「本当に頭が良い」とは何か

<目次>
01:世間の言う「頭が良い」
02:知能が高くても「頭が良い」とは限らない
03:専門家に聞く!「頭が良い子」「賢い子」ってどんな子なの?

01:世間の言う、「頭が良い」とはなんでしょうか

頭の良さとは一般的に「テストの点数が良い」・「偏差値が高い学校に通っている」といった、目に見える形であらわされることが多いのではないでしょうか。

しかし、本当の意味での「頭が良い」とは、学校の成績だけでは判断がつかないものなのです。今回はこのテーマの元、「頭が良い子ってどんな子なのだろう」というテーマでお送りします。

02:知能が高くても「頭が良い」とは限らない

私たちが考える「頭の良さ」は、勉強ができる=テストの点数が良い=良い学校に通っている、というようなイメージへ集約されがちです。ですが、近ごろは少し異なった視点で「頭が良い子」「賢い子」を見極めている専門家や教育関係者も増えています。

「知能が高い」がなぜ「頭が良い」につながらないのか

その理由としてあげられるのが以下の理由からです
 ・幼いころからもてはやされることで、本人が努力することを怠ってしまう
 ・先のことを予測しすぎてしまい、リスクを伴うチャレンジをしない、いわゆる「安定志向」になってしまう
 ・相手が考えていることを聞く前からわかってしまう、自分の考えを伝えても理解してもらえないだろう、などと考えることで人とコミュニケーションをとらなくなってしまう

東北大学加齢医学研究所の瀧靖之教授は、いくら学校の成績が良いからとそれだけで将来が明るいわけではなく、「単に成績が良い子というのは、必ずどこかで限界がくるものだ」と述べている。「知りたい」「学びたい」という気持ちが伴っていないため、試験が終わると無気力になってしまうこともあるという。

このように、知能の高さだけで「頭がいい」と判断することは何よりも子供を苦しめる原因となってしまう。

専門家に聞く!頭が良い子・賢い子ってどんな子?
「頭が良い子・賢い子ってどんな子?」という疑問に対して、脳科学者や心理学者、教育のプロである専門家の見解を紹介

特徴① 知的好奇心が旺盛である
「賢い子は?」という問いに呈して「自分から”知りたい”と思える知的好奇心が旺盛な子供です」と答えている。
企業のトップや仕事のできる「優秀」な人はたいてい好奇心が旺盛で多趣味という共通点があるそう。

反対に、何事にも無関心な人は、たとえ学力が高くて地位のある役職に就いたとしても自分で考えたり創造したりする力に欠けていることがわかっている。

「好きなことに一生懸命取り組んだ子は、自分で自分の力を伸ばしていくことができる」と断言している。
つまり、興味があることに対して努力とも思わず夢中になることができる子は、たとえ学校の成績に反映されなくてもいずれ必ず大きく成長することができる。

■物事を論理的に考えることができる

文教大学教育学部教授で小児科専門医の成田奈緒子先生は、「親はつい学校の成績だけで頭の良しあしを判断しがちですが、日々の生活の中で前頭葉が活性化されているかなど、脳の成長を確認することが大事」と指摘している。

とある論文では、本当の頭の良さを「前頭葉をうまく使って、もっている知識を統合したり、何通りもの場合を考えたりして、漏れのない推論を作り上げる論理的思考力」と定義していることから、成田先生は「論理的思考力」こそが真の頭の良さにつながっているという。

同様に、「論理的思考力」の重要性を説くのは、東進ハイスクールの現代文講師として活躍し、論理的な国語術に関する著書を多く執筆している出口先生。「現代はありとあらゆる情報から、自分が本当に必要なものを選び、その真偽を確かめ、将来起こりうる事態を予想し、その対処法を考えられる力が求められる」ことから、論理的に考えられる力が必要不可欠だと断定している。

■自分で「課題」を見つける粘り強さがある

「マニュアル重視」の時代から、急速に「創造の時代」へと変貌を遂げた現代社会。「これからは自分で課題を見つけて、独自の解決策を編み出さないといけない」と強く主張するのは、「東大物理学者が教える”考える力”の鍛え方」(PHP研究所)の著者・上田先生。自分で課題を見つけるには、一つのことをじっくり考える力が必要。つまり、「粘り強く考えることができる子が、これからの”賢い子”」といえるだろう。

ほとんどの人は、人から与えられた課題をこなすことに終始します。それは、課題をもらう方が「楽」だと考えているから。「自分で考えない回路」がができてしまっているそうです。
「考える回路」を強くするには、知的に興奮する経験が欠かせない。そのためにも、たくさんの挑戦と失敗を繰り返して、自分で課題を発見できるようになりましょう。

■物事を多角的にとらえられる柔らかい思考をもっている
心理学博士の榎本先生は、「本当の頭のよさって?」と聞かれ、「自分なりに思考し、物事を様々な角度からとらえることができ、認知能力や非認知能力ともに高いことです」と答えている。

榎本先生によると、IQに代表される認知能力を高めるためには、「認知的複雑性」を高めることが大事だそう。
認知的複雑性の低い子は、矛盾した情報を前にして混乱をしたり、考え方の異なる相手に反発したりと、ものの見方が単純です。一方、認知的複雑性の高い子は、物事を多面的にとらえることができるので、総合的な判断ができ、考え方の異なる相手のことも理解することができます。

さらに、「EQ」と呼ばれる「非認知能力」の高さも求められるとのこと。この「非認知能力」とは、粘る力や自分の感情をコントロールする力、また人の気持ちや立場に対する共感性などをさし、この能力は勉強ではなく遊びや人間関係を通して身につくといわれている。

■生きるために必要な力がしっかりと身についている
脳科学者の茂木健一郎先生は、学力よりも多雪なのは「地頭力」だと述べている。茂木先生いわく、地頭力とは「何かに挑戦したり、問題を解決したり、変化に対応したりという、いわば生きるために必要な力」だそう。
私たちを取り巻いている環境など、変化の激しい時代だからこそ、新しいことにチャレンジしたり、柔軟な発想で変化に対応する力が求められている、というわけです」

また、茂木先生は「地頭力を育てずして学力だけを育てようとすることは、リスクの高い戦略だということは、様々なデータでも明らかになっている」と述べている。地頭力を身に着けるためには、早いに越したことはない。地頭力は、好きなものをとことん突き詰める場を与えたり探求学習をさせたりと、日常生活でも十分に鍛えることのできることから是非取り入れたいもの。

「どんなに勉強ができても、人としてやっていいことといけないこと」の判断がつかないのは、本質的なところで頭が良くない。子供たちが学校を出てからの人生で求められる”頭の良さ”とは「社会的適応性」であり、現代社会の中でどう適応していくかが重要だとも説いています。

そのためには、「自分で考えて表現できる力」や「自分の状況を把握して先を読む力」、「断片的な知識をつなげて考える力」など、生きるために必要な力を身に着ける必要があります。



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