中村朱美プロフィール写真1

飲食店ではなく新時代の「働き方」のイノベーター 株式会社minitts 代表取締役”中村朱美”さん

やりたかったのが飲食店ではなく、働き方から考えたら「佰食屋」になった。その経緯も含めて 株式会社minitts 代表取締役”中村朱美”さんにお話しを伺いました。

プロフィール
出身地:京都府亀岡市
活動地域:京都市
経歴: 1日100食限定で、 美味しいものを手軽な値段で食べられるお店「佰食屋(ひゃくしょくや)」を2012年に開業、現在京都市内で4店舗展開。ランチ営業のみ、完売次第営業終了という飲食店の常識を覆す経営手法で、飲食店でのワークライフバランスとフードロスゼロを実現。
座右の銘:敵は己の中に有り


Q、今のお仕事をするキッカケになったビジョンや思いというのはどういった事だったでしょうか?

「飲食店をやりたいからやったのではなく
自分たちが子供を産み育てても働き続けられる飲食店というコンセプト、ビジョンが初めから固まっていました。」

中村:それまでは私は専門学校の職員室で広報の仕事を、夫は不動産の営業をしていました。
私自身は小さい頃は先生になることが夢だったので、職員室で働くこがとても楽しくてそれで満足していたんですね。しかし仕事柄、土日や夜間の出勤もあり不規則な生活でした。

周りで結婚する先輩が、正社員のままで働くということが難しい現状を目の当たりにしたこと。そして自分も結婚したのに、夫と休みも合わなければ、夜も一緒に食事が出来ずしんどいなと思ってるところから「働き方」についてとても真剣に考えるキッカケが今のビジョンに繋がっていきます。

私自身は「先生になりたい、学校現場で働きたい」という夢が自分は叶っていたので、今度は夫の夢を応援したいなと思ったんです。
夫は「定年退職したら自分のカフェをやる」とういうのが口癖なくらい料理が好きだったんですね。
子供もまだいなくて、フットワークが軽いこのタイミングで、先にその夫の夢を叶えてしまえば?っと私から誘ってはじめたのが飲食店をやるキッカケでもありました。

だから飲食店をやりたいからだけでやったのではなく
「自分たちが子供を産み育てても働き続けるための働き方としての飲食店」というコンセプトがやる前から固まっていました。

もう一つ話し合っていたのが
100食というアイディアですがそれは「インセンティブ」という概念から考えて生まれてきました。
頑張ったら給料上がったり、早く帰っても大丈夫だったりする。
そういう考えを飲食店に導入したいなと思ったんです。

そこで「売り切ったら早く終わるお店」というコンセプトが生まれました。
10食では少なく、1000食だったら多い、なら100食だったら丁度いいかもということで、最初から「佰食屋」にしようと漠然とした数値ではあったんですけど決めていました。

100食売り切ったら「早く帰れる。給料も上がる」というインセンティブが2つ付くようなイメージで。そしたら働く人も頑張れるし自分たちの時間も確保できて、夢も叶えられていいんじゃないかっていうことでスタートしました。

しかし、実際オープン当時は毎日20食~30食しか売れず準備していたお金の500万円もわずか1ヶ月で5万円にまで減り経営の危機でした。

そんな当時、忘れもしない12月27日に、今でいう”バズリ”が起きたんです。
急に70人~80人のお客さんが連日来る様になりお客さんに何故か聞いてみたんです。
そしたら当時のヤフーニュースの地域コーナーに記事が上がっていて皆さんそれを見て来店されたそうです。その日から70食~80食は当たり前に売れる様になりました。
結局開店してから3か月ほどで、お昼に100食が完食するようになりました。

前職で広報をしていたのたで
ネットの影響はずっと意識はしていました。
まだインスタグラムも流行ってない時期でしたがFacebookなどにあげたい写真を撮りたくなるビジュアルにこだわりたかったんです。
食器から盛り付けまで絶対にちょっとお金がかかってもいいから
今でいうインスタ映え的なものにこだわりました。
それがバズる原因にちゃんと繋がりました。

広報的な視点は間違ってなかったかなと思います。
ターゲットも女の子に絞っていて、SNSを意識し、お店や料理が良かったら友達に共有してくれる頻度も高いと思っていました。
当時はこの価格帯(1000円前後)で女の子が一人でがっつり牛肉が食べられる超ニッチでコアなお店もなかったのでそこをターゲットにしたコンセプトも良かったと思います。

なので今でも女の子がカウンターで一人でも食べに来てくれてます。

盛り付けのことを言えば、ステーキ丼ですが、このお肉の盛り付けがめちゃめちゃめんどくさいんですよ。
お肉をカットするのも18回とか切るのを100食やるので、1800回も従業員の方には切ってもらってるんです。そうした盛り付けのアイディアもビジュアルと食感のことを考えて、あえてやりました。

Q、今後は他のお店や企業と連携していく事も考えてらっしゃいますか?

