで見かけたら応援するようになった。
でもだからといって、その後もAqoursやニジガクのことをμ'sと同じ温度で応援できるわけではなかった。

そんな中で発表されたのが、Liella!の結成だった。

4.「始まりは君の空」

デビュー曲が公開されて、早速動画を見た。
これからの希望やフレッシュさを全面に押し出しながらも、メロディーは少し切なげ。
あぁ、ラブライブ!だな、と思った。

二番に入り、ふと耳に留まる歌声。
「面白そうなことがあったら 挑戦しちゃえばいいんじゃないかな」
あぁ、これだ、と思った。
そっと背中を押してくれるような畑亜貴さんの歌詞に、伸びやかな明るい歌声。
凛ちゃんの声にも似てるけど、また違った魅力を持つ、「好きなタイプ」の声だった。
急いで調べた、この声の持ち主は、どうやら澁谷かのんちゃん(CV伊達さゆりさん)らしい。

狂ったように音源を聴いた。
お披露目イベントで声優さんたちが歌って踊ってるのを見て、さらにビビッときた。
これかもしれない、私の好きなラブライブ!は、ここにあるのかもしれない。
なんとなくそう思った。

5.「好きなことを頑張ることに、おしまいなんてあるんですか!」

そしていよいよ迎えたアニメの放送。
早速1話を見た。
μ'sの物語と同じ京極監督だからか、どこか懐かしさを感じるような「ラブライブ!」の物語と世界観。
それでいてアップデートされた映像の美麗さ、見ながらとてもワクワクして、引き込まれていった。

私が気になっていたかのんちゃんは、ここ一番の場面で失敗をしてしまい、受験に落ちるという挫折を経験していた。
いや、めちゃくちゃ感情移入した。私も大学受験で第一志望に落ちてグレてたクチなので。

そんなかのんちゃんの前に現れた、かのんちゃんの歌声を絶賛してくれる可可ちゃんの存在。
クライマックスで、
「歌はもうおしまい」
と言ったかのんちゃんにたいして、可可ちゃんが放った
「好きなことを頑張ることに、おしまいなんてあるんですか!」

この言葉に頭を殴られた気がした。気がついたら涙がポロポロ溢れてきた。
これだ、と思った。ラブライブ!はいつも、こうやって背中を押してくれる。真っ直ぐな言葉で、「頑張る」こと、「大好きな」ことを認めてくれる。
年甲斐もなく、めちゃくちゃ元気をもらった。

あなたは素晴らしい、応援してる、頑張れ!
といった真っ直ぐで純粋な気持ちは、何故か歳を取るごとに言えなくなってくるし、言ってくれる人もいなくなる。
でも可可ちゃんは、真っ直ぐにかのんちゃんの目を見つめて、かのんちゃんを肯定し続けた。
挫折して自信を無くしていたかのんちゃんにとって、それがどれだけ救いになり、勇気になったか、痛いくらいに分かる。

そしてそれは、歳を重ねてしまった私にもとても響いた。若い頃に比べて、随分挫折を重ねて、諦めることの方が多くなってきてしまった。
でもラブライブ!はいつでも、なんで諦めるの?やってみればいいじゃない!君ならできるよ!と言わんばかりにピュアに応援してくれるのだ。

というか、ラブライブ!の登場人物は基本的に根が脳筋なように思う。第2話では可可ちゃんが運動神経が良くなく、ダンスに苦戦する様子が描かれたが、
同じ状況にあった場合、私なら例えば可可ちゃんの動線を簡単にするとか、振り付けを少しレベルダウンするとか考えると思う。時間もないし、それが一番現実的だからだ。
しかし彼女たちは、「運動神経が悪いなら、運動をすればいいじゃない!」と言わんばかりにひたすら走り込みやトレーニングをし始める。
いやいや、それ長期的解決方法だからー!とツッコミながらも、授業中も眠ってしまうくらい疲れているのに早朝からランニングしている様子なんて見せられてしまったら、応援せざるを得ない。
ラブライブ!の世界では、妥協という考えがない。出来ないなら頑張ればいいし、好きだからどこまでも頑張れる、というある意味恐ろしい考え方が共通認識となっている。

まぁそれも度を越すと無印の穂乃果のようにぶっ倒れていろいろオジャンになってしまったりするのだが、基本的には彼女たちの前に乗り越えられない壁はないのだ。
今となっては恐ろしいが、実際高校生のエネルギーって本当にこんな感じだったと思う。無限の可能性があって、歩けばその分だけ道を進むことができた。

私はラブライブ!は真のスポ根アニメだと思っている。先にも述べたが、何かを「頑張っていた」人ならきっと共感できると思う。

6.これからのLiella!

ラブライブ!スーパースター!は多くの人が指摘しているように、ラブライブ!無印への原点回帰の作品だと思う。
ラブライブ!サンシャインが正統な後編としての立ち位置であったために、良くも悪くも無印を強く意識しすぎるような展開が目立った。
一方ニジガクは外伝として、そのスクールアイドルの形態から作画まで、全てガラリと変わっている。新鮮だが、ラブライブ!らしさという点ではちょっとベクトルが違う。

そんな中でスーパースターは、純粋にラブライブ!無印へ原点回帰し踏襲しながらも、新鮮な部分もあり、とても良い形の「ラブライブ!の再解釈」や「再構成」のような作品になるのではないかと思っている。

例えばメインキャラの性格。
ラブライブ!の各グループには、台風の目のようなポジティブモンスターがいるように思う。μ'sだと穂乃果、Aqoursだと千歌、ニジガクだと侑だろう。
彼女たちはブレずに肯定し続けるだけでなく、各スクールアイドルの発起人としての役割も果たすが、今作では可可がその役割を担うのだろう。
主人公が引っ張り上げられる側というのも、またこれまでのシリーズとは外してきて面白い。(と思ったが、歩夢はその立場かもしれない)

他にも主人公の幼馴染ポジや、スクールアイドルに並々ならぬ私怨を持つ生徒会長、ちょっとネジが外れている派手ガールと、お決まりのキャラ構成である一方、関係性としてはこれまでとは違い、全員同学年である。
つまり、「先輩後輩」というテーマ、そしていずれ訪れる卒業や引退といったテーマも、なくなる。
さらに新設校ということで、これまでの(ニジガクは少し違うかもしれないが)大きな軸であった「愛校心」も薄いだろう。

これからどう物語が展開していくのか楽しみだが、なかなか伝説のアニメになるのではないかととても期待している。

7.終わりに

というわけで、μ'sへの愛と、それを拗らせた私の目線から見たLiella!について、超個人的な意見をつらつらと書いた。ここまで読んだ人はいるのだろうか?

Liella!のこの先の物語と、これから応援できることを、とても楽しみにしている。

(ヘッダー画:友人)

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?