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加茂昂くんについて

「一枚の絵の力」本当にいい絵は光を放っている。単に絵の具の材料としての特質だけではなく、絵には作家の精神や哲学、さらには死生観が現れる。物質から溢れたその思想が輝き、何か目を離せない光景を発するのではないかと考えた。
加茂くんの今回の作品に通じる1作をみたのは丸木美術館だった。彼が「追体験の光景」という展示をしたとき、「祈り」そのものをどう描くのかというテーマを私は感じたが、最後に描かれたのが下の作品。実は、福島の帰還困難区域の境界線の前から向こう側を描いた絵である。

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©︎Akira Kamo
立ち入ることのできない向こう側の光景をどのように伝えるのか、あるいは、描きながら考える、というのは、絵にしかなかなかできない思索の方法でもあると思う。

2020加茂一枚の絵のコピー

Name: 加茂昂 Akira Kamo
Title: IN YOUR BOX
Size:53×65.2cm(F15号)
Material: 油彩、キャンバス
Date: 2019

最近は家に居るのに疲れたら誰もいない森へ行く。
ある日、森で狸と目が合った。
「森はお前を歓迎していると思うか?」
とその狸は言った。

加茂昂 Akira Kamo
1982年東京生まれ。2010年東京芸術大学美術研究科絵画専攻修了。
3.11後、 「絵画」と「生き延びる」ことを同義に捉え、心象と事象を織り交ぜながら「私」と「社会」が相対的に立ち現われるような絵画作品を制作する。
https://oil.bijutsutecho.com/works/751/1100002591

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