見出し画像

僕らはこんなにも美しかったんだな

それは過ぎ去った昔を懐かしむ意味でも、自分たちを華美するための悦でもなく。ただ、正直心の内にあって、でもあってはいけないような気もしていたグレー色に塗りつぶしていた部分。そういうところをそおっと、でも確かに誠意をもって解き放ち、羽ばたかせているような景色でした。

劇団"ひとあそびスクール"の舞台。十数人の人たちの誰もが心の奥から輝いていて、それでいてなぜか懐かしくなるような身近さを思った。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

3本の短編劇。1本終わるごとに、最高だった、、最高すぎでしょ、、しか言ってなかった気がする僕だったけれど、オムニバスでありながらもそのすべての根幹には、哀しみも葛藤も見い出したい希望も、全部しなやかに肯定されているように感じるものがあって、3本で1つの作品でした。そして、それを僕ら観衆に、客観的に自分のことを眺めるように観せてくれているような気持ちになった。だから、僕らはこんなにも美しかったんだなと、思わずにはいられなかったです。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

若いとか老いているとかとも違った。あの舞台の輝きは。それは、もっと良くしたいものがあるとか、閉じ込めておきたくない、表に露わにしたい。そういう何かをもっていることの輝きなのかもしれないです。そして、そういうものを持った人たちが集まって真摯になればなるほど、奥深くに宇宙を見るような、力強くて惹かれずにはいられない力になっていく。それが今日僕が観た"ひとあそびスクール"の皆さんでした。本当に感動した。とっくにファンになってしまった。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

僕は、本公演3部目の『はっぴいえんど をおしえて』という舞台作品に、自分の楽曲『はっぴいえんど』という歌で参加させていただきました。自分の書いた歌が、自分以外の人たちによってこんな風に世界を広げられていくなんて、嬉しくてたまらなかったです。当初は楽曲提供のみの予定でしたが、監督きってのお願いを受け、貴スクールのギリ2.9期生として、劇中最後にその曲を歌うことになりました。

役者、スタッフの皆さんが、これまで心を込めて磨き上げてきた最後のシーンで歌うのは、ここ10年で1番緊張した気がします。けれど、なんだか前日のリハーサルからどなたも快く僕を受け入れてくれて安心したし、そんな皆さんの肌馴染みよく引き込まれるような演技を見ていたら、これは絶対に壊しちゃいけない世界だと思ったし、僕もケンとナミのいる劇の世界の少しだけ先の部分に入ったような気持ちで歌うことができました。いや、これはそうなっていたらいいです。でも、それくらいの気持ちで歌えて嬉しかった。舞台から曲に、逆に息を吹き込まれたように思っています。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

演劇の舞台も、音楽のステージも、似ているところがあるのかもしれないなって思った。それは自分の気持ちを見つめながら、その行為を通して人の心に入ろうとするところです。その行為が、僕の場合は演奏だし、役者さんの場合は演技になるのかもしれない。伝えるとも少し違う。表現するに留まらない。その間にある感じがします。

だからなのか、すごく居心地がよかったなぁ。なんか全然終わってすぐに帰ることもできたんだけれど、気づいたらぼやぼやと紅茶をもらってアルフォートを食べさせてもらってしまいました。(ありがとうございました)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

今回出演していた"ひとあそびスクール"のこのメンバーでの公演はこれでおしまいとのことです。あぁ、何度でも観たいと思いました。最初の2作、『猿とティッシュとリバーサイド』も『きみとみきのはて』も、書き出したら寝れなくなるくらい好きでした。照明や音響の的確な配置やスリリングな構成も相まって、まだ世界にこんな楽しいものがあったんだと、駆け出したくなる気持ちでした。

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
なんだかベタベタに褒めちぎってしまっているのかもしれません。でも演劇素人の僕の素直な気持ちです。これからもどんなかたちであれど、お一人お一人が輝いていかれることを願っています。そして、こんな貴重な世界を観るきっかけを作ってくださったひびのわたるさん。本当にありがとうございました。

何歳になっても、社会がどうであっても、楽しいことばかりですね。それは、今いるところから自分の気持ちの向く方へ、一歩でも踏み出した人だけが知ることのできるラッキーなのだと思いました。

僕もこれからもそんなおじさんになりたいなと思いました。(公演後、女子高生の役者の方にいくつなんですか?と聞かれて38歳ですよと言ったら軽く引かれてミックスフィーリングにもなりました。あ、これは笑うところです。)

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

最後になってしまいましたが、今日会場に来て初めて出会ってくれた皆さん、そして前から僕を知ってくれている皆さん、今日あの場所で出会えてすごく嬉しかったです。今でも、この歌も含めて、歌を歌えているのはそんな皆さんのおかげでしかないです。

明日から4月、なんだか新しい日々が始まる空気の中を、今日携えた気持ちと一緒に歩んでいきたいなと思います。

こんなに長くなってしまった文章を最後まで読んでくれてありがとうございました。明日からまた僕は音楽の世界に戻ります。またライブ会場でも、今日出会った誰かともお会いできたら嬉しいです。これからも皆さんのHAPPYENDが繰り返し続いていきますように。僕もまた頑張ります!

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

【 ハルラモネル 】
シンガーソングライター  / アコースティックギター弾き語り

《Official Website》
▶︎ https://haruramoneru.tumblr.com

《YouTube》
▶︎ https://youtube.com/@haruramoneru

《Instagram》
▶︎ https://instagram.com/haruramoneru

《X》
▶︎ https://x.com/haruramoneru


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?