8/8,9「バンドリハ」 8/10,11「オケ合わせ」
↑ 夏休みの宿題みたいなもんですよね。
毎日コツコツとやっていこうと思うのに溜まっていく感じ。
このレポートも同じことです。
さあ、張り切って書いていきましょう。
ちびっ子のみんな。8月31日ってすぐに来るからね。気をつけて。
8/8.9「バンドリハ」
僕は一時稽古場を離れて、バンドリハが行われる音楽のリハーサルスタジオに。
ポルノのリハーサルでもよく使うスタジオでしたが、ギターを持たずにこの建物に入っていくのは不思議な気持ちでした。
稽古場にも演者、スタッフとたくさんの人数がヴァグラントに関わってくださってますが、このリハーサルスタジオにもまたたくさんのミュージシャン、スタッフがいらっしゃって。
一体ミュージカルって何人の手で作られているのかって感じです。
とりあえず、ミュージシャンだけ紹介しますね。
ヴァグラント・バンド
キーボード・コンダクター 森 ”森さん” 俊雄
ヴァイオリン 土屋 ”綺麗なお姉さん” 玲子
ギター 佐藤 ”まこちゃん” 誠
ベース 鳥越 ”チョウスケサン” 啓介
ドラム 赤迫 ”しょうた” 翔太
マニュピレーター 棚橋UNA ”うなちゃん” 信仁
””の中はさゆりさんの呼び方です。玲子さんは玲子さんとも呼ばれますが、こう呼ばれることも多い。
敬称略で紹介していますが、いずれも実績十分の凄腕の方達です。
初めて見るミュージカル用のバンドリハだったんで、これまでの工程と同じように興味深いことはたくさんあったんですが、あまりに多すぎるので、簡潔にお伝えします。
まずひとつ。
譜面のファイルの厚さ!
タウンページみたい。と言っても若い世代の方は知らないかもしれませんが、かつて各家庭に一冊はあった電話帳のことです。
各家庭の世帯主と住所、電話番号が網羅されていて(今の個人情報保護の感覚からしたらすごいことですよね、考えたら)、ちょっとした規模の市町村なら、凶器になるくらいの重さでした。
つまり、凶器になるくらいの楽譜の量。
なぜそんなことになるのか。まず曲数ですよね。
歌がある曲以外にアンダースコアというセリフの後ろなどに流れる曲もありますから曲数はかなりの量になる。長いの短いのを合わせて60曲を超えるくらいか?
そして、譜面がポルノとかで使うコード譜面ではなく、バンド譜面であること。
コード譜面は多くて一曲2枚くらいなんだけど、各パートの音符が全部書かれているので、その枚数は増えていきます。
この膨大な譜面を作る作業量!!
音楽監督は音楽的な才能や知識だけではとてもできない職業だなと思います。
少なくとも夏休みの宿題を溜めてしまうようなルーズさでは務まらないと思います。
驚いたことは続きますよ。
次が極めつけとも言えますが、曲の練習なんかしない!!ということです。
まあ、リハーサル時間が限られているということもあると思いますが、そもそも楽譜にも強い凄腕ミュージシャンたちは演奏すること自体はそんなに難しいことじゃないんです。ポルノのレコーディングメンバーもそうですが。
じゃあ何に時間を変えるか。
そうです。きっかけ。ミュージシャンならではですよね。
ポルノでもリハーサルの作業の中に、きっかけ確認、みたいなのはあるんですよ。
MCの最後に「それでは聞いてください サウダージ」という言葉を決めておいて、マニュピのなんちゃんが「聞いてください」の「くだ」くらいでシーケンスをスタートさせると、ちょうど「ダージ」って言った直後にドラムカウントが始まる、みたいな段取りです。
これだってかなりの技術がいるんですが、ミュージカルはこういう段取りの嵐です。60曲分。こわっ。
それにミュージカルではドラムカウントがないんです。
もう一回言いますね。ドラムカウントがないんです。
ワンツースリーフォーってやつですね。
わかります? このタイミングのシビアさ。
なぜないか。ミュージカルは感情の昂りに合わせて、歌を唄うという力学があるので、「これから感情が昂まりますよ」と音楽の方が先に伝えてはいけない、ということなんだろうと思います。
なので、譜面にはセリフが書き込まれていて、稽古の時の役者の言い回しをある程度再現しながら、どうやって曲に入るかを相談されてました。
驚いたこと、まだたくさんあるけど、終わらないので、サクサクいきます。
サクサク
コンダクターである森さんはキーボードも弾いているので両手がふさがっていることも多く、他のメンバーへの合図の時、鼻息や頷きなどを使ってました。
あと、
休憩が短い、とか。
三線や和太鼓なども必要に応じて全然使う、とか。
あとは、
バンドリハがまさかのたった2日間・・・。これはすいません。
あとは、
リハーサル中、分厚い譜面をめくっていた僕ですが、ほとんど追いついていなかった、とか。
8/10,11「オケ合わせ」
楽器は稽古場に
そして、稽古場に楽器が持ち込まれて、生演奏での歌。
限られたスペースの稽古場なので、バンドのスペースもかなりコンパクトで、少し申し訳ないくらいです。劇場のオーケストラピット(略してオケピ)も狭いことが多いので、それもシュミレーションしてるのか。してないか。ただ狭いだけか。
これも歌と伴奏の練習ではなく、やっぱりきっかけの確認。
上記の例で言うと、「サウダージ」と言い終わっても曲が始まらなかったり、あるいは少し食い気味で始まったとしても、ボーカルはそれに合わせます。
音楽が中心ですから。
一方、ミュージカルは演技が中心なので、役者の息に音楽が合わせます。
なので、セリフの言い回しに合わせるため、必ずしも4拍や4小節で進んでいかないことも多いです。
君が合わせてくれる?
僕はポルノを長くやってるので、そっちで考えると、と言う考え方になりますが。
岡野くんが「MCの気持ちが乗ってきたところでサウダージってタイトルコールするから、その時にどんな演奏してても曲に入って」と言われたら、「いや、小節数を数えながら君が合わせなよ」と僕は言うと思います。
まあ、実際、彼もそう合わせてくれていますが。
そしてまた、役者さんもその時々で自由にセリフの言い方を変えているわけではなく、役者側からもバンドと息を合わせようとはしているんですけど、それでも音楽畑から見ると独特の文化です。
レポートが長くなってきたので、こっちの模様もサクサク書きますね。
メモっていることだけ。
サクサク
壮一が自分の回じゃないところで、稽古場の隅の方で、自分の役じゃない人の動きまでコピーしてた。殺陣とかも。なんかめっちゃ深い意味とかありそうだけど、俺はよくわからん。が、なんか「プロフェッショナル」の音楽が流れてきそうでかっこいい。
航生、耕平。壮一もか。稽古前にウォーミングアップがてらに踊ってるのがめっちゃうまい。
もね、すい、ほのか、のチサsが可愛い。それでも家に帰ったら生意気な口とか聞くんでしょうか? うちのソファに生息している生意気盛りと同じように。
ステージの盆がどうまわるかを模型を使って板垣さんが説明してくれました。
稽古場は回らなくて、僕とかはどういう見え方になるかわからなかったから、いつも稽古場の裏側で歌っている玉置さんのことを密かに「裏盆の女王」と呼んでいましたが、ちゃんとお客さんの正面で唄うことになるみたいで安心しました。
ポルノのリハーサル中やツアー中も一緒なんですが、毎日同じ顔ぶれ、しかも大勢なので、朝、誰に挨拶したかわからなくなる。
この人に挨拶したのは今日だっけ? 昨日だっけ? みたいに。