見出し画像

7/12 立ち稽古

稽古場で暇な人と思われたくなくて、勝手に現場レポートみたいなをやってるんですけど、もう無理かも・・・。


「立ち稽古」

稽古は「立ち稽古」と呼ばれる段階に入った。

ここまでも、ミュージカルが作られていく行程をわからんなりにも文字にしてきた。
嘘でもそれができたのは、一つの行程が一つの作業だったからだった。・・・作業というかなんというか。
例えば、歌稽古。
小百合さんの匠の歌唱指導を理解したとはとても言えないけれど、それでもその時間は音楽にフォーカスした時間なので、そっち方面の脳みそで話を聞けていた。
振付打ち合わせも、セット打ち合せも、衣装打ち合せも。
遡って、板垣さんのプロット作りも、それにフォーカスして、なんとか理解しようとしてきた。

が、立ち稽古になってくるとそれらの全ての匠の技が、同時進行で目の前で繰り広げられるともはやお手上げ。
レポートなんて偉そうなこと言わなければよかった。
それでも稽古場でただぶらぶらしている人とは思われたくないので、制作スタッフのただちゃんに言って公式アンバサダーに任命してもらおうかと考えている。

公式アンバサダーに任命されるまで、もうちょっとレポートしますね、サクサクと。

「演出部の皆さん」


まず。稽古は一日オフで。
その間に演出部の皆さんによって稽古場に巨大なセットが出現する。
えっ、これ1日で?ってくらい大きな。セットの躯体というのか。
今回は回る盆の上で、舞台の空間を立体的に使うという演出なので、実際にそれを感じながらでないと稽古にならんのかも。
盆が正面の時と180度回った時では、出入りや演技をする場所が変わってくるからね。
(正面の時はせいぼん、真反対の時はうらぼん、というんだって。知ったかぶりに使ってください)
俺なら迷子になるね、と自信を持ってりんたろうとあらちゃんに話したら、僕らもと。やっぱりか!
だって、上手から入ってきて、演技しながら下手に歩いていくとして、その間に盆が回ったら、着いた先が上手ってこともあるワケでしょ?

「振付」


オープニングあたりの振付けを当銀さんが中心となって。
中心となって、と書いたのには理由があって。
もちろん当銀さんが考えたプランを役者のみんなが表現する。大まかな移動から、繊細な小さい動きまで。
それに対して、ゆみこさんやら、まりかさんやら、しょうこさんやら、ももちゃんもはるかちゃんも、さゆさんも、つまり皆でアイディアを出していってた。ディスカッションというか。何人かは、よく仕事もしているという関係らしく。
舞台の上に立っているのはただ踊るダンサーではなくて、なんらかの役で。
なんらかの役である以上、その役には背景があって。
当銀さんももちろんそれらを踏まえて振付をしているんだろうけど、その役の背景みたいなのは演じる役者さんが一番わかっているということなんだろうと想像。
(休憩中、当銀さんから聞いた話もこんな感じだった)

振付ありのところが終わって、演技のシーンに。
板垣さん登場。

まだ「ヴァグラント」の幕も開けてないのに気が早すぎると言われるだろうけど、なんとか次回作を作れるチャンスを掴み取れないかと考えている。
それほどミュージカル作りは面白い。
そんな機会に恵まれたとしたら、脚本作りまでやってみたい。できるかどうかは別にして。
いっそ演出まで・・

とまでは流石に思っていないけど、それでもこりゃ無理だなと、板垣さんの演出が始まって思った。

ヤマの男たちが会長の話に翻弄されるというシーンだった。
その言葉に反発したり期待したりする心の動きを、セリフだけでなく、それぞれの立ち位置のとりかたで見せたりするのよ。
演出の技なんて僕は知らないけど、確かに板垣さんのリクエスト通り、複数の男たちが集まったり散ったり、囲んだり離れたりすることで、ああ、このヤマの人たちはこの時点ではこんなふうな思想なんだな、あるいはこの件には思想を持ってないんだな、とかがわかるようになる。
ようせいさんがセリフを言った後の立ち位置で、とか、とかたつみさんの割り込みかたで、とか(ちなみにこのお二人は歌になると甘くて太い声で高音パートを受け持たれる)。
宇部くんのならずもの感も、ダイソンの威勢はいいが気はちっちゃい感も、セリフより立ち位置の取り方がより際立たせているように見える。

たくさん表情筋の動きので作る表情の方が、言葉より雄弁なように、舞台上の人の動きは、それだけでシーンの感情を伝えていく。

このあたりの感じは文字にしにくいのでぜひ劇場で感じてもらえたら。
ーーーということで、はい、ここで宣伝を入れます。

「宣伝」

これで5回目かな、過去のも含めて、この稽古場レポート的な記事を読んでくださってる方、あリがとうございます。
もちろん無料で公開しているので、気軽にたくさんの方に楽しんでもらえたら幸いです。
楽しんでるよーって方、どれくらいいますかね。
ありがとうございます。手を挙げてくださった方の中で、まだチケットを持ってないよー、って方に問題です。

コロナ以降あまり見なくなりましたが、それ以前はスーパーやデパートの食料品売り場には試食コーナーというサービスがありました。
さて、それがあった理由はなんでしょう? 下の三つから選んでください。

A 親切
B 気まぐれ
C 気に入ったら商品を買って欲しいから

あ、答えがわかった方のために、一応、貼っておきますね。
a new musical 「ヴァグラント」公式ホームページ

はい。宣伝を終わります。こういうしょうもないことを書いてるから記事が長くなる。

「音楽の支配力」

シーンが少しできるたびに、確認のために流れでやってみます。
それに合わせてピアノでアンダースコア(BGMと思ってもらっても)が弾かれる。
そこまで音無しで見ていたシーンが一気に音符によって彩られていく。
彩られるどころの騒ぎじゃないな、音楽の支配力の凄さを感じる。
ピアノを弾くえりさんの横にはアンダースコアを作った音楽監督の小百合さん。
話を聞きたいが怖いよー、もし近づいて行ったら、また舞台音楽について面白い話をしてくれるだろう。そしたらこのレポートがまた長くなるよー。
無理でしたけどね。近づいて行きましたし、面白い話が聞けましたけどね。ありがとうございます。それをレポートすると予想通り長くなりそうなので、アンダースコアに関してはまた次の機会にあらためて。

丁寧に、その分ゆっくりとシーンが紡がれていく。
止めては直して、やってみて止めて。

「待ち時間」

自然と、出番の関係で待ち時間が長くなる人たちもいる。
役者の仕事は待つことだ、という言葉を聞いたことがある気がする
この日のトキ子ズはまさにそうで、稽古初めで登場してから、次の登場シーンまで、軽く4・5時間は待ったんじゃないかな。
橋本環奈さんが空き時間にバイトをする理由がわかった気がする。

「森田」

こうだい森田登場。
自分の中の森田はいけずおじさんだったけど、こっちの森田はダークヒーロー感。
いろんな解釈があって面白いね。まだ変わるのかもしれないけど。かっこいい。

「今日の気づき」

演出助手は「助手」という皮を被った現場のボスだ、ということ。
稽古時間中、ずっと稽古が円滑に進むように気を配って。
これは稽古時間中だけでなく、稽古スケジュールを組む時から始まってるんだろう。
長町さんに話を聞くと、稽古場で座ろうという発想自体がない、とのことだった。

ライブだって同じことだけれど、舞台を作ってくれる人たちのありがたさよ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?