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お祭りの笛 ②まま 遊びに行っていい?

おおならし(リハーサル)まで3日間、頑張って練習してみようと決めたお祭りの笛。

同じタイミングで私の唇におできができて、私もまた笛の音が出なくなってしまった。
お祭りまで唇がこのままだとして。
それでも笛の音を出すにはポジションをどう変えたらいいかなと試行錯誤しているうちに、本当に笛の音が出なくなって、ちょっぴりはるちゃんの気持ちもわかった。

私は私で自分の笛の音のことが心配で、しょっちゅうふえを唇に当てて吹き方を試行錯誤して過ごしてた。
それを見てはるちゃんも しょっちゅう笛を口に当てて吹こうとしていた。
私が私のことに夢中になることで
はるちゃんははるちゃんに夢中になっていった。

最初の日はがむしゃらに吹いたけれど、まぐれのように高音でメロディが溢れるくらいだった。


翌日
学校から帰ってきて
「まま 遊びにいってきていい?」
えっ?
「友達に誘われたの。」
ええええ==。
はるちゃん 。 ままは信じられない。
「うん。わかった。練習する。」

2日目の夜、お祭りの練習の場で、3分の1くらいの確率でメロディが高音で吹けるようになった。

そしたら。
「まま もうできるような気がする。 やれそう〜」

でも はるちゃんはるちゃんの音はきれいじゃないよ。
はるちゃんの笛の音で、男の子たち踊れるかな。

「う〜〜〜〜〜ん おどれない」


いろんなやりとりをしたけど

今までのはるちゃんと私の関係からしたら、ありえないくらい練習をした。
家の中で練習して、あまり長い時間は上の階の方や下の階の方に迷惑かもと思って、車で買い物に行きながら練習したりもした。

でも、なかなか安定した音は難しい。

もう少しでできそうなのにできない・・・と言いながら、おおならし(リハ)の会場について、笛を吹いているとき、そばを通った獅子をするお兄ちゃんが
「おっ すごいうまい。綺麗に吹けてるわ〜〜」と褒めてくれた。

「まま〜〜〜 初めて褒められた〜〜〜〜」

そこから
別人になっちゃったかなというスピードで腕を上げて、おおならし(リハ)の時には、他の友達と並んで、ちゃんと笛を吹き役目を果たしていた。

帰りの車の中で
「まま だんだんわかってきたの、どんなふうに吹いたらいいのか。
でも、明日の朝起きたら、ままみたいに吹けなくなっちゃうこともあるかもしれないから、起きてすぐ吹いてみるね」
と言いながら布団に入っていった。

明日の朝まで その言葉を覚えているかどうかは、ちょっとあやしいけれど。

ギリギリセーフ

なんだか、生まれてくる時も、そういえばこういう感じだったなぁと思い出した。
なかなか出てこなかったんだよはるちゃん。
ギリギリセーフで出てきたの。

でもきっと ギリギリセーフと思ってるのは私で、はるちゃんのリズムとしては、いまこそという時なのかもね。

宵宮の7日は早朝にお宮にお参りして、町周りからスタート。
夜は20時から宮入り。
早朝から夜遅くまで、保存会の皆さんの仲間に入れていただいて動いていく。

子ども同士が仲良しになって、大所帯の親戚のお盆や正月のような雰囲気に浸っている。

さて。
この後はどんなドラマが待っているかな。

どんなこともうれしい。
ありがたい。
本当にありがとう。




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