7/25 「衣装合わせ 壮一合流」 7/27・28 「アクション」
レポートをする前に、僕が稽古場にいるのが好きな理由をちょっと書かせてもらえたら。
なんでこんなに長い時間いて飽きないんだろう、稽古場って、について考えた。
自分にとっての結論は簡単。
それは、小さな体育館くらいの稽古場の中が、常にエネルギーで充満しているから。
そういう空間にいるだけでこっちまでテンションが上がる。
ディズニーランドが楽しいのは、楽しませようというキャラクターのエネルギーと、楽しもうとする客たちのエネルギーが満ちているからだと思う。
エネルギーが満ちている空間は楽しい。
非日常。
稽古をしている役者は、セットの中で怒って喜んで期待して失望している。その度に大きな声を出して。それではおさまらず歌って踊って、なんなら暴れて。
僕の日常で言えば、あんな大声、今年に入って一度も出したことがない。
それほど感情が昂るような出来事は僕の日常には起こらなかった。
まして、思わず踊ってしまうようなこともない。それは普通のことだと思う。
我々が日常と呼ぶのは、何も起こらない時間のこと。
逆に言えば、何も起こらないように細心の注意を払って我々は生きている。
一方、稽古場の演者たちは、迂闊にも身体的にも心的にも、ただでは済まない方に向かって爆進していく。その結果、大声を出して、歌って踊る。
本当は俺も、こんな風に無邪気に感情を爆発させれたらな、なんてどこか憧れたりするんだろう。
どんなエンターテイメントもこういう面があるから人々を惹きつけるわけで。
この稽古のエネルギーが凝縮される本番はどんなことになるんだろう。
さて、
7/25 「衣装合わせ」
何ヶ月か前に、フライヤーやwebページ用のヴィジュアル撮影というのがあって、その時も役に応じてそれぞれ衣装を着た。
今回はそれを踏まえた上で、実際に舞台上で着る衣装のフィッティング。
佐之助だって違う服を着るシーンもあるし、その服で動けるのかも確認しなくてはいけない。
踊っても取れないようにアクセサリーは工夫したり。
自分がポルノでステージに立つ時も、どんなにカッコいい上着を持ってこられても、袖の形がギターの邪魔になるなら採用にならんもんな。そういうことだろう。
桃風には差し色が足されたのかな。舞台で映えるようにか。
難しいのはエンターテイメントとリアリティの塩梅。
ゲートルという足に巻く布。それを巻けばいかにも坑夫みたいになるのだけど、同じ坑夫でもこの役職はつけないよね、というリアリティを追求する面。こういうのも大事。
逆に一番、リアリティがないのは、貧しい炭坑のヤマの設定に、役者さんたちの男前、美人ぐあい。
例えば男まさりで炭鉱の仕事もするヤマの女房・花凜お花、坑夫のリーダー・耕平譲治とか。
あの頃のリアルで考えて、もっと汚しをいれたりしないんですかと板垣さんに聞くと、そこは塩梅だと。
もちろん役に合うようにスタイリングはしているし、役作りでその雰囲気は十分でている。
まあそうか。我々はノンフィクションを作っているわけじゃないから、この辺はエンターテイメントでいいのか、と知ったりする。
役者たちが普段から持っているキラキラした感は設定上、多少手加減してもらいながらも、その華やかさは感じたい、僕も。
衣装合わせで大忙しはやっぱりアンサンブルの人たち。シーンによって色々な役をやるから、衣装もたくさん。
炭鉱で石炭を掘ったかと思うと、パーティで司会をしてたりする。
ヤマの女房としてあけすけに笑ってることもあれば、妖艶に踊るシーンもある。
なんなら脚本を書く時には、アンサンブルの人たちの着替えが間に合うようかどうかに一番気を使うと板垣さんも言っていた。
ミニ情報としては翔子ちゃんが「割烹着が似合う選手権」で優勝していた。女性陣の投票の結果。
もう一つ、ミニ情報としては、たくさんのかつらがあって、手にとって見ていると、演出助手の長町さんに「かぶろうとしてます? ダメですからね」とあらかじめ注意された。
すでにつける人に合わせてセットやカットがされているらしかった。
しかしなんでバレたんだろう。
もう一つ
平間が本格合流。前日まで本番だった。
7/27・28 「アクション」
稽古はまた違う段階に。アクション。
こんなの絶対面白いじゃんと、楽しみに稽古場に行く。
そこには真っ白のジャージに身を包んだアクション担当の渥美博さん。彼もまた生ける伝説らしい。一応wikiを。
格闘シーンはもちろん、人が感情的に接近するシーンも渥美さんの指導が入る。
面白かったのは1対2の格闘シーンとかで、その瞬間、戦っている者同士への指導もへぇ、そういう体の使い方をすればカッコよく見えるんだ、という発見とは別に、余っている一人に対する指導。
一人に対して二人同時にかかって行っては、もみくちゃになってカッコよくない。
リアルではそうした方が有利なんだろうけど、ここもやはりエンタであるべきで。
かといって余っている一人が突っ立っているわけにもいかない。エンタではなく不自然になってしまう。
だからすぐには飛びかかれない理由を作るんだそうで、転び方とかダメージを受けた箇所だったりとか。
こういうことを一つとっても、演劇を深く理解していないと思い至らないと思う。
さすが伝説。
あとは安全について。
演技によって本当に殴り殴られるように見せなさい、という感じだった。寸前でかわすとかじゃなく、しっかり距離、間合いをとってもそう見えるように。
他には、トキ子sに足は伸ばすな腰を落とせとか。
そういえばいい光景があった。
トキ子はダブルキャストだから、アクション指導を受けるのは一人づつになる。受けてない人の方にも、このシーンに関係ない人が率先して相手役になって練習をしてあげてた。この時はあらちゃんや辰巳さんだったかな。
どのレベルの現場でもこういう部活感は必要だと思う。
まあ部活感を求めれば、トキ子sはライバルとしてそろそろ上履きを隠しても良さそうなのに、変わらずに話し合ったり、協力してやっているな。
この他にも秘伝の技みたいなものを垣間見た気がするけど、僕自身がレポートできるほど理解はできてない。
総合的な感想としては、渥美さんが一番エネルギッシュでよく動いていた。体使って。
それにしても
僕は常々、ミュージカルのいいところは、客を楽しませるためは節操がないことだと思っている。それにしても、なんでもありだなと。
セリフで泣いて喚いて、さらに高まれば歌って踊る。シーンによっては煌びやかな衣装で華やかに見せる。加えて格闘シーンでキレのある勝負にハラハラできたり。
あ、それと
バンマスの森さんが稽古に来られていたので挨拶をさせてもらった。
来週くらいだったか、バンドリハーサルにもお邪魔することになってるんだけど、これもポルノのとは違うやり方がたくさんありそうで楽しみ。
上記のそれにしても、に加えると、音楽は生演奏なのよ。楽しませるためには節操がないポイントの一つ。
役者の演技と息を合わせて音楽が在ることでミュージカルは有機的に躍動するからね。
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