「アフガニスタンはどうなる」


*このエッセイの内容は、私のnote「耳で聴くしまはる塾」と重なる部分がありますが、聴くだけでは数字や事実をフォローしきれない部分もあるかと思いますので、あらためて眼で読めるように書きました。「耳で聴くしまはる塾」とあわせてご活用戴ければと思います。


アフガニスタンで深刻な事態が広がっています。アメリカ駐留軍の撤収宣言を受け、イスラム原理派勢力のタリバンが急激に全土を制圧し、政権樹立を宣言しました。タリバンの恐怖政治を恐れる人々が国外脱出をしようと空港に殺到。アメリカ軍は8月末に撤収できるか不透明。アメリカ国内ではバイデン政権の対応に批判。中国やロシアが力の空白を埋めようと虎視眈々。緊迫の情勢がつづきます。ここでは、タリバンの制圧以降の状況を展望します。


1. タリバンの首都制圧
・8月15日、アフガニスタンの反政府武装勢力タリバンが首都カブールを制圧し、首都にある大統領府を占拠。タリバン幹部はビデオ声明で勝利宣言。アメリカが作り支えてきたアフガン政権は事実上崩壊しました。
・アフガン政府のアシュラフ・ガニ大統領は航空機で側近らとウズベキスタンに退避。彼は”流血の事態を避けるため”とFBに投稿しましたが。実際には逃亡で、多大な現金を持ち出したとの現場証言もあり、批判が高まっています。


2. タリバン政権樹立?
・タリバンは軍事力を背景にアフガン政府に政権移譲を求め、新政権樹立をめざし、アフガン政府と政権移譲交渉模索。タリバンはアフガニスタンの多くの階層を糾合した政権をつくるとしていますが、多分に国際社会での認知を意識した発言でしょう。
・タリバンは「アフガニスタン・イスラム首長国」建国宣言を準備している模様(AP通信)
・タリバンは厳格もしくは偏狭なイスラム原理主義の集団であり極端な女性差別で知られる。
・今回はハイバトウラ・アクンザダ師ら指導部は、イスラム法の範囲内で女性を開放し、女性に教育や就業機会を提供すると言っていますが、それは外交的建前。
・タリバンの過去を知っている市民にそんな喧伝は信用せず、女性はじめ多くの市民は再び自由が失われる恐怖におののいています。
・多くの市民は空港に殺到し、飛行機にしがみつく状況。飛び立った飛行機にしがみついて振り落とされた何人かが命を落とす惨状。難民対をどう救済するかが米欧諸国の喫緊の課題ですが、現地にはアメリカのNPO関係者などもまだ残っており、米軍は予定の8月末までに撤収できるかまだ確定できない混乱がつづいています。

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