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7/10 7/11

このレポート。僕が稽古場で暇そうな人と思われたくなくて書いているのと同時に、少しくらいプロモーションになればラッキーだなと思ってるので、公式ホームページくらいリンクさせたほうがいいんじゃないかと、やっと気づく。

a new musical 「ヴァグラント」公式ホームページ

キャストも紹介されてるので、レポートと照らし合わせながらみてほしい。

7/10 「本読み」


演劇における「本読み」ってどういうものか、知っているだろうか?
僕は知らなかった。

簡潔に言えば、文字通りみんな揃って台本を読んでいく日、ということになる。
台本を読むだけ。ミュージカルなんで歌もあるけど。

でも演劇の業界では特別な日らしく。なぜ? というのは順を追って説明したい。

実際この日、稽古場には、そこまでの歌稽古の5倍くらいの机が並べられて、演者・スタッフ以外の関係者が勢揃いしていた。

「本読み」は「顔合わせ」と一緒に行われた。


「顔合わせ」

「新藤晴一様」という紙が貼られた席につく。
集合時間に合わせて集まってくる役者さんも顔もどこか緊張感があるように見える。

制作側のプロデューサーたちの挨拶に続いて、役者さんたちの自己紹介と一言。
この一言も個性が出ていて面白い。
もちろん、あらたまった挨拶をする人もいたし、潤一や玉置さんのように役に引っ掛けたりする人もいた。
チサズの3人、彗、穂乃果、桃寧の可愛らしさだったり。
桃寧ちゃんだったけな、ポルノグラフィティの曲が好きです、と言ってくれたのは(お母さんに言わされてなきゃいいけど)。
桃ちゃんはルーツが因島にあると教えてくれたり(お母さんに言わされてなきゃいいけど)。
かりんちゃんは「お花はヤマの女房たちを引っ張る役なので、頑張ります」とお淑やかな声で言ってた。
(言葉通り本読みになるとドスのきいた声でキモの座ったお花を演じられていました。ははん、あのお淑やかさはフリだったな、と思ってしまうほど)
大村くんはダイソンと呼べばいいのね、と教えてくれたり。

と、まあ、役者さんが一通り終わったら、そうです、この舞台の原作者の人の挨拶です。
それって誰でしたっけ?
はい、僕です。

・・・スティーヴジョブズのスタンフォード大学の演説みたいに、歴史に残る名言でもかまして、さすが原作者と思わせてやろうとしたのに、言いたいことが多すぎてグダグタになるという・・・。僕の前に若干グダった挨拶をしていた平岡を笑っていたバチがあったったんだと思う。

で、板垣さんたちに回って、顔合わせ挨拶は終わり。

「ハラスメント講習」


そこから専門家を招いての「ハラスメント講習」
たっぷり1時間。
「ハラスメントない風通しのよいチームはパフォーマンスが上がる」ということを学ぶ。

「本読み」


そしていよいよ。
えりさんがピアノでオープニング曲を弾き始めると、一気に場の緊張感が。

始まってすぐに、この「本読み」が役者さんにとってなぜ特別な日なのかをおぼろげながら理解することになる。

台本を渡されてからこの日まで、それぞれに自分の役についてイメージを広げて、役作りをするんだろう。
それをここで初めて披露する。
(たぶんだけど)それって物語や自分の役への理解度とか、それを表現するスキルみたいなのを試されるってことにもなってるのかもしれない。

ミュージシャンで考えると。
ポルノのサポートミュージシャンたちのような優秀な人たち。
レコーディングなどで譜面を配るとハイハイと確認して、それを持ってブースに散って、せーので音を出して、あっという間に完成させてしまう。事前に音源を聴いているにしても、場合によってはそれこそファーストテイクでOKがでるくらいのクオリティで。(それで帰ったっていいはずなんだけど、それじゃなんとなく申し訳ないわ、くらいの感じで何テイクかやってくれる)
これができるのって、演奏の腕がえげつなく高いのと同時に、楽曲に対する理解度の高さなんだと僕は思っている。
俺がどんな曲を作りたいのか、アレンジャーがどういう音を施したいのか、みたいなこと。
例えばベースで言えば、聴いた曲に対してプレベを持つのかジャズベを持つのか、どんな音色を選ぶのか、でそのプレーヤーの理解度がある程度透けて見えたりする。

という話なのかもしれない。役者さんにとっての本読みって。
全然違ったらごめんなさい。

本読みは続きます。

脚本に書いてあるセリフはもちろん何度も読んでいる。
7月頭から始まった「歌稽古」で曲は個別に聴いている。
でも、それぞれが作ってきた役の声で語られるセリフと歌声で進んでいく物語を聞いていると全然違うものに聞こえたりする。
そこまでなんとなくしか描けてなかった「ヴァグラント」がそこに浮かび上がった。

というか俺の「ヴァグラント」とそこに生まれた「ヴァグラント」が違ったことに興奮した。
佐之助って心にそんな複雑な階層を持っていたのね、とか。
桃風って佐之助にとってそんなに重要な人なのね、とか。
松と香は思ったよりキュートだな、とか。
女房たちってそんなにあけすけなのね、とか。
旦那たちのろくでなしはそっちの方向ね、とか。

