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敗北者からあなたへ

【部員ブログ保存用】

4年前のあなたは溢れるほどの夢と希望を胸に抱き新たなスタートを切った。

あなたは時に心の奥底から喜び、時にどん底まで沈み葛藤した。

あなたはこれまでの人生に経験したことのない感情の揺れ動きを知った。

あなたは想像以上の責任とアイデアを手に入れる。

そして、次第に周りがつくりあげるあなたが、あなた自身を追い越していき、いつしか手も届かない彼方に行ってしまう感覚さえ覚えた。

いつどこでこうなってしまったのか。

あなたは理想と現実の狭間で考える振りをした悩みを繰り返す長い期間を過ごす。

それでも安心してほしい。

訳が分からずとも、ファイティングポーズをとり続けた道の先に、ぼくは今胸を張ってこのブログを書けている。

ーーー

「もう試合だけでいいんじゃない?」

早慶クラシコ3か月前に外池監督から突き付けられた言葉。

自分への過信と、将来への不安で、怠惰な日々を過ごしていた。

言葉に行動と思考が全く伴っていなかった。

会場がとれないから。Iリーグがあるから。時期が近くなれば何とかなるから。

そう勝手に自身を落ち着かせていた。

完全に見透かされた。

現実を何ひとつ確かに捉えることができていなかった。

悔しくて自分が心から情けなかった。

自分に自分が負けていることを自覚した瞬間だった。

同期や後輩は、早慶クラシコという夢舞台の運営をぼくに任せてくれているのに。

みんながその舞台を心から楽しみにしているのに。

自分自身にあれだけ腹が立ったのは人生で初めてだ。


そこからは、ただひたすらに、食らいついた。

練習の前後は、作業かミーティングで一日が完結する日々。

試合以外も楽しめる、来た人が熱狂できる早慶クラシコをつくりたくて。

みんなの思い描く、ぼくの思い描く、早慶クラシコをつくりたくて。

何度も挫けそうになって、何度も目を背けそうになって、何度も諦めそうになって。

本当に多くの人に迷惑をかけまくって。

力不足を痛いほど実感して。

正直、思い通りにうまくいったことなんてほんの僅かだった。

それでも、楽しかった。

自分を自分で認め、他者がつくりあげる自分と自分が交わる感覚。

そして、当日の熱狂を想像するだけでワクワクが止まらなかった。

きつくないの?

たまには休めば?

身近な人から見ても、かなりの時間と労力を費やしていたらしい。

それでも、やるしかなかった。

何より、夢中だった。

一度、自分の負けを受け入れ、弱さを知り、強くなれたから。

外池監督もはじめからやれよ、と思っているだろう。


濃密な日々を改めて振り返ると、

仲間がいて、外池監督がいて、サポートしていただいた企業の方々がいて、連盟の方々がいて。

すべての人に伝えきれないほどの大きな感謝があって。

いつしか、ぼくの発言や行動が、関わったすべての人を代表している自覚さえ芽生えていた。

そして気付いた。

自分一人では何も成し遂げることはできない。

今更かよ。

本当に今更かよって思う。

それでも、本当に大事なことに気づけた。

ぼくの原動力は“信じてくれる人”

これを読んでくれているあなたです。


「信じてくれる人がいるかぎり、戦い続けなければいけない」

自分に投げかけ続けた言葉だ。

そして助け続けられた言葉だ。


でも、ぼくは早慶クラシコを通して、負けた。

敗北者だ。

あなたが思い描いた早慶クラシコを創り上げることはできなかった。

もっと早くやっていれば。

もっと実力があれば。

もっと配慮が足りていれば。

あれやこれやと、外池監督のあの言葉と共に、よみがえってくる。

それでも、これだけの経験をさせてもらえたことは、本当に一生の宝。

早慶クラシコ、ほんとうにありがとう。

ーーー

ぼくらは、勝ち負けで経験を語る。

結果を一番に持ち出す。

資本主義の名のもとに生きていれば違和感はないだろう。

ぼくはある意味、上述した経験を負けだと認識した。

サッカーというスポーツはもっと明確に負けを認識する。

これから卒業して出ていく社会でも、多くの勝ち負けが存在するだろう。

世界は勝負に溢れているから。

でも、よくよく考えると、勝者は少ない。

敗北者の方が多いはずだ。

勝つまで、負け続けることもあるだろう。

立ち直れないほどの負けを経験することもあるだろう。

次がなければ、負けて終わることすらもあるだろう。

でも、人生は勝負の連続で、そこから目を背けることはできないだろう。

勝者に脚光があたり、勝つための方法が世の中には溢れている。

それよりも大事なことは確実にある。

グッドルーザーという言葉があるが、負け方ではなくて、負けた後どうするか。

どう受け止めるか。

どう生きていくか。

そこには自分を突き動かしてくれる原動力が必要だ。

だからこそ、ひとりになってはいけない。

負けて、弱さを知って、上を見て歩くことはとてつもなくつらい。

それでも、“信じてくれる人”がいればまた這い上がれるだろう。

あなたへ

いつでも自分を突き動かしてくれるのは、仲間だ。

どうか横にいる仲間を大事にしてほしい。

ーーー

最後になります。

同期や外池監督には、シーズンが終わって、たっぷりお礼するとして。

伝えたい後輩へ。

英吉、功、慧一、怜央、陸人、早慶クラシコの未来を託した。いつでも連絡してね。

丹羽、まじで期待してるぞ。

元、今のお前ならもうやれる。自信もって頑張れ。

徹、背負い過ぎず楽しんで。


引退ぽくなっちゃいましたが、まだまだ引退するつもりないです。

インカレ、やりきましょう。

また、頑張ろうと思えるように。

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