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7/5 「歌稽古」「振付打ち合わせ」

佐之助の二人の歌稽古なので、そりゃ行かなきゃ、と。
途中「振り付け打ち合わせ」というスケジュールも入っていた。

今回もあくまで僕の目にはこううつった、というものなので、なんか表現に粗相があったとしても目くじらを立てないでください。

13:00 歌稽古

平間壮一 廣野凌大

主人公、佐之助の二人。

壮一は歌唱指導の小百合さんとは長いらしく、長い分、二人の間で交わされる会話の語句が、こっちにはよくわからんのも多い。
実際の会話は企業秘密的なことも多そうなので(知らんけど)、ここで詳しく書くのは控えるけど、いわゆる英語の発音のコツとかでよくある「アの口でエって発音して」みたいな感じのこと。そういうのが流れる歌の中にたくさん要求される。
いくら長い付き合いか知らんけど、リクエストにすぐ応えられるのは、彼のスキルの高さということか。

この稽古が始まる前に、凌大のライヴに行ってみた。渋谷の。
打ち込みのビートに乗ってパワフルに歌う彼の姿と声は、現代のいけている歌手のそれだった。その彼が、大正時代の世界でどう生きていくのか、楽しみ。
今回の役者さんの中にも、音楽に対してアカデミックな人、感覚派の人、いろいろいらっしゃるように見受けるけど、彼はきっと(というかあのライヴを見る限り)こっち側。

ダブルキャスト。
他の舞台ではどんなふうにキャスティングされるのか知らないけど、この二人はけっこう色が違うんじゃないかと思う。
たくさんの舞台を経験とスキルで魂を感じさせる壮一と、タマシイレボリューションの凌大。
全く違う魅力を持つ佐之助になるのではと期待してる。
この設定で別のミュージカルが作れるんじゃないかって思うくらい。

14:30 振付打合せ

板垣さん 当銀さん 演出助手(※)長町さん

ミュージカルのいいところは、ある意味で節操のないところだと思う。
感情を表現するためには、あるいは客を喜ばすためなら、歌うし踊る。

ということで「ヴァグラント」にもある、と思う。たぶん。

歌稽古と同じ施設の別室で。

舞台セットの模型を前に、演出の板垣さんと振付の当銀さん。
明治座にも新歌舞伎座にも『盆』と呼ばれる、床が360度回転する装置がある。それを駆使して場面転換をするため、模型で盆を動かしてシーンを確認しながらの打ち合わせ。

打ち合わせ後に当銀さんに聞いたんだけど、舞台の振付は、テレビで見るアイドルグループのように、曲始まりからつけるものではなくて、その立ち位置までどう移動するか、とか、曲が終わったらどう物語の中に戻るか、とかまで含まれるらしい。
(いやもっと役割はあるんだろうけど、今の時点で僕が理解しているのはここまで)
だから、盆が回り、シーンが変わる秒数とかも大事になってくる。

ポルノグラフィティでもライヴのオープニングとか、ステージ袖から立ち位置まで行き準備して弾けるまでこれくらいの秒数がいるから、SEの長さはこれくらいで、といった計算はよくするけど、舞台ではそういう状況が頻発するということなんだろう。

打合せは、板垣さんが曲やシーンのイメージを伝えるという感じだった。
こういうのを持ち帰って、なんなら演出家も驚くようなアイディアで応えたいといつも思ってる、とは当銀さんの言葉。
そういうぶつかり合いが作品を高めていく、という構造は、舞台とコンサートの違いはなく、どの現場でも一緒みたい。

16:00 歌稽古

遠山、加藤、松村、辰巳、宇部、大村、りんたろう、荒川
あとから宮川、大堀、上口、吉田(敬称略)

歌稽古のスタジオに戻ると、男性の大所帯!! エモい。

まずは「あんたに聞くよ(※)」から。とりあえず歌ってみましょう、と。
気を抜いて、台本に付箋貼りをしていた僕は、彼らの第一声に驚くことに。
ポップスの発声法とは違った、うーん、例えるなら「千の風になって」のあの感じ。幼稚な表現ですいません。
自分の曲に、塊となった太く通る歌声が乗るというのは新鮮な体験。

坑夫たちの苦しい労働を描いた「炭鉱日記(※)」という曲はあくまで重苦しく、「酒をくれ」は男の無責任と能天気さを感じさせてくれる。

小百合さんの流れるような歌唱指導はこの男性陣にも同様で、僕ならついていくのも無理だなと思った。
人によっては小さい鍵盤やスマホのピアノアプリを駆使して、指定されたラインを確認しながら。そして多分、ほとんどの人が録音もしているのかな? 帰って練習するためか。まあ、曲がたくさんあるから。

そういえば酔っ払いの留吉役の加藤潤一は、アミューズの劇団プレステージで何回からみてるけど、こんなに歌えるのね。もっと歌えばよかったのにね。

↑こんなふうに言ってたらみんな素晴らしいんだけど(宮さんの会長感とか、広大くんの、譲治とはまた違うものを背負った森田感とか)、今回は最初だったので男性の声の塊に痺れたという話。

18:30 お先に失礼します

前回同様、最後までいたかった気持ちは重々だったんだけど、ちょっとした寄り合いが入っていたので。だって、歌稽古、行けないと思ってたから。

行ってみたら、ちゃんとした中華料理店。
この間、ちゃんとした天ぷら屋さんで天ぷら食べて、天ぷらって美味いな、というシンプルな再発見をしたんだけど、この日もやっぱり中華って美味いな、と思った。
天ぷらなら天ザル定食とか、中華なら昼飯でチャーハン定食とか、身近にある分、ありがたみみたいなのが薄れていた部分はあるけど、ちゃんと向き合うって大事だなという話です。


【あんたに聞くよ】
日比谷フェスでも披露した。
sus4という仮タイトルで作った曲。仮タイトル通り、sus4コードを含んだコード進行の荘厳さがこの曲のキモかなと思う。スタジアムに響くスネアの音が聞こえる。
今回、鍵盤で作った曲も多くて、だからこそできた曲なのではと自分では思っている。さゆりさんもいい曲だと言ってくれる。嬉しい。



【炭鉱日記】
今回の物語の設定が炭鉱になると決まってすぐに作った曲。
必ず労働歌は必要だろうと。労働歌といえばブルース。日本のブルースといえば演歌、みたいな発想で。そんなん作ったことないな、まいったな、と思ってたけどすぐできた。
普段、自分のことをロッカーだと言いはっている僕だが、DNAに刻まれた演歌魂が騒いだんだろうか。

【演出助手】
初めてのミュージカルの現場で、わからないことはたくさんあるけど、こういう肩書き関係も馴染みがないことが多い。演出助手ってなんする仕事?
歌稽古にも振付打ち合わせにも、その他の現場でも必ずいらっしゃって、例えば小百合さんに「このシーンで舞台の上にいて歌えるのは・・・」とか、板垣さんに「この役の人はここには出てないから、こっちの役もできますね」とか。資料を見ながら。
助手、という名前になってるけど、板垣さんのアシスタントみたいなニュアンスでなく、一番現場を俯瞰している人みたいな感じか。もう少しわかったらまた報告します。

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