剣客商売第11巻 第1話 剣の師弟
小兵衛の門人が、十数年前、強盗殺人で逃走。その男・黒田清太郎の姿を見かけた小兵衛は尾行する。黒田は高級旅籠(犯罪人が泊れる宿ではない!)に入って行った。小兵衛は黒田の正体を隠して、御用聞きの文蔵に探索を頼む。
大坂にいた黒田は、暗殺者として江戸に仕事に来た。仲間に師匠に会いたい、と述懐するがそれはできないこと。黒田は仕事を為遂げたあと、十数年前に嵌めた男に復讐しようとしていた・・・
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ではでは。机上ツアーにお付き合いいただけますよう。
季節は新緑。三冬のお腹には小兵衛の初孫が・・・。
地図(画像)
地図1 平内太兵衛訪問の帰途
小兵衛が剣友に会いに行った帰り、斬り合いに遭遇するも、町人が、侍二人を蹴散らす形に。
短刀で切られてうろたえる侍二人に業を煮やし、小兵衛は血止めをしてやる。侍は「阿部の家来」と漏らす。
小兵衛は侍の構える気配に嫌気がさしてサッサと後にする。
地図2 黒田精太郎との再会
浅野旧宅(湯島天神下、同朋町)に泊る予定の小兵衛。
湯島天神境内の煮売り居酒屋で腹ごしらえする。すると、件の町人が、かつての門人と話しながら入って来た。道場を継がせようかと思うほどの愛弟子であったが、十数年前、金貸しの家に押し入り、三人を斬殺して逃亡。
尾行した小兵衛は、宿を突き止め、文蔵に尾行を頼む。
地図3 探索
かつての門人・黒田清太郎は、殺し屋(多分、仕事人)になっていた。偽名で泊まっていた宿を出て、仲間の家(「通い番頭の妾宅」と称す)に移る。小兵衛たちは翁蕎麦を見張り所として、追跡する。
地図4 根岸の寮・襲撃
その日。
黒田清太郎は、丸屋勘蔵を襲うも、小兵衛があらわれ、師に討たれる。
黒田はかつて、自分をはめた貝野太平次(染井村・阿部家下屋敷の賭博場)を斬殺するつもりだった。
黒田が失敗した丸屋勘蔵の暗殺は、後日実行されたらしい・・・。
地図データ
本文抜書の『51)』等は、文庫本のページ数です。
切絵図はお借りしています。出典:国会図書館デジタルコレクション
1.平内太兵衛訪問の帰途
7)小兵衛は④迷子になっていた。
8)この林を突きぬけて行けば、おそらく⑤駒込の上富士前町に出る。
9)三つの影・二人は侍で大刀を構え、町人は右手に短刀。
10)この日。
秋山小兵衛は、早朝に➀鐘ヶ淵の隠宅を出て、②駒込の外れの朽ちかけた百姓家に一人暮らしをしている老剣客の平内太兵衛を訪ねた。
近くの③染井稲荷の茶店にはおもよがいる。・・・約束金二十両参照
13)二人の侍は、七千石の大身旗本・阿部壱岐守直道の家来。⑥染井村に下屋敷(博奕場あり)。
※下屋敷の場所不明。染井村とのこと、藤堂和泉守や松平時之助の前??
