わかんない。

僕には男らしさというものがよくわからない。父親が居ないからだ。背中を追いかけるべく手本が居なかったから自分が他人に男らしく振る舞ってあげられない。

思えば僕は人が嗜む普通を享受することが無いまま大人になった。昔から甘えるのが下手だった。欲しいものがあってもねだらなかった。お金が無いのを知っていたから。母の愛人の元へ出掛ける際も本当は嫌だなんて言えなかった。母の機嫌を損ねたくなかったから。そんな風にして僕は自分の主張を殺して来た。そうして今言いたい事も言えない中身のない人間になった。歌詞を書くようになって歌を歌うようになって少しマシにはなったけどどうしても意見の交換が難しく張り合いになってしまう。幼い頃から沢山人と言葉を交えていたらこんな大人にはならなかったのかもしれない。

環境や人のせいにするのは良くない。それはわかる。でもその人の性格を形成するのは必ず幼少期の環境や周りの人物である。誰も成りたくて成った訳じゃないし自分も望んでこうなった訳じゃない。それを簡単に否定し甘えだと言うのは余りにもその環境に生まれ何とか歩んで来たその人が報われない。いつも死にたがりを否定するのは傷つけた奴らだ。いつも不幸を笑うのは不幸を知らない奴らだ。

人は生まれた環境で決まる。

今はただ愛した人の胸の中で眠りたい。