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人間ヴェルディ

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彼の音楽と人生、そして その時代
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2022年12月の記事一覧

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(9)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第一部 本人が語った「ナブッコ」初演までの様子 ヴェルディは一生涯、自分と周りの人々のプライバシーを厳しく守ってきた。彼が68才の時、ベルリーニの生涯に関する記事を送ってきた友人に、「なぜ、音楽家の手紙を掘り出して、とやかく書くのか?音楽家の手紙は常に急いで、簡潔に、気遣いなしに書かれ、さらに何が重要かも示していない手紙が多い。それは音楽家は作家として名を残そうなど、

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(8)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第一部 第8章:当時のオペラのスタイルと、 「一日だけの王様」 1839~1840年;26歳 オペラ・シリアとオペラ・ブッファの違い メレッリとの新しい契約の下で、ヴェルディは喜劇オペラ、オペラ・ブッファではなく、深刻オペラ、オペラ・セリアが求められていた。1840年ごろにはまだはっきりと定義が決まっていない新しいタイプだった。ナポレオン時代とその後の政治的、社会的

人間ヴェルディ:彼の音楽と人生、そして その時代(7)

著者:ジョージ・W・マーティン 翻訳:萩原治子 出版社:ドッド、ミード&カンパニー 初版 1963年 第一部 ミラノでの戴冠式と「オベルト」の初演 (1838〜39年;24〜26歳) 政治的背景と戴冠式の意味 ヴェルディとマルゲリータは戴冠式の週の真ん中にミラノに到着した。オーストリア帝国の皇帝、フェルディナンド1世はロンバルディア・ベネツィア国の国王として、ミラノの大寺院で、自ら王冠を乗せるために来ていた。その祝賀行事は絢爛豪華なものだった。ヴェルディがバレッツィに