まあ、僕から見たらって話ですけど。

で、最後の曲が終わって、見えない幕が降りて。

いや、よかった。拍手。
はよ見て

板垣さん


少しの休憩を挟んで、脚本演出の板垣さんのターン。
この脚本が出来上がっていった背景から始まり(これに1時間くらいかける。ここから一緒に舞台を作っていく人たちと想いを合わせるためか)、個々の役者さんへのおおまかなリクエスト。
一つをこっそり紹介すると、ヤマに住む人たちを演じる方達に「佐之助との距離感をそれぞれ考えてみてください」というのがあった。佐之助は流浪の民で、ヤマの人たちにとってはコミュニティの外の人。もっと言えば出自の違う人。そういう存在に接した時、どういう態度になるか役に取り込んでほしい、みたいなことなんでしょうか。知らんけど。

話は逸れるけど、この前の日、衣装打ち合わせというのがありました。
レポートが間に合わないので割愛しましたけど、衣装の原さんの自由な発想はやっぱり面白かった。
この席で板垣さんは、脚本を書く時、衣装のことをすごい考えると教えてくれました。特にアンサンブルの人たちが着替える時間をどう物語の流れを損なわずに作るか、みたいなことなんでしょうか。

思ったこと

本読みで知ったのは、演劇って演出家が灰皿投げたりして(今の時代ではハラスメントです。さっき学びました)演技をつけていくのかと思ってたけど、役者さん一人一人が持ち寄るものが大きいんだなということでした。いろんな演出家の人がいるんでしょうけど、板垣さんはそれを面白がりながら作っていくのかな、と。僕と物語作りをしてくれた時みたいに。

7/11 「プロモーション用のREC 2」

サクサク行きます。

13:00 りょうた、こうき、こうへい(←小百合さんはこうへいって呼んでた)

日比谷フェスで歌った楽曲の歌録音。これ用のオケは宗本の方の康兵が作ってくれている。
いつも通り小百合さんの匠の歌唱指導が興味深いだったり、わいわいと録ったので面白かったこととかたくさんあるけど、サクサクと。この記事も長くなってきたので。

ロー成分を豊かに歌うこうへい。僕の耳にはミュージカル寄りと聞こえる。いい声。いつもそういう声で歌ってるのと聞いたら、今回の役にはどういう声を使うかまだ考えてるとのこと。「レント」とかではポップス寄りの声を使うそう。当たり前か。ミュージカルの歌はセリフなのだから、歌い方、歌声もひとつじゃないか。

こうきは最初はできなかったミックスボイスをたくさん練習して習得したんだそう(小百合さん談)努力家。今度、ミックスボイスについて語ってもらおう。

「祝い唄」掛け声「えんやさっさ」のりょうたの上手さよ。拍手が起きるくらい。
どうしてそんなに上手いのかと誰かが聞くと「ラッパーですから」と。
なるほどそうか、と一同頷いて、ラップってえんやさっさだったっけと、一同顔をあわせる。
帰り際にもう一度聞くと、「自分のレコーディングではガヤとか自分で録るんで」と言って去っていった。
なるほどそうか、と一度頷いて、ラップのがやってえんやさっさだっけ、と。まあ近いものがあるんだろう。

16:30 まゆ、のの、みやさま(るりるりと呼ぶのはまだ早い)

ののちゃん。少し緊張してるか。
わかるよ。たまたまだけど僕もこの同じスタジオで25年前、「ヒトリノ夜」って曲のギターレコーディングをしたことがあって。まだ慣れてなくてめっちゃ緊張した記憶がある。
岡野くんも午前1時までコーラスを録っていたっけ。
大丈夫だ。慣れだけの問題だ。25年くらいやると、レコーディングスタジオでホットクックのホームページ見て今晩の献立とか考えられるようになるよ。

ベルカント唱法というらしい。まゆちゃんの歌唱法は。
日比谷フェスの時、まゆちゃんの歌声で日比谷公園中のカラスが飛び立った、と以前のレポで書いたが、この歌唱法だったのか。それを読んだらしいまゆちゃんから、飛び立ったのは周りにいたカラスだけです、と、ゆるくクレームが。
確かに。
周りにいたカラスが飛び立つ、という状況だってかなりレアなケースだとは思うけど、確かに公園中、ではなかった。
これは曲がりなりにも「レポート」で、面白おかしくするためとはいえ嘘はいけん。反省。

しかし、なんなんでしょうね。みやさまの2D感は。
ファンタジーの世界の人じゃないかって感じありません?
かっこいい歌声もそうですし。
そもそも今日、このスタジオにどうやって来たかもいまいち想像できない。
バスや電車のわけはなさそうだし、車っていうのもなんかピンとこない2D感。
そういえばスタジオの駐車場からヒヒーンっていう動物の鳴き声が聞こえてきてた気がするけど、あれかな?


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