
気象予報士になるために
2021年3月、3年間の勉強の末、4度目の気象予報士試験で無事に合格しました。気象予報士を目指す方にとって少しでも参考になればという思いで試験勉強でやってよかったことをまとめてみました。
気象予報士を目指すきっかけ
私は人道支援団体に勤務する30代の会社員です。普段は、海外で起こる自然災害に対し支援を検討したり、その広報活動をする仕事をしています。ときには日本国内で起こった台風災害などの対応にあたることもあります。近年では自然災害の規模が年々大きくなっており、残念ながら命を落とす方も大勢いらっしゃいます。
日本でも毎年梅雨時期になると毎年のように大雨災害が起こり、平成30年7月豪雨では死者数が250人以上となりました。こうした災害から人のいのちを守るためにはどうしたらいいのか、そしてそのために専門的な知識を得るにはどうしたらいいのか考える機会が次第に増えていきました。もちろん平時から備えることも重要ですが、人のいのちを守るために気象情報を正しく伝えたいという思いが強くなりました。それが気象予報士を目指すきっかけでした。
受験歴
過去の受験歴は以下のとおりです。なお私は理系の大学院を卒業しており、理科は比較的得意なほうで、計算問題にも苦手意識が少ないほうです。それを踏まえて以下読んでいただけると幸いです。
第51回 一般 〇 専門 × 実技 ×
第52回 未受験
第53回 一般 免除 専門 〇 実技 ×
第54回 一般 〇 専門 免除 実技 ×
第55回 一般 免除 専門 免除 実技 〇
一般・専門の勉強でやったこと
まず、気象予報士を目指す人がみんな登録しているといっても過言ではないめざてんサイトのメルマガ(メール講座)と本サイト内のめざてんメンバールームに登録をしました。定期的に気象予報士試験に必要な知識をメルマガで得ることができることと、10年以上前の過去問もダウンロードすることができるようになります。
テキストはいろいろと本屋で読んでみたのですが、こちらの二冊がわかりやすかったです。バイブルと言われている「一般気象学」も本屋さんで読んでみましたが当時は内容が入ってこなかったため購入しませんでした。

らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト(学科・一般知識編) [ 気象予報士試験受験支援会 ]ROOM - my favorites

らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト(学科専門知識編)改訂新版 [ 気象予報士試験受験支援会 ] | ROOM - my favorites
多少わからないところがあってもこの2つのテキストを1回読み切ることを最優先しました。過去問8年分をめざてんサイトの解説を読みながら進めました。それでも疑問に思ったところは教科書に必ず戻って確認することを欠かしませんでした。
通勤時間には、ユーキャンの一問一答のアプリで勉強していました。

間違った問題のみを復習する設定もあったため知識がとても定着しました。何気にこのアプリが私には一番合っていたかもしれません。
前述しためざてんサイトのメール講座は夜寝る前に見ることが多かったです。そして試験が近づいてくると「直前対策講座」を配信してくれるのでポイントを総復習でき、非常に役に立ちました。これを見るだけでもだけでも1問か2問正解が増えることになると思います。
実技の勉強でやったこと
一般、専門と同じシリーズのテキストを購入しました。

らくらく突破気象予報士かんたん合格テキスト(実技編) [ 気象予報士試験受験支援会 ]
このテキストでは天気図を読むにはどういった知識が必要なのか、暗記すべき事項は何なのかが分かりました。このテキストにはテーマ別の問題もついているのですが、過去問と問題文の表現が違ったり変に記述量が多かったりで過去問の演習のほうが大事だと感じ、問題は一度しか解きませんでした。基本辞書代わりに使っていました。
テキストを一回読み終えた後、合格者のみなさまが「過去問にまさる教材はない」おっしゃっていたので素直に過去問10年分を解く計画を立てました。古い過去問もめざてんサイト1回で75分、答え合わせをして復習すると2時間以上かかるので、第54回までの3回の試験では5年分を2回くらい、直前に間違ったところを重点的に見直すので1回くらいが限界でした。
第55回の受験では、学科が二科目とも免除になったのでどうにか残り5年分を解き、その後解いたことのある5年分の過去問をを解くスケジュールをたてました。10月から1月末までは実は120日間くらいしかないので、一日一題実技試験を解いたとしても、4題(1年分)×10年=40題なので、どう頑張っても3回くらいが限度でした。私の場合は毎朝5時に起きて実技一題を75分間で解く→朝ご飯→仕事→夜に朝解いた問題の答え合わせと復習→22時までに就寝 という生活サイクルを3か月程度続けました。コロナ禍ということもあり、試験本番を想定してマスクを着けてを勉強するようにしていました。
復習方法については、間違った問題は誤った理由を付箋にメモして小さいノートに貼っていました。なぜそのキーワードを書けなかったのか、計算問題は考え方があっていたのかなどです。


そして頻繁にでてくるような論述(例えば、大雨になる理由など、波の高さの違いなど)はankiアプリに入力するという方法をとっていました。アプリに入力する理由は通勤中、ランチ中などの隙間時間に勉強するためです。ノートをまとめることができる方はそれでいいと思うのですが、私はノートにまとめるのが学生の時から苦手で、暗記アプリを使用していました。

