「バイデン政権半年後の評価−3:国際協調とバイデン外交の蹉跌」

外交面では、バイデン政権は、トランプ前政権とは正反対の国際協調主義をかかげ、とくに、同盟国や友好国との協力関係を踏まえて、中国包囲網を敷く戦略の追求を開始した。

ところが、国際協調による対中包囲網は、中国にはほとんど効果がなく、その他、イラン、アフガニスタン、ミャンマー対応などでも、バイデンは、所期の成果が挙がらないどころか、政権は強く効果的な手段をとれず、むしろ後退している印象を内外に与えている。

バイデン政権の国際戦略のこのような状況は、同盟国の中でももっとも忠実にバイデン政権への協力姿勢をとっている日本の選択にとっても難しい課題を投げかけているように思う。以下、そうしたバイデン政権の国際戦略と外交について考えてみたい。

1. America is backを演出

・2.19G7のオンライン首脳会議が開催され、バイデン氏はアメリカ大統領として初参加。
 G7首脳会議共同声明では、2021を多国間主義のための転換点と明記し、ワクチン支援に75億ドル提供、2050までに温暖化ガス排出ゼロ、東京オリパラを支持などを明記されました。
・また、対中国政策では、中国の非市場志向の政策や慣行に対処する共同アプローチの協議が合意されました。
・同じ2.19.伝統あるミュンヘン安保会議に登場したバイデン大統領は、America is back!と強調して、頼れる米国の復活をアピールしました。バイデン氏はオバマ政権の副大統領として2016年大統領選でトランプ氏が勝利した直後に、このミュンヘン安保会議に出席して、 “America will be back(アメリカは必ず戻ってくる)”と約束した経緯もあるので、今回、胸を張ってアピールしたのもうなづけます。
・しかし、欧州首脳は必ずしもバイデン氏のアピールをそのままは受け取らなかったようです。そこには、トランプ政権時代に、米欧関係は深く傷つき亀裂が広がっていました。この米欧の温度差は、両者の利害のズレをも反映し、再建は必ずしも容易ではありません。

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