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02.コーヒーサイフォンのある生活

コーヒーが好きだ。味ももちろんだが、嗜好品としてのコーヒーという存在が好きだ。
コーヒーは、紅茶、ココアと並んで世界三大嗜好飲料と言われている。
とにかく奥が深く、こだわり甲斐があり、そして渋い。最高だ。
映画のコーヒー&シガレッツなんか最高中の最高だ。渋すぎる。
また、美味しいコーヒーを淹れるには手間がかかるという点においても愛おしい。手間をかけてよりよくなるものが好きなタチなのだ(ちなみにこれはめんどくさがりなこととは矛盾しない、決して)。

ところで、コーヒーの淹れ方は多種多様だ。一番メジャーなのはハンドドリップだが、フィルターにもペーパーフィルターやネル(布)フィルター、金属フィルターがあり、カスタマイズ性に富んでいる。
また、ドリップの他にもアウトドア用品などで見かけるパーコレーター、水と粉を一緒に煮て抽出させるトルコ式などがある。

私は当初、ハンドドリップで淹れていた。しかしこれがどうも、ウォーターサーバーとの相性が良くない。というのも、お湯の温度が足りないのだ。ウォーターサーバーから出るお湯の温度は80度前後で、カップヌードルをぎりぎり作れるくらいの温度なのだ。これを一度ポットに入れ直し、そこからドリップするとなるとかなりお湯が冷めてしまう。かといって鍋でもう一度加熱するというのもなんだか負けた気がする。最初から鍋でお湯を作るより手間がかかり、ウォーターサーバーの利点を全く活かし切れていない。

そこでよりウォーターサーバーとの相性がいい抽出方法を試すことにした。それがサイフォンだ。
サイフォン、存在は知っていたが一般家庭で使用するなど想像したこともなかった。あれはなんとなく、喫茶店にしかない特殊な器具のようなイメージだったのだ。しかし一旦考えてみると、これはかなりいいものなのでは、と思えてくる。

まずなんと言ってもその実験器具のような見た目がいい。フラスコ、ロート、アルコールランプ。子供の頃にやった理科の実験の記憶が蘇る。それがコーヒーを抽出するための道具なのだ。実験器具のような無骨さとアンティークのようなお洒落さが調和している。これをロマンと呼ばずしてなんと呼ぶ。見た目においてサイフォンに敵う調理器具はなかなかない。もはやインテリアだ。

ウォーターサーバーとの相性も抜群だ。もともとサイフォンの欠点として、お湯を沸かすのに時間がかかるという点がある。アルコールランプの火力では、どうしても時間がかかってしまうのだ。ここでウォーターサーバーとのチームワークが発揮される。ウォーターサーバーからフラスコに、予め熱湯を入れてからランプで加熱すると、ものの5分で沸騰する。その間に豆を挽き、ロートにフィルターと挽いた豆をセットする。準備が終わるのとほぼ同時に、フラスコ内のお湯が沸騰し、速やかに抽出できる寸法だ。サイフォンはお湯さえ沸いてしまえば1〜2分で抽出が完了する。時間のロスが全くない。

サイフォンの魅力はまだある。実はサイフォンで抽出できるのはコーヒーだけではないのだ。茶葉を入れれば緑茶になるし、鰹節や煮干しを入れれば出汁だって取れる。実際にサイフォンを使って出汁をとるラーメン屋さんが存在するらしい。フィルターの使い分けは必要だが、それにしたってこんなのワクワクしないわけがないじゃないか。

ここまで想像して、衝動のままに買った。
Amazonで5000円程度で買える。思っていたよりずっと安い。
実際の使用感は、予想通りスマートだった。ハンドドリップでゆっくり丁寧に抽出するのも好きだが、これはこれで性にあっていると感じる。片付ける部品が多いのがやや手間だが、それを加味してもなお買ってよかったと思う。
毎日ガラス越しにコーヒードームを眺めながら、挽きたての香りを楽しむのはとても楽しい。なんでもない普段の生活がワンランク上がったように感じる。
今はカルディで豆を買って満足しているが、そのうち焙煎からし始める未来もそう遠くないかもしれない。

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