他社、他企業と連携することは、今は一切考えてないですね。
なぜかというと、私たち夫婦がイノベートしようとすることをなかなか理解されないからです。
例えば、6年半前に京都ビジネスプランコンテストに出場することがあり
佰食屋っていう、100食限定のお店で働き方もよくって、みんなが幸せになるお店にしたいっていったら、めっちゃバカにされました。
中小企業診断士の先生から大学教授の先生、銀行さんの偉い人に。

すごく落ち込みましたが、4年後にもう一度出たら最優秀賞を取ったんですよ。苦笑

何か新しい事を始める時、イノベーションを起こす時は必ず周りの反発をくらう。
それが大きければ大きいほど、成功したときの世の中へのインパクトが大きいんですけどね。

なので、私たちの新しい考えは、はじめ世の中に共有したとしても絶対に反発が起きることはわかっているので、他の会社さんとやったり、理解してもらおうとは今は全然思ってない。

それに付随してですが実は、これから新しくやろうとしていることが1つあります。「佰食屋1/2」です。これは50食限定のお店なんですね。

「なんでうまくいってるのに減らすの?」って言われます。
普通は上手くいったら増やしますよね。200食屋、300食屋にしたらって。

しかし自分たちがやりたいことは
ただ利益を増やしたいんじゃないんです。

幸せな働き方を全国に展開したいと考えています。

お店のイメージとしては10~16時の6時間勤務。
日曜日を定休日で2人で回せるようなお店にしようと思ってます。

コンビニで夫婦で365日、一緒の休みも取れず
24時間管理を続けていかないといけない
それで成功しているお店の年収が夫婦で大体500万円だそうです。

佰食屋1/2の経営スタイルで年収を計算してみると
10~16時の6時間勤務で日曜を定休日にして年末年始もお休みにしたとしても夫婦で年収500万円という計算になります。
それなら夫婦や家族の時間も取れて同じ年収ならこっちの方が幸せな働き方になるんじゃないかと考えました。

これをまず直営で成功させることができれば
1年後にはこれを働き方のフランチャイズとして全国に展開しようと考えています。

集客とメニュー開発は本部が担います。働き方のフランチャイズは皆さんが実践してくださいという、コンビニフランチャイズとは正反対の経営ができるんじゃないかと考えています。

なんで半分にしたかというと
キッカケは2018年の大阪地震、7月の豪雨の時、佰食屋も大ダメージを受けたんです。毎日50~60食。で大赤字でした。

でも考えてみるとこんな災害でも50食は売れたこと。
そして地方では毎日100食は難しいのではないか。

だったら50食でできるお店のモデルなら安定して新しい働き方の提案もできるのではと思ったんです。

この働き方が広がれば幸せな働き方が地方に広がるのではないかと思いました。

Q、最後に読者にメッセージを

2つあるんですが
1つは、今の時代って働き方が多様化してきているので、もう一度見直すタイミングがきてるんじゃないかと思います。
なので「一般的にはこうでしょう」ということも、そもそも何でこうなんだろう?と立ち返ることが大事だと思っています。
そうすると何か新しいイノベーションを生むキッカケにや、自分の生活を少し良くしていくようなヒントが隠されていたりすると思うんです。
だから、私は色々なことに疑問を少しずつ沢山もつようにしてます。
そのために本を読むことや、他の人の考えの記事を読むことを心掛けてます。

世の中には色んな考えが溢れているので、正反対の意見でも何でも、自分の中に取り入れること。そして咀嚼して整理することで本当は自分が何がしたいのか?
自分は何が好きなのか?色々みえてくると己を知ることができるんです。
そうすると自分にとって最善の働き方をみつけることができます。
そのことが人生で一つの超えるべきハードルではないかと思っています。そうすると自分はこの仕事、働き方でやっていくんだという決断が出来ると上手くいくと思います。

もう一つは
私の小さいころの夢は先生になることでした。
しかし今は夫の夢である飲食店を経営していますが、実は去年一年間、ある大学の授業を担当したんです。こんな形から自分の夢が叶うとは思ってもみなかったですね。形は違えど夢って叶うんだって実感しました。なので自分が夢が叶わなかったからといってそれを捨てないで欲しいです。夢の叶え方は一つの形ではなく、色んな形で叶うことがあるんだっていうことを覚えといてもらえたらなと思います。

記者:本日は貴重なお話をありがとうございました。

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中村さんの活動、連絡については、こちらから↓↓
FaceBook: https://www.facebook.com/akemi.nakamura0731
HP:http://www.100shokuya.com/

【編集後記】
今回、インタビューを担当させていただいた所、小池です。
様々なメディアでも取り上げられ活躍されてる方ということもあり緊張しながら伺いました。そしたらとても明るく気さくな方で、楽しくわかりやすくお話し頂きました。今の活躍にいたる背景はドラマティックでここで書ききれませんが共有したいお話が他にも沢山ありました!

この度は貴重なお話、ありがとうございました!

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この記事は、リライズ・ニュースマガジン “美しい時代を創る人達” にも掲載されています。



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