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虎も眠る笑顔?【毎週ショートショートnote:お題「トラネキサム酸笑顔」】参加記事

難題ですね……今回も😮‍💨 参ります……参れるのかしら💦

笑顔。それは万能薬である。免疫力を増し、細胞を活性化させ、ホルモンバランスを高める。薬に頼ることなく、身体の自浄作用を促す妙薬である。

とは言え、可笑しくもないのに笑えと言われるのは苦行に近い。どうすれば笑顔になれるだろうか。しばし逡巡する。

「ねえ、ママー。どうしてあの子、怖い顔してるのかなぁ?」
「そうねぇ。やっぱり、その方がらしいからじゃないかな?」

らしく。
そんなことは考えたこともない。我はただ日々を生きるのみ。与えられた場所で、与えられた食事を採り、与えられた寝床で眠る。それが我の毎日である。


「お歌、歌ってあげようかなぁ。そうすれば笑ってくれるかも🎶」
「ふふ。優しい子ね。ママも聞きたいわ、あなたの歌」


歌だと?
そう言えば、園内のスピーカーから何かが流れてくるな。あれは時報のようなもの。我には時間など関係がないから、気に留めたこともないが。


おにのパンツは いいパンツ
つよいぞ つよいぞ
トラのけがわで できている
つよいぞ つよいぞ
5ねんはいても やぶれない
つよいぞ つよいぞ
10ねんはいても やぶれない
つよいぞ つよいぞ

おにのパンツ/童謡   
作詞:ルイジ・デンツァ・日本語詩 田中星児 
作曲:ルイジ・デンツァ  

虎の毛皮だと……?奇っ怪な歌だ。我ら誇り高き虎の毛皮を剥ぎなめした人間などいるものか!


「🎶はこう、はこう、おにのパンツー🎶」
「ふふ。陽菜ひなは歌が上手ねぇ」

……無邪気なものだ。繰り返される「おにのパンツ」の調べを聞いていると、何だか可笑しくなってきた。泣く子と何とかには勝てぬと人間は言うが、歌う子にも勝てぬようだ。いかん、口が……


「ママ!虎さん、笑ったよ!!」
「あら。本当ね。大きな口を開いて、まるで笑っているみたいだわ」

参った、完敗だ。可笑しくて仕方がない。オマケに鼻がむずむずしてきた。む、むぅ……

「は、ハックション!!」
我のクシャミを聞きつけて、飼育係が駆け足でこちらにやってきた。
「あれ?どうしたの、大地。あーこれは風邪引いたなぁ。薬が必要だね」

気付けば「おにのパンツ」を熱唱していた母子は檻の前から姿を消していた。我はこれからトラネキサム酸を投与されるらしい。これも一興、笑いと共に飲み干そうではないか、苦い薬を。

「苦くないからねー。注射だから」

悪いわ!痛いではないか。我は注射が大嫌いだ。虎語を介さぬ飼育係に告げても意味のない文言を胸にしまい、我はしばし不貞寝することにした。

動物園で生を受け、人々を楽しませるのが責務のベンガル虎。そんな我の、ある日の出来事だった。


拙稿題名:虎も眠る笑顔?
総字数:1064字

歌詞引用有りで、文字数を超過しました(汗)たはらさん、申し訳ございません……(深謝)ここまでお付き合いいただきありがとうございました。


ヘッダー画像と同時出力した「眠るトラ」トラネキサム酸→虎寝きさむさん?強引な駄洒落ですね😂


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66日ライラン、31日目です。

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