海の天辺 再考

ネタバレします。気をつけてください。

おもしろさ:★★★⭐︎⭐︎

あらすじ:中学三年生の女の子が学校の先生を好きになる。そして、自分のことを好きになってくれる秀才くんがいたり、先生も先に他の人と付き合ってたりするんだけど、最終的にはなんやかんやあって中学卒業と同時に正式に付き合うことになった、という話。本当に先生は私を選んでくれるのか、という主人公の思いが最終的に成就する、ハッピーな物語。

前提:いちばん好きなのは先生だけど、世間体とかの障害がたくさんある。一方で、小学校の頃から自分を好きでいてくれる秀才くんがいて、優しいしそこそこモテるから、彼と付き合ってもそれなりに楽しいんだろうな、という感じがする。しかし、やっぱり先生と付き合いたい、という思いが強くて、最終的に先生と付き合うことになる。

考察:合理的に考えて、この人と付き合えばいいじゃん、という秀才君がいるのにも関わらず、それでも先生がいい、というのは、まさに恋愛が合理性に囚われないことを示している。その意味では面白かった。が一方で、こうやって付き合った後に、その気持ちは持続するのか、という疑問はある。将来この選択を正しかったと思うのか、それとも無難に秀才くんを選んでれば良かった、と後悔するのか。まあでも、後悔はしない感じはする。『あれがあの時いちばんの選択だった』と思う気がする。となると、付き合った後にどうやったらうまくいくのか、を俺は知りたい。合理性の外で始まった関係性が、どうやったら続いていくのか、ということ。

感想:ここに書かれてる、「いちばん好きな人をやっぱ選んじゃう、2番目に好きな人はごめんだけど無理!」というのは、なかなか男にとって痛い話だよなあと思う。一方で、2番目、ってのは大体、合理的に考えると好きになれそう、ってことなんだよな。なんか、そういう話ってリアルで聞くわ。なので、お金があるから、とか、職業が安定してるから、ってだけでは、恋愛はうまくいかないんだろうな。女性って難しい。

おもしろさの評価の理由:先生を好きになったのが、自分より背が高いから、という理由くらいしか見当たらない(主人公の女の子も背が高くてコンプレックスになっている)。純朴で素直な女の子なのだが、その子が先生をガチで好きになる、という飛躍感。いや逆だな。先生がすでに付き合ってる人を捨ててまで中学生女子を選ぶ、というのが共感できないんだわ。

以下メモ

天辺っててっぺんって読むんだなあと。これが第一印象。しばらく読んで、結構絵が綺麗だなと思った。古臭くない。古いんだけどな。
そして面白いと思ったのは、先生のことが気になり出した主人公が、顔を直視できない、って心の中で言うところ。ああなんか、恋愛っぽいなと。
んーー、、なんていうか、優しさで付き合うとかもあるんだなと。で、も、好きってことにそれは負けるんだなと。何が大事なんだろうな結局のところ。まあ恋愛は続かないってことなんだろうか。
ただ思うのは、よく持ってったな、っていうことね。まさか成立するとは思わなかった。
が、これの良さはいまいちわからない。
多分俺の中に枠組みがないんだろうけど。
なんか、先生は別に最初から本気ではないんだよな。だんだん本気になる感じ。

そして見てて辛いのは、主人公の女の子は、先生と秀才の2択がある。で、先生に対してはなんか熱烈に好きなんだけど色々障害があり、だから一時、秀才の方に流れる。で、初めて手を繋いだりとかして、それでドキドキしたりとか、優しいなって思って付き合うのも悪くないかもしれないな、とか思う。なのだが、最終的にはやっぱり先生を取るんだよな。そして、最終的に先生と結ばれると。んーなんか、この図式って現代でもあるような。優しいし頭もいいしすいてくれてるから、付き合う分にはきっといいんだけど、でも好きではない、っていう。というか、もっと好きな人がいる、っていう。そのもっと好きな人、というか1番好きな人を最終的に手にしたところが1番のハッピーエンドだなと。

向こうは自分のこと対して好きじゃないのにこっちはすごい好きで、一方で自分のことを好きって言ってきてくれるいい感じの男の子もいて、で、後者を選べばまあそれなりに幸せになれるだろう。一方で、前者を振り向かせて付き合うっていうのが、女性からすると最良の選択なのかなと、思わされた。好きになってもらいたくて、手繋いだり抱きついたりお弁当作ったりして、最終的に振り向いてもらえる、っていうのが女性は嬉しいのかなと。それが女性的にいちばんの形なのかなと。私のこと好きなのかな、と思いつつ、好きってことをちょっとずつ表現していって、最終的に好きになってもらって付き合う、っていう。うん、この図式は現実にやったことあるな。長続きしました笑と考えると、女性には追わせるっていうのが、男性としてやるべきことなのかなあ、という気はする。コミュニケーションをとっていいが、向こうがこっちを好きなのかはよくわからない。でも好きなので色々やって、最終的には好きって言われて結ばれる、という図式。過程で、この人でもいいのかもしれない、という人が現れる。秀才くんね。で、付き合おうかなと思うんだけど、最終的に、やっぱいちばん好きな人がいい、となる。これ辛い式だよなあ。まあでも、本人からしたら、自分の気持ちに嘘ついてる、って感覚なんだよな。そして、無理なことを成し遂げられたのは15歳だったから、とも書いてある。

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