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その名はKaien① 自立訓練

こんにちは、スタッフSです。
みなさん「Kaien」という名を聞いたことありますか?

当院が開業する前、私は10年ほど精神科病院で勤務しておりました。何十年も入院された方を退院させるのが業務でしたが、そこから仕事に就かれる方はさすがにいませんでした。そのため就労に向けたサービスを、当院に勤務するまで全く知りませんでした。

2019年、間もなく私は「Kaien」という名を知ることになります。聞いた話によると、Kaienの社長さんのお子様が発達障害であったことから、発達障害の方が自立できる支援、社会で活躍できるための支援を提供する会社を立ち上げた、というのが始まりのようです。本も出版されていて、どれもとてもわかりやすいです。

当時のKaienさんは、自立訓練(自立訓練事業)や就労移行(就労移行支援)を千葉には持っておられませんでした。そのため「近いといっても秋葉原かぁ」と一瞬で選択肢から外した名前となりました。なぜって、当院の患者様の多くが電車に乗ることがこの上なく不安で、秋葉原まで毎日行ける体力があったら既に仕事をしているだろうと思えたからです。

そもそも自立訓練とは

今回ご紹介する自立訓練とは、厚労省によると「地域生活を営む上で、生活能力の維持・向上等の支援をしてくれる場所」だそうです。通所、宿泊、訪問といった3つの形はありますが、どれも最長2年の利用制限があります。
私のもともとのイメージは「特別支援学校や学級の卒業生を受け入れて、食事の準備や掃除・洗濯、金銭管理、人間関係など、これまで誰かにやってもらってきたことや苦手としていることを教えてもらったり、やってみたりができるところ」でしたが、どうやらそんなイメージは時代遅れだったようです。

株式会社Kaienに行ってみた

昨年でしたでしょうか、Kaienさんがご挨拶にいらっしゃって「津田沼に自立訓練をオープンするんです」と。そのあとすぐに就労移行もオープン。気付いたら当院の患者様がひとり、またひとりと通い始めているではないですか。そこで遅ればせながら見学のアポを取らせていただきました。

一瞬わからず通り過ぎる

ビル名は合っているけど、なんとなく自信がない。遠くからのぞくと、フロア案内に「Kaien」の文字!

エレベーターの扉が開くと、目の前に重たそうな扉

どうやら靴を脱いで入るシステム。当院のプログラム「ワーク&スタディ」も靴を脱ぎますが、面倒なことはもちろんありつつ、どこか寛げるのは日本人だからでしょうか。
呼出しブザーを押すと、自立訓練と就労移行の管理者の方、おふたりでお出迎え(手厚い)とても優しそうな方々です。話し方で、仕事に誇りを持っているんだなと感じます。

これ以上の人数は来ないと推測

こちらの自立訓練には、ガクプロも併設しているようです。大学生や専門学校生が対象の事業ですが、今回は自立訓練がテーマなので知りたい方はこちらをどうぞ。

みんなで1つのことをワイワイがいい

利用者さんを写すわけにはいかないので写真をいただきました。私が見たのは、床に座っている10人くらいの方々と、白いデスクに座っている4,5人の方々が意見を交わしている光景でした。パソコンを触っている方もいます。どうやら決まったお題について、みんなで話し合うプログラムのようです。
私にとって、自立訓練や就労移行でこの光景は初めてでした。何が初めてかというと、オンラインで都内や神奈川県、大阪府の事業所とリアルタイムに繋がり、100人以上が一斉に同じお題について考えるといった大規模な点です。
面白いなと感じました、事業所内で完結しているのではなく会社全体でやっているところが。それにネットやデバイスをふんだんに使っているのが今風。

若い方が多いなと思えたのですが、30代40代の割合が多いとのこと。また、個別で活動されている方もいて、全員で同じことをしないとならないわけではなく、一人ひとりに合ったカリキュラムがあるようです。「あの奥の方は何をされているのですか?」と聞くと「登竜門です」と・・・と、とうりゅうもん?

  • IT登竜門

  • デザイン登竜門

とありまして、これがまたスゴイんです。一般的なeラーニングとは、おそらく違う。eラーニングは、モチベーションの維持が個人に依存しており、実技学習にも不向きです。こちらの登竜門は、課題提出など実技にも力を入れており「流して終わらせた」とはいかない仕組みとなっています。登竜門はネットで誰でも購入できるようですが、かなりの高額です(ご自身でお調べください)。もちろん自立訓練、就労移行に通所されている方は無料です。

全体的な印象として、ガッチリ組まれたカリキュラムがあり、通所している方に暇を作らせないといった感じでしょうか。もちろん疲れた方には、ゆるりと休めるスペースもご用意されております。

Kaienの自立訓練

興奮しながら説明してきましたが、「結局のところ自立訓練の目的は?」と疑問が聞こえてきそうです。前述したように、むかしむかしは私の時代遅れなイメージ通りだったと思います。でも今の自立訓練は、様々な形、異なる色合いを事業所によって作り出しているように思えます。
Kaienさんの場合、まずは自分の病気や障害を知りたい・受け入れたい、生活リズムを整えたい、人間関係を上手に構築したいなど、就労の前にやりたいこと、やらねばならないことがある方は自立訓練が良いでしょう。何をどうしたらいいのかわからなくても、とにかく通所してみるというのもアリです。家に一人でこもっていても何も始まりませんし、一度乱れきった生活リズムは1人で簡単に戻せるものでもありません。自立訓練から直接就労を目指すこともできるようなので、自立訓練と就労移行の両方を見学するのがオススメです。就労移行とはまた雰囲気が全然違います(続編をお待ちください)

うつ病でも休職中でも

Kaienさんでは、発達障害以外の方も受け入れています。どこか完璧主義で、ガッチリ組まれたカリキュラムにしっくりされる方もいらっしゃるのではないかと思います。また、休職中の方、つまり会社に在籍されている方もご利用できます。復職に向けて、生活リズムを改善・維持するためにご利用されると良いと思います。職場で人間関係に疲弊し、休職によって一時的に離れられたとしても、離れすぎると人と関わること自体がしんどくなります。体調が整い次第、人と触れ合う時間は少しずつ増やしていく方が良いのです。

利用料という大切な話

自立訓練、就労移行は障害者総合支援法で定められた福祉サービスです。国のサービスですから、それほど高額な設定にはなっていません。収入(利用者本人+本人の配偶者)によって支払い上限が決まっていますので、たくさん利用しても上限までとなります。
上限額をおおまかに伝えると、年収300万未満であれば利用料0円。600万未満であれば月額9300円。それ以上だと月額37000円になります。
利用期限2年間に注意が必要で、途中で辞めても、途中で事業所を変えても利用期間はリセットされません。2年かけても就労できなかった場合、延長できるか否かは市町村が決めることになります。

今回はだいぶ長くなってしまいました。
次回は、Kaienさんの就労移行についてアップする予定です。ぜひお楽しみに!


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