「年功漸減賃金」ですべてを解決する #書かずにはいられない
上記の「男性外科医」の方はその後、紆余曲折を経て、こうなりました。
彼は大学病院でしかできない最先端の手術で患者を助けることに生きがいを感じ、過酷な労働にずっと耐えていました。しかし、その生き甲斐を失うことと引き換えに、家族や自分自身の時間と高い給与を手にしたわけです。
生き甲斐を手放した代わりに、個人としての豊かな生を手に入れた。
さて、あなたはどう思いましたか?
彼の生き方やその選択は、尊重されるべきです。
この先は、記事をヒントに私が思ったことを書きますね。
医師に限らず、多くの人が働き方や給与面で人生を楽しめていない現状があります。
「楽しむ」と書きましたが、それほど大きな「楽しみ」を求めているわけではありません。
・結婚したい
・子どもを産みたい
・家を建てたい
そう願う人がそうできる社会を求めているだけです。
では、すべてを一挙に解決できる方法はあるでしょうか?
あります。
たとえば、このようなプランはどうでしょうか。
✖ 年功序列賃金
〇 年功漸減賃金
若い年代に多くの賃金を割き、加齢とともに給与を下げていく、という給与体系です。
現行は「年功序列型」の賃金体系になっています。20代前半で20万円程度の月給からスタートして、50歳頃に賃金のピークを迎え、以降は徐々に減少して60歳で定年を迎え、雇用を延長しながら65歳まで働き、その後は年金生活に入るがそれだけでは食べていけないので高齢でも従事できる仕事に就き、動けなくなるまで働く。
書きながら少し悲しい気持ちになりましたが、一般的なサラリーマンはこんなプロセスをたどります。
このシステムだと、次のような課題を克服することができません。
✔安月給で結婚できない
✔安月給で子どもが持てない
✔安月給で家を建てられない
✔安月給だから転職できない
✔安月給だから夢が持てない
日本は「少子化」「超高齢化」社会に突入したと言われて久しくありますが、あなたはどれほどリアリティを感じているでしょうか?
人口統計は最も確度の高い未来予想と言われており、2100年における人口推計では、驚くような数字が示されています。
9,515万人(高位推計)
6,407万人(中位推計)
3,770万人(低位推計)
中位推計を現実的な数字と考えてみても、現在の人口の半分です。この人口で、日本という国を維持できるでしょうか?
そこで、先の提案です。
それは「若手労働者層に最も高い賃金を与える」というものです。
たとえば、20代の労働者に40万円の月給を与えることにします。現行の倍くらいですね。
そうすると結婚できます。夫婦のうち片方が仕事を辞めても結婚生活は維持できるでしょう。一馬力でも、子ども一人くらいなら産んでもいいかな、と思えます。二馬力なら2人産んでもいけそうです。
結婚したくても、子どもが欲しくても、それを実現できないのは「お金がないから」です。家を建てたい人は、場合によっては結婚や子どもを諦めます。
結婚しなくてもいいから子どもが欲しいという人は潜在的に多くいそうですが、日本では社会的に整備されていませんし、心情的にも受容されにくいのが現状です。個人的にはアリかなと思いますが。
さて、20代で40万の給与を得た労働者は、加齢とともに給与が減っていき、60歳で20万になるとします。つまり、現行の逆をいくわけです。
しかし、若いうちに結婚、出産、子育て、家づくりが済んでいるため、高齢になってからの金銭的支出は抑えられるでしょう。子どもは巣立ち、家のローンは完済され、体は程よく利かなくなった。さあ、ここからがセカンドキャリアのスタートです。
キャリア移行の準備は、50歳頃から始めておけばいいでしょう。その年齢の時点で不安要素がある程度片付いているのであれば、次のキャリア形成にスムーズに移行できるはずです。
「60歳で20万円の給与」って、怖いですか? みんな、何をそんなに恐れているんでしょうか。若い頃に欲しいものを手に入れ、やりたいことをやっておけば、老いた時に後悔することはないと思います。
誰もが不思議なくらい、老後の心配をしています。想像ですが、歳を取ってから過剰なお金を手元に残しておきたいと思う人たちは、そうすることで若い頃の貧苦をリカバーしようと思っているからではないでしょうか。
いくら平均寿命が延びたとしても、60歳を過ぎれば体にガタがきます。ちょっと走ったり階段を上がったりすれば息が切れるし、視力も落ちる。反射神経もぐっと下がってくる。持病も一つや二つあるのが当たり前です。
「死ぬ前に後悔することリスト」ではありませんが、「やりたいと思っていたことを行動に移すお金はあるが、それを実行する体力も意欲さえも失う年齢」になってしまっているわけです。
仮にあなたが大金を持って高齢期を迎えたとしても、本当の意味で楽しむことはすでにできなくなっています。
だからこそ、若い世代を金銭的に厚遇し、50歳頃までに「すべての営み」を体感させる。もちろん本人が希望すればです。そして「生を満喫した人たち」は人生の後半を迎えた時、それまでに培った経験と知恵をフルに使ってセカンドキャリアの海へ漕ぎだす。
自分と配偶者が食べていければいいんです。あなたの子どもや孫は、彼ら自身の人生を歩んでいくでしょう。ここまで割り切ることができれば、寂しさを感じることもありません。この世に生を受ける時とこの世を去る時は、誰もが一人ですから。財産だって自分の代で使い切るつもりでいれば、相続問題も解決します。
結婚しろ、とか
子どもを作れ、とか
家を建てろ、とかいう主張をしたいのではありません。
高齢者層が若者を搾取している、などと聞いたことがあるフレーズを言いたいわけでもないんです。
少子高齢化が進むことによって、仮に日本という国が滅んでしまったとしても、それは仕方のないことです。価値観の多様化を認める社会は個人の生き方を最も尊重した社会であることは間違いありません。
ただ、今の閉塞した状況は、真綿で首を絞められているような感じがして、どうにも気分がよくないんです。頑張っても頑張っても明るい展望が見えてこない感じがするんですよね。
自然で無理がなく、
後悔をより少なくし、
人生の楽しみを享受し、
未来につなげていく考え方ができればいい。
だったら、「年功漸減賃金」という制度は、多くの人のささやかな夢を叶えてくれるんじゃないかな、と思って書きました。
問題は「若いうちに苦労しておけば、あとでいいことあるよ」的な思考で日本社会が回っている点にあります。
たとえばですが、安月給でパワハラの横行する会社で長時間拘束されている20代に対して、「夢を持て」と言う感覚は、かなりマヒしていると思います。
その状況で「結婚・出産祝い金制度」とか「家づくり補助金」とか「空き家転住誘致」とかって、かなりズレています。社会的土壌のない中で「恵まれた者」「チャレンジした者」だけに褒美を与える。一方で、「何も持たず、一歩踏み出す勇気が持てない、でも真面目に頑張ろうという気持ちはあるマジョリティ」を救えない社会には、希望が持てないんです。
二十歳そこそこで「最優先事項は社会に順応し貢献すること」という圧力をかけられた若者たちは、疲弊し、離脱し、その結果、社会システムが瓦解していきます。高齢者層は年齢をアドバンテージにしてはいけません。
「年功漸減賃金」だけでなく、いろんなアイディアがあるでしょう。
「多様性を尊重しながらも、同時に社会制度を維持していく方法」が、きっとあるはずです。
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思いつきと勢いだけで書いている私ですが、 あなたが読んでくれて、とっても嬉しいです!