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フロム秋田エンカウント:トモキ。

昨夜、帰宅途中で声かけられた。

この時間に道を尋ねる?いやどう考えてもやばいやつやな、と思って警戒した。

きかれたのは、この辺で外で寝れるところないですか?、と。

意味わからんかったので、「ホテルとかです?」ときいたら、なんか事情話し始めた。


本人曰く秋田のド田舎から来た42歳トモキ氏。

「あー私39歳です」といって話し始めたら泣き始めた。

同じ時代を生きた人と話せるなんて。おにいさんすごいよ、おにいさんすごい。こんな都会で住んで。

本格的に詐欺を疑い始める。というか最初から疑っている。


ここ数日寝てなくて歩き通しで、足は疲労骨折してて足にはシップはりまくりらしく、頭おかしくなりそうとのこと。まともに会話できたので安心したとのこと。


地元で飲食店をやっていたが潰れ、親も亡くなり、そして何故か東京に来た。なぜ来たのか。ワンチャンあると思ったのか自暴自棄なのか。

自分なんて生きてても仕方ないクズなんですと強調。
普通にヤバイやつやん……。

金が無くなって地元に帰れなくなってしまい、警察に行って事情話したが親族の連絡先教えてとしか言われず、いや親族もう居ないから、というと2回ほど役所をめぐって翌日から日雇い4000で働ける建設現場があるみたいだからそこに2日働けば地元帰れるといっている。それまで外で寝れる場所を探しているという。
もう東京には二度ときません、と。


「外で寝れるところはちょっとわからんです」というと、ありがとうおにいさん、といって立ち去ろうとする。

いやちょっとまて、と流石に自分そのひと止めて、俺も混乱してるので目の前の自販機で何か飲み物でも与えて落ち着かせようとしたが、いやいいと拒否。


もう数日寝てなくて、警察からヒートテックとカップ麺もらって、トイレの水道の水飲んで飢えをしのいでるが、気分が悪くてカップ麺は全部吐いて、飲み物も飲める状態じゃないという。

国のこんなひとたちに今まで税金払ってきたと思うと本当に嫌になった、といいはじめた。
面倒くさすぎる。


詐欺覚悟で、財布から5000円出して「これですぐ家帰りなさい」と渡そうとするが、本人また泣き出して、拒否する。
結構拒否された。

「それでもいいよ」というと、おにいさん……本当に言ってんすか、みたいなこと言いだす。


増やして返すことも自分はできないかもしれない、それでもいいのかと言われ、「いや貸すのは嫌だからこのお金あげるんで。これで秋田帰ってください。返さなくていいです。私の名前や住んでるところは教えません」というと、申し訳なさそうに、……地元帰るのに鈍行で7800円かかるんです、と。(あとで秋田までの運賃調べたら、県庁所在地までは9000円台かかるようで、もしかしたらそこまで行く途中が目的地なのかもしれないが、実は1000円とかは所持金があったのかもしれない)


わかったよ!ちょっとコンビニ行ってくるから!


一緒についてこようとするけど歩くのが苦痛らしくめっちゃ遅い。


コンビニで9000円現金ダウンロードして、コンビニ前で足の様子見ながら座ってる本人に「東京はね、こういう風に詐欺をして人からお金をとるひともいるの。だからこの街ではみんな通りすがりのひとにやさしくすることが難しいの。これは私があんたに騙されたと思って渡します。返さないでいいです。」というと本人、空を仰いでガチで憂いのある悲しそうな顔をする。
なかなか普段生活してると見れないかもしれん。


お金渡すと、幾らかもらったかを数えようともしない。一応数えてくださいと言ったが、いやいいんです、と。泣くなおい。


彼曰く、自分ほんとは地元で斡旋された仕事いくつかあったのにそれ蹴って東京来て……でも帰ったら本当に真面目に頑張ります、と。


拳を胸に強くあてて涙流しながら歯を食いしばって、がんばります(の秋田弁?)を繰り返す。

もう東京には二度と来ないけど、もし秋田に来たらトモキってやつ頑張ってるか、って言ってきてください、とのこと。

また最後に、本当にがんばります!(の秋田弁?)を大きい声でこっちに向かって直立の姿勢で叫んでた。


俺が背を向けて去ると、彼は上野方向に向かって歩いていった。


てか後で思ったけど、疲労骨折してるのに日雇いを雇うところとかあるのかよ……。
仮に働けても色々詰むでしょ……。



帰宅して仲間とヴァルヘイムをやる。


いやー……びっくりした……。

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