【映画感想】ザ・サークル

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できれば三人称で観たかった……。

見終わって、なんだか腑に落ちないんですよね〜とかなってしまったんです。

トム・ハンクスはでてるは、ジョン・ボイエガもいるわ、政治に関した何かみたいなものも出てくるし、要素的にはめちゃめちゃワクワクするんですよね。そして、エマ・ワトソン演じるヒロインが最初入ったときSNSなにそれ? みたいな就職失敗したカントリーガール丸出しで、あーこのまま、親がおすすめする幼なじみと結婚しちゃうとか私の人生そんななの? 息が詰まっちゃう!みたいな感じが最高に導入部分としてよかったんですよ。

細かいエピソードも好きなんですよね。車が故障しちゃったらちょっとどんくさくて自分に気がある幼なじみ呼び出して修理させちゃうとか、息が詰まったら一人でカヤック乗りに行っちゃうところとか。

で。そんな山出しの女の子がうっかりインターネット有名企業に就職できたところから話が転がり出していくわけです。

舞台となるCircleという企業の社屋が出てくるんですがこれがAppleそっくりだなーとか、創業者が3名いるところがAmazonっぽいなーとかいろいろGAFAの特徴知ってると結構笑えるところがいっぱいなんですけど、そんなところに素人というかITあんまりよくわかんなーいって女の子(かなりきれい)って言う子を入れたらどうなるのか?

最初はおずおずとしてるんですけど、注目をどんどん浴びるとすべてを晒してしまう。そして周りがついて行けないことが何故かが理解不能で想像力がない。それをうまく使おうとする経営者側みたいなものが少しだけ見え隠れするんですが、ほんこれは一人称だから、トム・ハンクス側の悪巧みも、ジョン・ボイエガの苦悩も見えないんですよね。

これが見えていたら共感という部分で物語を引っ張っていけたんじゃなかろうかと思います。この作品の要素と材料の良さの割に響いてこないところは一人称にしてしまったことかなーと思います。

とはいえ、何故一人称にしたのかな? っておもうと、結局物事は多面的でないと図れないという、制作者の意図も見え隠れしますね。

よってこの気持ち悪さも意図したものじゃないかなーと思います。

人はうまいこと行かないときに何を悪者とするのか?

ワールドワイドにすさまじくフォロワーのいるYoutuberみたいになってしまったヒロイン、エマ・ワトソン。朝起きても目やにはないし、おなかも壊さない(トイレは3分だけカメラが止まるから)。そんな状態であればそりゃあなた、いくらでも私の一日を見て見て!ってなるんですけど、彼女の冴えない両親が夜の営みを映し出されて、あまりのことにカメラを外したり、友人も話せないからどんどん離れていき、そしてある事件が起こります。

そのときに初めて、自分の所属する企業に疑問を抱く。

すさまじく共感できないポイントだなーと思ってしまいました。どうして彼女は、自分がふるった力が自分のせいではなく、かつ大事なものを傷つけて憤れたのか? 傲慢さを感じてしまった上に、決着としてはみんな一つになればいいという思想から離れてなかったことがものすごく理解不能でした。

追記だけど

何故この映画は一人称だったんだろうと言うことをものすごく気になってしまってつらつら考えたんですけど、これはヒロインが非常に傲慢だという作品なんだろうなとおもいます。

若くてきれい、そしてSNSで注目を集めるということの力の渦中に放り込まれて、うまく力が振るえなかった女の子の話とおもってみるとものすごく面白く感じます。

その傲慢さに気がついたときに責任を取るのかどうか?

彼女はだってSNSでメッセージくれる人たちは「私のせいじゃない」といってくれているってところで思考停止し、そして、責任を別の人に押しつけたんだよなぁとみるとSNSやプライバシーを尊重しないことが唯一の正義としたところが理解できる気がしました。

監督・脚本 ジェームズ・ポンソルト
原作・脚本 デイヴ・エガーズ

エマ・ワトソン(メイ・ホランド)
トム・ハンクス(イーモン・ベイリー)
ジョン・ボイエガ(タイ・ラフィート)
カレン・ギラン(アニー・アラートン)

英題 THE CIRCLE

製作国 アメリカ

配給 ギャガ
技術カラー/シネマスコープ/5.1chデジタル(TOHOシネマズ六本木ヒルズほか)

2/300本

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