見出し画像

FNNニュースCOM

中学1年の頃、何気なくテレビを見ていたところ、
21時ちょっと前に流れる、スポットニュースに
釘付けになってしまった。
少し大げさなジングルに、真剣な目をして原稿を読む男性アナウンサー。

「これは…何?」と私が戸惑っていると、
たまたま一緒にいた姉が、
「この男性アナウンサーは、夜中のニュース番組に出てるよ。」
と教えてくれた。
「夜中かぁ…起きていられるかな。」
当時から身体が弱かった私は、夜更かしができなかった。
「見れたら見るわ」
ぐらいの、やる気のない中途半端な返事をしたと思う。

それから何か月か経って、たまたま23時くらいまで
起きていてしまったことがあり、
そのニュース番組を見ることにした。

それが、『FNNニュースCOM』との出会いだった。

木村太郎を中心に、青嶋達也アナウンサーと、
当時入社1年目だった近藤サトアナウンサーが出演していた。
「そうか、この男性アナウンサーは、青嶋達也というのか。」
軽快なテンポで進むニュース番組だった。
途中、コンパック、という、青嶋達也と近藤サトが
ほのぼの系?のニュースをコミカルな感じで読んでいくコーナーがあった。
コンパックが終わると、また真剣なニュースに戻るのだが。
番組の最後が衝撃的で。

最初に見たときのネタは、絵画の修復のニュースだったと思う。
道徳的な問題からか、修復の際に、裸体の下半身が隠されてしまった…
といった内容を木村太郎が説明していくのだが、
「道徳的な問題から絵画の一部分をむやみやたらに隠してしまって、
絵画が描かれた謎を、どう解く?(道徳)
それではまた。」

ダジャレだよね?!今の。
あっさり締めてるけど、ダジャレだよね?!!
あ、何か脇で青嶋達也が苦い顔してるし!!!
何このニュース番組?!明日も見よう!!

それからは、毎日録画して見ていた。
ニュース番組を録画するだなんて信じられないだろうが、
私には数少ない心の支えだった。
おかげで、1992年の時事ネタにはムダに詳しい。

いつの間にか、木村太郎がダジャレを言わなくなり、
「あぁ、もう終わりなのかな。」
と思った頃、やはり『FNNニュースCOM』は終わった。

最終回は、盛岡のホテルで見た。
大好きだった『FNNニュースCOM』が終わってしまうこと、
翌日から盛岡での高校生活が始まること、
どちらも不安でしかなかった。

もう消えてしまったが、一時期YouTubeに
この最終回がupされていたことがあり、泣きながら見た。
ニュース番組を見てあんなに泣くことはもう2度とないと思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?