転んでも日記④

武器を手に入れました。

超カッコいいでしょ。

セリアの靴べら（クリア）なんですけれども。

もう片時も離せないですね。なんなら一緒に寝てます。

なんのための武器か、賢い方はもうお気づきかもしれません…

そう、痒いとこを掻いてくれる伝説の剣、【孫の手ソード】です！！

孫の手でいいじゃんって思ったあなた。

ダメです。

全然ダメです。

某パチンコのCMで「喝！愚か者めが！」

って怒られてる小僧くらいダメです。

ギプス（正確にはシーネ）の中は狭いのです。

孫の手のあの、手がクイっと折れ曲がってる部分。

ここ。

この膨らみ方では目的を果たせないのです。

こうじゃないとね！

この、絶妙なカーブと素材独自のつるりとした肌触り。

100均クオリティとは思えぬ滑らかな仕上げ面。バリ取りバッチリですセリアさん。

もう本当にこの伝説の剣にお世話になってる。

ありがとう孫の手ソード。

無事回復して、その役目を果たし終わっても捨てずに取っておくと思う。

マジックで「痛み忘るべからず」とか書いて飾っておこうかな。

この場合「痒み」にするべき？

めっちゃ悩む。今日眠れないかも。

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5/30

怪我でキャンセルした仕事や予定は数えきれないのだけど、今日5/30は特別悔しいキャンセルデーだった。

大雑把にいうと２月からずっと準備してきた仕事の、発表の日。集大成の日だったのだ。

コロナ禍で環境ががらりと一変し、当たり前に遊ぶ暇なんて１ミリもなかったGWが、２年連続でポッカリ空いた。暇なGWなんて経験したことがなかったので、何をしていいのか本当に分からなかった。

そんな中でやっと決まった久々の仕事。

本来は４月予定だったのが、緊急事態宣言等で１度延期になり、関係者一同やっとの思いで漕ぎ着けたのがこの日だった。

今回の怪我により、急きょ代役を立ててもらって臨んだ当日。

直前のキャンセルで本当にたくさんの人にありえないほど迷惑をかけた。

私が逆の立場だったら、うっかり相手を責めてしまうかもしれない。

にもかかわらず、自分にかかる迷惑はさておき心の底から心配してくれる人。

「見においでよ」と優しく迎えてくれた人。

「引き継ぎめっちゃ大変だったんだから！」と笑いながら本音で話してくれる人。

ぶっきらぼうに差し入れを寄越してくれる人。

自宅にいる時間が充実できるように、といろいろ提案してくれる人。

そして、本来なら自分が踏むはずだった現場の空気。

どれも本当にありがたかった。

家族以外の人に介助してもらわないといけなくなるので、行くかどうかすごく迷ったけど心から行ってよかったと思う。

正直マジで悔しかった。自分でやりたかった。当日もちょっと泣いた。

自分のドジのせいで…と暗くなってばかりいた。

でも。

ドジはドジ。として受け入れた上で、塞ぎ込まずに現場に行くことでその一つ一つをきちんと受け入れて消化できた気がする。

忘れないようにしたい。

怪我が治ったら、痛みや不便さと共に忘れてしまいそうな優しい気持ちとか、温かい時間とか、柔らかい体験とか。

もちろん反対に悔しい、情けない、恥ずかしい、申し訳ない、歯痒い、もうそれはそれはたくさん。

全部がストップしているようでいて、たくさんたくさん受け取っている。

余裕なんて一つもないけど、余白は有り余るほどあるからいやでも様々なものを受け取らざるを得ない。

スーパーですれ違う時、きっといつもより端に避けてくれた、あのおばちゃんからも受け取ってるし、レジでモタモタしている私に少し迷惑そうにしてたあのお母さんからも、きっちり受け取っている。

親切も嫌悪も、「受け取らないように」しながら生きれば楽だから、無意識に避けていたのかもしれない。

この感覚は、まあ治るにつれ鈍くはなると思うけど、明日も明後日も５年後も１０年後も、死ぬまで忘れないようにしたい。

美談でもなんでもいいから、受け取ったものを、特に優しい気持ちを、いつでも思い出せるようにしておきたい。

だから取っておく。孫の手ソード。

では。