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サヨナラ

最近、失恋した。
想いを寄せる人に振られてしまった。


彼はマッチングアプリで知り合った人だった。
私と同じ大学3年生。

彼と私の性格は何となく似ていて、2人の中高生時代の性格はもっと似ていた。
話を聞いてそう思った。


初めて会った気がしない。
一緒にいて楽しい。
彼のことをもっと知りたい。
どうしてこんなに魅力を感じるのか、惹きつけられる理由を知りたい。


彼と会った次の日から、彼がLINEのBGMに設定していた曲のベースを練習した。
こんなことするの自分らしくないし、気持ち悪!って思ったけど。
海の波みたいにキラキラしていて疾走感がある、切ない曲。
いつもなら一曲完成させるのに1週間以上かかるのに、その曲はたった2日で完璧に弾けるようになった。


今思えば、会った時から好きという気持ちは芽生えていたんだと思う。
でもその時はそれ以上に「彼を知りたい」という気持ちの方が大きいと感じていた。
彼のことをたくさん知って、これから好きになっていきたいと思っていた。


でもそれは叶わなかった。
好きな人ができて、もう会えないって連絡が来た。
彼は今より誠実になることを決めたみたいだった。


なにそれ。
私に散々思わせぶりな態度とってきたくせに。
私をその気にさせたくせに。最低。
って思っちゃった。
そんなことを思った自分が情けなくて悔しくて、悲しかった。


彼からの連絡を待つ間、毎日毎日彼のことを考えた。
彼がカラオケで歌った曲が忘れられなくて、プレイリストを作って毎日聴いた。
彼と海に行って、シーグラスを拾って綺麗だねって言い合いたいなとか、一緒にサウナデートしてみたいなとか。
そんなことを毎日考えていた。
彼のことを考えない日はなかった。
自分でもこんなに彼を考えてしまうことが不思議で仕方なかった。


もう会えないと分かってから、
「私はちゃんと、しっかり彼のことが好きだった。恋してたんだ。」
って気づいた。


彼と会って話すことも、彼のことを知ることも、電話して声を聞くことも、笑うと目が細くなるあの愛くるしい表情を見ることも
もうできないと思うと寂しくて悲しくて毎日泣いた。
今もこれを書きながら泣きそうになってる。


たかがマッチングアプリで出会った人だ、と周りから言われそうだけど、今でも未練たらたらで立ち直るには相当長い時間がかかりそう。
こんなにも知りたいと思わせてくれた人は彼が初めてだった。
今まで生きていて、誰かにこれほどまでに興味を持ったことはなかったと思う。


あの時作ったプレイリストは、聴くと泣きそうになってしまってあまりちゃんと聴けていない。


振られた人間がこんなことを思うのは許されないというか、おかしいと思われるかもしれないけど、私はなぜか彼とまた会えるような気がしてしまっている。
確信はない。だけどなぜか、いつかどこかで会える気がしている。


振られたばっかりで辛すぎて、そういう思い込みをしたいだけかもしれない。
でもそれでもいいかなって今は思う。
自分と向き合う時間を作って人として成長して、いつか会えた時彼にそんな自分の姿を見てほしい。
結果として自分が前を向けるなら、成長できるなら、そう思っていてもいいと思う。


あのプレイリストをいつかちゃんと聴けるようになるといいな。
ベースで弾けるようになったあの曲も、弾くと彼を思い出して泣きそうになるけど、今はそれでいい。
いつか、彼との出会いが私の成長の一部になったと思える日まで。
いつか、彼と出会えたという事実、一緒に過ごせた時間を美しい思い出として胸の中に大切に仕舞っておける日まで。
その日まで彼を想いながら弾けばいい。


昔海で拾ったシーグラスを撫でながら、そう思った。


シーグラス/Saucy Dog

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