15)小兵衛は、王子からの帰り駕籠を捕まえ『湯島まで』。
⑧湯島同朋町の亡き浅野幸右衛門の旧宅へ泊るつもりなのである。
2.黒田清太郎
16)⑦湯島天神の境内へ入った小兵衛は拝殿にぬかずき・・・その一角にある煮売り居酒屋〔浮山〕で、軽く腹ごしらえをするつもり。
店に入って来た男の一人は、先ほどの町人であり、連れの男は、かつての門人黒田清太郎であった。
黒田は、百石取りの御家人・黒田三右衛門の次男で剣の筋もよく、小兵衛が見込んだ<道場を継がしてもよい>男。
18)それが、十数年前、人を三人も斬殺して、江戸を出奔したのである。
19)黒田は、㉖神田紺屋町二丁目・町医者の菅井九甫方へ夜更けに押し込み、三人を斬殺し、百何十両もの大金を強奪して逃走した。
20)二人が浮山を出たとき、すでに、小兵衛の姿は消えていた。
二人は⑨湯島天神の切通しからつづく道を西へ行く。・・小兵衛尾行
⑩上野の広小路と本郷を結ぶ通り。二人は
24)二人は⑪本郷春木町三丁目の旅宿〔楠屋与兵衛〕方へ入った。
25)小兵衛は、楠屋の真向いの、⑫鱗祥院という臨済宗の大寺の惣門の下へ佇み、しばらくは楠屋の門口をながめていたが、踵をめぐらした。
3.探索
⑬上野の北大門町の文蔵が、四谷の弥七と連れ立ち、隠宅へあらわれた。
26)「⑥染井の阿部壱岐守様の下屋敷では、毎晩のように博奕をやっております」
27)「⑪春木町の楠屋というのは?」
「怪しいところは何一つ、無いと存じます」
文蔵は、⑫鱗祥院・門前の茶店〔井筒〕を見張り所にして監視している。
29)・・・ここに至って、小兵衛は黒田のことを打ちあけぬわけにはいかなくなった。
30)「さようでございましたか・・・」
北大門町の文蔵が「おまかせいたします」、弥七が「よく言ってくれた」と文蔵に頭を下げた(弥七は小兵衛の門人としての立場に寄っている)。
35)「親分。⑥阿部様の下屋敷では一日置きに賭場が開きます。喰い込んでいるのは、巣鴨の藤兵衛ですよ」
36)巣鴨の藤兵衛は、㉓王子権現の門前町から㉔巣鴨・㉕駒込あたりの盛り場に顔をきかせている。香具師の元締めで、一手に利権をつかみ、配下の者たちも二百を越えるそうな。
38)翌日五ツごろ/旅姿の黒田精太郎(尾行。徳次郎・寅吉)
井筒の寅吉が⑬北大門町の文蔵の家へ駆け込んで来た。
40)「野郎は深川へ行きましたよ」
「⑲黒江町の万徳院という寺の手前を、ちょいと切れ込んだ突き当りにある、小ぎれいな家へ入って行きました」
文蔵・寅吉が、⑧湯島同朋町の浅野幸右衛門旧宅へ駆けつけると、小兵衛はすでに当着していた。
四谷の弥七はまだあらわれぬ。<置手紙>
⑭永代橋を東へわたって深川へ入り、大川に沿って右へ行くと、⑮佐賀町・⑯相川町・⑰熊井町の町屋となる。⑱熊井町の一角にある〔翁蕎麦〕
⑲黒江町の妾宅・・・何処かの大店の通い番頭の妾宅(近所の噂)
その番頭とは、阿部家の侍たちを脅かした町人(藤川の仙助)
4.根岸の寮(襲撃)
44)翌々日の暮れ六ツごろ(午後6時ごろ)
⑳浅草福井町三丁目の足袋問屋〔丸屋〕の主人勘蔵が、㉑根岸の妾宅を出て帰路に着いた。
45)㉑丸屋の寮は、㉒和泉屋の寮より、もっと奥へ入ったところの、金杉新田の外れ。
南は上野の山、三方は田地と木立に囲まれ、敷地も、このあたりの寮の中では最も大きく、道から入ると竹林の中に石畳の通路が奥へ伸び、突き当りに茅ぶき屋根の門がある。
迎えの駕籠が門内に入り、丸屋勘蔵を乗せ手代が付きそって通路へ
・・・黒田が襲う、小兵衛が姿を現して斬り合い。
51)大坂の津国屋庄兵衛
52)黒田は、丸屋を殺したその足で、染井へ向い、⑥阿部家下屋敷へ乗り込み、貝野太平次を斬殺することになっていた。
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