無事にうまれてくるのが当たり前_ではない

無事にうまれてくるのが当たり前、ではない【妊娠トラブル/切迫流産・切迫早産】

1.安定期のある日、突然働けなくなった

妊娠16週~28週は妊娠安定期と呼ばれ、母体と赤ちゃんをつなぐ胎盤がしっかりと確立される時期。
妊娠前に持っていたイメージでは、安定期といえば流産の可能性も低くなり、まだお腹も大きくなってはいない時期なので身動きも取れやすく、キラキラした楽しく幸せなマタニティライフを過ごせる時期、というイメージだった。

実際には、安定期に入って1週間たったころ、切迫流産と診断され、その日から仕事も休業が必要になった。

妊娠17週に入ったころ、胎動かな?と思えるような感覚がお腹にあった。
ただ、多くの初産婦が胎動を感じるといわれている時期より3週間ほど早いこと、「最初はお腹の中で金魚が泳いでいるみたいなポコポコとした感覚」よりもずっと存在感のある感覚で、正直「?」という感じだった。
後から思い返すと、これは胎動ではなく「お腹の張り(子宮の収縮)」だったようだ。
胎動だと思っていたものは、日に日に下腹部の違和感、腰痛になっていき、ある夜、横になって30分以上たってもお腹の違和感と腰痛が消えなくなった。

その日の明け方、夢を見た。

夢の中でも妊娠しており、安定期に入ったからもう大丈夫!と思ってかなりの距離を歩いている。下腹部に違和感を感じて立ち止まると、なんと、出血している。流産かもしれないとヒヤッとしたところで目が覚めた。

目が覚めたら、午前6:00。
冷や汗と動悸、ひどい不安感。夢もはっきりと覚えていた。
そして、下腹部の違和感が強くなっており、解消されなかった。

泣きそうなくらい不安になり、すでに通勤のため外出していた夫にLINEした。
「どうしよう、お腹の張りが解消されない。出血して流産する夢まで見た。不安。」

夫からはすぐ返事が来て、
「念のため、病院に行こう。ちゃんと診てもらって『問題ないよ、よくあることだよ』と言ってもらえれば、精神的にも安心できるし。」
と受診の背中を押してくれた。

気持ち的には、今すぐにでも受診したいが、もちろん午前6:00ではまだ病院はあいていない。
早朝で申し訳ないと思いつつ、いてもたってもいられず、上司に連絡し午前に病院に行けるよう仕事を調整してもらった。

2.お腹の張りを伝えたら、先生の表情が硬くなった

不安を抱えて病院に行き、先生に症状を訴えたところ、先生と立ち会っていた看護師さんの表情が硬くなった。普段はニコニコと大阪弁で雑談までする先生が、である。

どうやら、17週という時期は普通、お腹の張り(違和感)を感じることはほぼなく、ましてや長時間続くというのはかなり不穏な状態、ということらしい。
よくネット記事で調べると、「妊娠中期のお腹の張りは生理的なもので、横になって落ち着くなら問題なし」と書いてあるが、中期といっても16週と28週では子宮の大きさも全然違うし、張りを感じることがあるのはどちらかというと28週付近、つまり中期終わりごろの話、ということらしい。
自己判断しなくて本当によかった。

すぐに診察してもらい、診断されたのは『切迫流産』。

切迫流産とは、文字の通り「切迫(期限が差しせまる)流産」ということ。
私の場合は、子宮頚管という子宮と腟をつなぐ”頸”の部分が短くなってしまっていました。妊娠17週であるにもかかわらず、妊娠22週相当まで短くなっている、という状態で、今すぐ危機だといわけではないがこのままのペースでいくと流産になる、という状態でした。

※以下は、「切迫早産」の詳しい説明ですが、時期の違いだけで切迫流産も起こっていることや対策は同じです。

先生から告げられた治療方針は、「自宅での絶対安静」でした。

今日から仕事は休業
・食事、トイレ以外は基本的にベッドの上で横になっていること
貼り止め薬を一日4回服用し、お腹の張りがなくなる状態を目指す
・風呂/シャワー禁止。体を拭くだけに留めること
・いつまで安静生活か、は私の子宮頚管次第なので明言できない
 =つまり、終わりが見えない。

3.無事に産んであげられるのだろうか、という心配

切迫流産と診断されたのは17週。
上の図にある通り、妊娠22週というのが大きな区切りとなります。
妊娠22週までは胎児の成長上、もし母体の外に出てしまったら胎児は助かりません
22週以降、週数が伸びるごとに胎児の生存率は上がっていく。

つまり、もしこのまま子宮頚管が短くなり続け、22週前に胎児が出てくるなんてことがあったら、もう助からないということ。
そんなことを想像してしまうと、めちゃくちゃ不安になった。

切迫流産・切迫早産は、いろいろな要因が絡んで起こるらしく、はっきりした原因はわからないことも多い。私の場合も原因は不明である。
子宮筋腫もあるし、症状が出る少し前に歩きすぎたかな、と思うタイミングもあったし、体質かもしれないし、どれもこれも関係あるかもしれないし、関係ないかもしれない。
わからないけれど、状況を打破するにはとにかく横になっているしかない。

