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Liquid Mineへの新規投資

2021年2月3日のプレスリリースの通り、Plug and Play VenturesはLiquid Mine社のシードラウンドでの出資を発表しました。

このたびLiquid Mine社を、我々のPortfolioファミリーに新たにお迎えできることを大変嬉しく思います。今回はLiquid Mineの技術紹介に加え、Plug and Play Venturesが投資に至った背景をまとめました。

1. Liquid Mineの概要

Liquid Mine社は、東京大学医科学研究所の遺伝子解析技術をもとに2019年11月に設立されたDeepTechスタートアップです。リキッドバイオプシー(液体生検)を用いたテーラーメイド医療の実現を目指しています。ターゲットとしている疾患は、がん患者のうち約10%を占める血液がん、特に白血病です。

国内の年間白血病罹患数は13,000人を超えており、増加傾向にあります。また、白血病の中でも急性タイプは病気の進行が早く、日進月歩の医療でも、5年生存率は未だ低い値となっているのが現状です。

白血病の検査は遺伝子変異特定や定期的な治療経過のモニタリングのため、毎月、数日間入院して骨髄生検を受けることが一般的ですが、侵襲性が高く全身麻酔下でも骨髄液吸引時に強い痛みを伴います。検査後には発熱や感染症リスクも残ります。患者さんにとっては、肉体的負担、苦しい治療期間中に繰り返し検査を受けなければいけない精神的負担、そして入院・検査費を含む金銭的負担が大きく、非常にペインが大きいと言えます。

Liquid Mine社は、上記のソリューションとしてパーソナライズされたリキッドバイオプシーを提供しています。具体的には、初回の骨髄生検時に採取した患者さんのサンプルを用い、全ゲノム解析と独自技術で白血病の遺伝子変異を解析、2回目以降の定期的な骨髄生検を腕からの血液検査に置き換えます。これにより検査時の侵襲性を低くし、毎月の入院をなくすことができます。

また、当初は非常に高額であった全ゲノム解析の単価が1回10万円を切る程度まで下がってきた技術革新医療の個別化分散化といった流れが同社が提供するテーラーメイド医療の社会実装を後押ししていると言えるでしょう。

リキッドバイオプシーを提供している企業は他にもありますが、白血病に特化した差別化戦略を取っているのがLiquid Mine社の特徴であり、米国では日本の数倍の新規患者数が報告されています。日本のみならず世界の白血病患者さんを救うことをミッションとされています。

創業の経緯やFounderの想い、投資に至った決め手などは下記のインタビューで詳しく解説されています。

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2. Plug and Play VenturesのHealth領域における投資実績

Plug and PlayのGlobal拠点数は30以上ありますが、日本については2017年に渋谷オフィス、2019年に京都オフィス、2020年に大阪オフィスと計3拠点が設立されています。

Plug and Play Venturesは、Plug and Playの投資部門です。その投資先は1,000を超えており、これまでに多数のEXIT(IPO or M&A)やユニコーン企業が生まれています。2020年はGlobal全体で162件の投資を実行しました。

日本に関しては、2019年9月から国内投資事業を開始しており、Liquid Mineは国内5社目の投資先となります。

Global Health領域のポートフォリオをみてみると、2021年1月時点で87件あります。2020年は16件の投資を実行しました。

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Global Healthでの累計EXIT(IPO/M&A)は11社です。デジタルヘルス領域の投資件数が多くなっています。また、胃がん、肺がんといった固形がんに対するリキッドバイオプシーを提供しているDeepTech企業のGurdant Health(Nasdaq, GH)もPortfolioに入っており、2018年にIPO済、現在の時価総額は1兆6,000億円を超えています(2021年2月6日時点)。

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3. スタートアップ・エコシステム形成における大学連携の重要性

スタートアップ・エコシステムをより良くしていくためには、スタートアップ、ベンチャーキャピタル、アクセラレーター、企業、政府、自治体、病院、大学など多くのステークホルダーが密に連携し、良質な循環を生み出していく必要があります。中でも大学発技術シーズの事業化を促進させ、世界に発信していくことは非常に重要だと考えています。

Liquid Mine社は東京大学発のスタートアップかつ現役医師による起業です。大学発・医師による起業数が増え、成功事例が増えることを願っており、その支援をしていきたいと考えています。

また、私が所属しているPlug and Play Kyotoでは、2019年7月の設立以降、大学連携の取り組みを実施しており、例えば下記のような大学との共催イベントやインキュベーションプログラムを実施しています。

京都大学 x Plug and Play Kyoto Incubation Program 2021

アントレプレナーシップ育成イベント(2020年2月)

4. お問い合わせ

ご質問、資金調達ご検討などは以下にご連絡ください。

Plug and Play Ventures, Harunori Oiwa (Haru)
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▶︎ email: harunori@pnptc.com