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約460字の機知と127ページの魔法

 読売新聞の編集手帳というコラムが好きです。

 あまり良くないなと自分で思ってはいますが、ネットニュースが主流となった今、新聞の一面すら読むのが億劫になってしまっています。土曜に放送される1週間のニュースまとめ、みたいなテレビ番組を見て、その1週間を知った気になっています。

 そんな私ですが、楽しみに時折目を通している欄があります。それが「編集手帳」です。

 この編集手帳は、季節を感じる文学や俳句などをはじめに紹介し、その文章に絡めて世情に意見を言うという、なんとも風流で機知に富んだコラムです。コラムのサイズは決まっているのに、最後の字数のあまりはほぼ0、あっても2字くらいという素晴らしさ。ネットで調べてみると、どうやら毎回約460字で書かれているようです。460字で、小学生が読んだ俳句、かつての文豪が季節に寄せて書いた文章などから、世情に広げる知識量には毎回感服します。


 話は変わって、小さい頃好きだった本に、あんびるやすこさんの「なんでも魔女商会」シリーズがあります。森の中に佇む、シルクというおさいほう魔女が営むリフォーム支店には、お店を必要とするお客様だけが来店することができます。お客様の悩みや想いを汲み取り、ニンゲンのナナと一緒にお洋服を”魔法を使わずに”手でリフォームしていく…、というお話。私は自分で洋服をたまに作るのですが、この本の影響が大きいな、と思う今日この頃です。

 このシリーズのすごいと思うところは、どの巻でも必ず127ページで終わるところです。知っている限りで必ず、です。小さい頃、このシリーズを読んでいて「全部127ページで終わってる!すごい!」と思った時は、世紀の大発見をしたように感じたものでした。


 何でもかんでも字数制限するのは世界を狭めているようで、実は広がる世界もあるのだと感じます。とはいえ、自分の手書きの感想ノートは、その黒塗り具合で作品への熱量が測れるのが、視覚的に便利なのです笑。


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