12月上旬くらいまでは過去問を解いても時間もぎりぎりで、初見の問題では点数も60~65点くらいであまり手ごたえを感じなかったのですが、あるときから急に問題を解く時間にも余裕ができて、2回目に解く問題で点数も90点付近で安定するようになりました。学力は二次曲線でUPするというのは本当のようです。このくらいに仕上がるまで個人差があリますが、地道に学習すると必ず訪れると思います。学科を免除になっていても、めざてんメール講座はなるべく見るようにしていました。
モチベーションの維持について
誰もがぶち当たる壁、それがモチベーションの維持です。私も何度もくじけそうになりましたが、以下の2つによりなんとかモチベーションを保つことができました。
めざてんゼミへの参加
第55回の気象予報士試験を目指す人向けに、めざてんサイトの管理者の北上様が、「めざてんゼミ」を開講してくれました。メンバーは当初20人くらいでした。このゼミの存在はメール講座の中で知りました。合格者の中には知識の学習とは別にモチベーションをどう維持するのかに苦労したという方がたくさんいらっしゃったとのことで、勉強する仲間を作ること、そして気軽に疑問点などを共有できる場をということで作ってくださったものです。当時の私にはぴったりと思いゼミに参加させてもらいました。私はゼミの一期生にあたります。
はじめはchatworkというアプリ(LINEのようなもの)に登録し、過去問の中で疑問点などを気軽に相談できるグループができました。次第に管理者の北上様とゼミメンバーともやり取りが活発になってきて、合格を共に目指す仲間として少しずつ一体感が生まれてきました。
やり取りがある程度活発になってくると、後からなんのトピックについて話していたかわかるようにしたいという意見があり、途中からめざてんゼミ生限定の特設サイト上でやり取りをするようになりました。
ここでさらに画期的だったのは頑張るゼミ生の姿が見れるようにと、毎日挨拶するトピックが立ち上げてくださったことです。あいさつをすることで〇〇さんが頑張っているから私も頑張ろうという気持ちが芽生えるためゼミの仲間のために毎日書き込んでくださいとのことでした。そして、「挨拶をしない人は受かりませんよ!」とまでおっしゃってルール化されました。
私はちょうど夜型から朝型に切り替えたいと思っていたときでした。はじめは朝起きるのがつらかったのですが、朝がんばっているゼミ生が数人いたため、〇〇さんも朝頑張っているから私も頑張るという気持ちになり、次第に朝に勉強することが定着していきました。あまりマメではない私はこのただ挨拶をするという行為をはじめは正直「少しめんどくさいな」と思っていたのですが、これによってお互いに高めあうことができたのでとてもいい取り組みでした。
また、めざてんゼミでは模擬試験を実施してくださいました。これはめざてんサイトにも掲載していないような古い過去問を教材として、北上様が添削をしてくださるというものです。私は10題分ほど添削していただきました。間違えた問題についてポイントを教えてくださったのでとてもよかったです。
ラーニングログをつける
私は毎試験後、勉強方法の改善を図っていました。もっと要領よく学べるのではないか、どうやったら覚えたことをなるべく忘れないでいられるか、そして過去問演習のモチベーションを維持できるのかなどです。第54回の試験の結果が不合格だった直後、この本と出会いました。

独学大全 絶対に「学ぶこと」をあきらめたくない人のための55の技法 [ 読書猿 ] | ROOM - my favorites
独学をするメソッドが詰め込まれた辞書のように分厚い本なので、すべてのページを読む暇はありませんでしたが、モチベーションを維持するための学習法として私にピッタリな方法が一つありました。
それがラーニングログをつけるという方法でした。
自分が勉強すべき項目を書き出して表を作成し、勉強が終わったら☑をつけていく、ただそれだけです。スマホに入力する人もいるかもしれないが、私は強く紙に書きだすことをお勧めします。それは一目でどのくらい勉強したかわかること、そして、☑をつけることによる自己肯定感が得られるという2つの理由からです。加えて、私は解いた時の点数も記録しており、自分がどれだけ成長したかも確認できるようにすることでモチベーションを維持していました。
実際のラーニングログはこちら

本番の手ごたえ
本番というのは魔物が潜んでいるものだと思います。これだけやり込んでも第55回の実技試験は見たことのない図がでてきたためテンポよく問題を解くことができませんでしたが、分からないのは私だけではないと踏ん張り、易しい問題はぜったいにとりこぼさない!と慎重に問題を解きました。しかしながら試験が終わった直後、感覚的には実技1,2とも70点は取れておらず、実技1については60点くらいではないかという感じでした。
たまたま先ほど紹介した教科書を作っている団体の方が試験直後に採点をしてくれるという情報をインターネットで発見したので申し込んだところ、実技1、2ともに50点前後の点で次回のテスト頑張ってくださいと一言そえられていたほどでした(かなり厳しめに採点をしてくださったのだと思います)。
最後に
合格者のみなさんがそろっていうようにやっぱり過去問に勝る教材はないと思います。2回目、3回目と問題を解いて飽きてくることもあるかもしれませんが、あるときからぐぐっと点数が伸びる瞬間が来きます。ですので心が折れそうになっても自分を信じて過去問を解き続けてみてください。結局これが一番の近道です。
追記(2022/3/29)
気象予報士になったあと、ご縁があって気象関係のお仕事につくことになりました。こちらも合わせてご覧ください。
気象予報士になったあと、転職活動をした話|はるかぱ #note
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