剣客商売第4巻 第7話 突発
地図を作っています
池波正太郎著「剣客商売」は、一緒に江戸を歩いている気分にしてくれます。それで、いつか江戸の町を歩いてみたいと、地図を作りはじめました。
ご一緒に楽しんでいただけたら、うれしいです。
※ネタバレあり！未読の方はご注意ください。
本記事は第4巻 第7話突発 の場所を地図にしました。
※小兵衛の家などの、いつもの場所は地図A（下段）にまとめました。
※本文抜書の「51)」は、文庫本のページ数です。
では。どうぞ。
第7話 突発
あらまし
いつもはまず地図、なのですが、今回はお話が地図的に面白かったので、それを書きたいと思います。東西南北から人が歩いてきて、ほぼ一カ所で運命が重なる感じが「すごっ！」って思ったので。
この話は、映画みたい、というか、3カ所で同時（全く同時ではないんだけど）に話が始まって、最後に運命的な事件が起こる、そこへ行くのに畳みかける感じがあってドキドキしました。
地図に各々のコースを書きたくなりました。
（１）小兵衛は、正月の「神田明神参拝」を思いつき、ついでに煙管師・友五郎を訪ねるつもり。お気に入りの煙管を勢いで義父にあげてしまったのだ。
浅草寺参拝後はひたすら西へ、煙管師・友五郎宅を目指す。
（２）煙管師・友五郎宅では、「その、少し前に、煙管師・友五郎が死にかけている」で始まり、女房おたよと医師山口幸庵が病床にいる。
友五郎宅から小兵衛へ「大川橋をわたりきったのは、ちょうど、そのころだ」。カメラは友五郎宅へ「そのころ。山口幸庵は・・・」と、ドラマみたいに畳みかけていく感じ。
幸庵は浅草寺方向、小兵衛は煙管師・友五郎宅へと、東西に交錯する。
幸庵が往診のため友五郎の家を出て、入谷田圃を経、武家屋敷の道にでたとき、近くで「二人の侍が大刀をぬきはらい、激しく切り合いはじめている」と示され。
（３）今度は若い侍と浪人のシーン。こちらは南北に交差。泥酔浪人は若侍の眼差しに唾を吐き命中、カッとした若侍は刀を抜き。
二人は空地へなだれこむ。
4つの矢印が一カ所で重なった。
第7話 地図
➀煙管師・友五郎宅
⑤長円寺、この裏の空地で切り合いがあった。
⑥海禅寺。海禅寺と曹源寺の間の道でイザコザ、切り合いに発展。
小兵衛は切り合いが始まったときは、海禅寺の南の道を歩いていた。そして、悲劇の少し前にイザコザのあった小道へ曲がっていった。直後、
その先の空地の事態を収拾することに。
③山口幸庵宅（田原町二丁目は現在③又は⑩にあたり、どちらかは不明）。
⑨土地（ところ）の御用聞き〔山伏町の亀蔵〕宅
第7話 抜書+切絵図
抜書
291）小兵衛 神田明神に行くことにした。参拝前に➀下谷・坂本三丁目 煙管師・友五郎宅へも寄ることにして、家を出た。
煙管師・友五郎 ②上野山下の煙管卸所・森屋久三郎方へ、卸している。
友五郎宅は、坂本三丁目の通りを東へ切れ込んだところの➀正洞院という寺の裏手の菜園の一角。地所は正洞院のものであった。
切絵図１北は右
抜書
友五郎は寝ついており、枕元におたよと医師・山口幸庵。
299）③幸庵の家は田原町二丁目にある。
300）幸庵が友五郎と知り合ったのは④下谷・広徳寺門前の料理屋〔巴屋〕の2階、賭碁の会〔黒白連〕
302）おたよは、②上野山下の料理屋〔鯉屋忠兵衛〕方で座敷女中
303）幸庵が、あと三つほどの患家をまわるため、友五郎宅を辞し、浅草方向へ歩き出す。入谷田圃を左に見て、⑬松平出雲守・下屋敷の西側の道へ出たとき、そこからほど近い⑤長円寺裏の空き地で、浪人と侍が大刀をぬきはらい、激しく切り合いはじめている。
303）小兵衛は、⑤長円寺の手前にある大刹・⑥海禅寺の南側の道にいた。
304）二人は曹源寺と⑥海禅寺の道ですれ違い、トラブルに。
切絵図２：北は右
➀「同三丁目」の文字は赤〇百姓地（正洞院の隣）の上にある。
百姓地の片隅が煙管師・友五郎宅。そこから発する赤線は、医者・幸庵のルート(想像ですが)。
タイミングはもっと早いが、水色線は若侍コース、紫は浪人（直前より前の情報なし）。黒いギザでトラブルを示し黒矢印先が⑤長円寺の空地。切り合い。青線（２）ルートで侍は逃走。
若侍が逃げたタイミングで医師・幸庵が赤矢印先端にさしかかる。
小兵衛は白ルート。ギザギザの書いてある道に入り、空地で惨劇に遭遇。
304）若い侍：島田源太郎 立花左近将監（筑後・柳川十一万九千六百石）の家来。入谷田圃の東端にある⑦立花家・下屋敷に詰めている。島田は早朝に御徒町の⑧立花家・上屋敷へ公用で出かけ、帰宅のさなか。
切絵図３北は右
島田源太郎が公用で行った⑧上屋敷（地図真ん中、赤〇）。
あとがき
第4巻第7話のボリュームが大きいので、記事にまとめ直しました。
いつもご訪問いただき、ありがとうございます。
地図A
ご覧いただきありがとうございます。今日も良き日でありますように。
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