4.自宅安静中の生活

まさか自分が切迫流産と診断されるなんて、という呆然とした思いで家に帰った。もともと体力自慢だし、ましてやキラキラマタニティライフが待っているはずの妊娠安定期にこんなことになるなんて、、、という衝撃があった。(※原因不明なので、体力は関係ないですが、気持ちとしてね。)

少し気持ちが落ち着いたタイミングで上司に電話して事情を説明。
ありがたいことに、即座に全力で、休業に入れるような体制を整えてくれました。
そして、私の性格(動かずにいられない)を知っている上司・同僚から『家事をするのも言語道断。絶対に動くな!(寝転んでいてもできるであろう)仕事SNSチェックも顧客からのメールチェックも巻き取る!!』という力強いエールが。おかげで安心して寝た切り生活に入れました。

そして、開始した絶対安静生活は今思い出してもとても辛かった。
一日4回服用の張り止め薬の副作用で、一日のほとんどが38度を超える発熱、動悸、手足の震え。座っているのもつらいくらい。
寝たきりなので、腰痛・背中痛がひどい。
シャワーすら浴びれないので、不快感。

熱が高いこともあり、1日のほとんどは眠っていられたのが救い。
それでも、眠りと眠りの間で1~2時間目が冴えてしまい、かといって何もできずにいる時間は苦痛だった。
会話する人もおらず、思考は悪い方に行きがち。

寝ててもできる暇つぶしがあるよね、と思うかもしれない。
私の場合、熱が高すぎて、
・小説のような活字を追うのは困難(集中力もたない)
・動画は自分の好きなペースで話が進まない(から、集中力もたない)
・ましてや、スキルアップの勉強なんて頭まわらない

唯一、文字が少なく絵を追うだけでよい漫画なら間が持つことがあり、電子書籍で読めたくらいでした。

この期間は、周りの人も含めて非常に辛い期間だったと思います。
・家事+私の世話は夫に集中
・とはいえ、すべてはできないので実家からも援助をもらう
・「子供(孫)ができる!」と喜んだ矢先の先の見えない不安
・職場から急に1名抜ける(なんの前兆もなく)

安静の必要性を理解し、支えてくれた周りには本当に感謝しかない。
※この間、生活をするためにした工夫は別途記事にまとめようと思います。
 きっと同じ経験をする人の役に立つと思うので。

週に1回の受診を繰り返し、状況も一進一退を繰り返した。
結果として、状況が改善し安静解除となったのは妊娠24週。
丸々2か月、ベッドの上で横になる生活だった。

5.妊娠はどんなトラブルが起きてもおかしくない

私をリアルで知っている人ならわかると思うが、体力自慢で、かつ職場でも最大限の配慮(立ち仕事は替わってもらい、残業もまったくなし)をもらっていた私でも妊娠トラブルはあった。
というか、体質由来のトラブルが多いので、どんな努力をしてもトラブルが起こるときは起こる

だから、
「自分の妻の場合は、大丈夫だった。(から、あなたも大丈夫よね?)」
「職場のAさんは大丈夫だったから、Bさんも大丈夫。」
なんて判断は絶対にNGである。

また、同じ「切迫流産・切迫早産」でも、必要な安静度は人と状況による
外出が禁止で家事くらいならOK、という人もいれば、
私のように食事・トイレ以外寝たきり、という人もいる。
管理入院で、院内歩行までは許される人もいれば、トイレも食事もすべてベッドの上で、という人もいる。

だから、他の人の事例を持ち出して、「あなたも(家事くらい、メールチェックぐらい、etc...)大丈夫よね?」なんてことは口が裂けても言ってはいけない。
それができなくて一番苦しいのは、本人なのだから。

6.妊婦の体調の自己判断は厳禁!

そして、妊婦さん本人に伝えたいのは、「体調の自己判断は厳禁」ということ。
ネットを検索すれば、いろんな情報が出てくるけれど、妊娠初期・中期・後期などざっくりした時期ごとの情報しかなく、それを信じ込んで自己判断するのは非常に危険。
とくに、「子宮頚管が短くなる」という現象自体には、自覚症状がない(お腹の張りすらわからないことが多い)。

何か不安になることがあれば、受診する。
医者に判断を仰ぐ。
何もなかったなら、それで安心できるのだからいいじゃないか。

7.無事に生まれてくるのは奇跡

25%ともいわれる初期流産の時期を乗り越え、安定期に入っても安心はできない。
私の場合は安定期で切迫流産・切迫早産を経験する、という珍しいパターンではあるのだけれど、妊娠後期で経験する人は多い。
出産までに切迫流産・切迫早産などのトラブルを経験する妊婦は4人に1人とも言われている。

無事に生まれてくるのは奇跡なのだ。
私には無縁だったがマタハラなんて現象もある。「当たり前ではない」という前提のもと、妊娠・出産への配慮ある社会にしていきたいところ。

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