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7cmのハイヒール

好きな靴がある。

取引先さんに出かけるときのプレーンの黒パンプスはこのブランドというのを決めている。
遊びに行くときの差し色的な、ワンシーズンで履きつぶしてももったいなくないような、鮮やかな色の靴のブランドも決めている。

そして、会社に行くときや、ちょっとお出かけするときのためのハイヒールの靴はここ、というのも決めている。

ちょっとお出かけ用の靴―7㎝のヒールの、DIANAさんの靴だ。

7㎝のヒールというのはとてもとても絶妙なバランスでできている、と思う。ハイヒールの中では比較的歩きやすく、バランスもとりやすい。足の甲が長めに見えて、あしなが効果がある。これはスキニーとか履いている時に本当に効果的だと、自分では思っている。
そして、私にとってはとても戦闘力が上がる高さだ。
すっと、背筋が伸びるし、自己満足以外の何物ではないが1割り増しくらいでスタイルがよく見える。何より、ハイヒールを履いている自分に凄く、テンションが上がる。

DIANAさんの靴が好きなのは、女性的なフォルムでいながらして、結構靴の先がとがっているものが多く、そして10000歩だって簡単に歩けてしまう安定感があるところだ(これは個人差があると思うけど)。そんなこともあり、私にとってはとても「簡単に戦闘力を爆上げしてもらえる」×「歩きやすい」靴なのだ。

その中でも少し(結構?)前に買った茶色のスエード生地の靴が本当に大好きで、大切に履いている。
買ったきっかけは、自分へのご褒美に何か靴を買いたいと思っていろんなお店をふらふらしている時に、偶然DIANAさんの店舗に入ったときに単純に一目惚れをしたからだった。金色のパーツと、茶色の落ち着いたバランスがすごく素敵で、戦闘力が上がりそうだとそう思った。
その時、どれくらい気に入ったかというと今までスエード生地の靴なんてたくさん履きつぶしてきた私がスエード用の栄養剤のスプレーを買ったくらいだ。
それから本当にたくさん履いた。あまりマメじゃないからちゃんと毎日は手入れできていなかったけれど、大切に履いた。
ある時は(全然おしゃれに興味がない)洋服を買いに行ったときに、素敵な店員さんに「靴がお好きなんですね」と言われた。
「なんでですか?」と聞いたら「素敵な靴を履いていらっしゃるから、お好きなんだな、と思って」とにっこり。
私が勝手に一目惚れをして、ただ履いているだけなのに褒められてしまって最高に気分がよかったし、やっぱりこの靴素敵でしょう、と自慢したくなった。余計にその靴が好きになった。

そんな風に大切に履いていたが、やはり消耗品なので、傷んではきてしまう。特になんの因果か私はよく道の溝にすぐにかかとを嵌めてしまって、かかとの部分を痛めてしまうのだ。
ほんと、こんな小さな穴によくピンポイントにはまるな、と呆れるし、周りにはもっと太いヒールにすれば解決するといわれるのだが、如何せん私はピンヒールが好きなので、どうしてもそこが譲れずにいる。
他の靴も欲しいが、でもこの靴をずっと履いていたい。DIANAさんの店舗を見かけると、今年は似たような靴、売っていないかな、と足を運んでしまう。
そしたら先日、店員さんに「その靴、うちの靴ですよね。大切に履いていただいてありがとうございます」と声をかけられた。
そうなんです、凄く大切に履いているんです、と言いたかったがやはり新品の靴に囲まれるとやはり、傷んでいて少し恥ずかしくなった。
今年も似た靴はなくて、それでもちょっと違う色の靴は一足欲しいと思っていたので、買い物をした後に、店員さんは笑顔でこう言ってくれた。

「修理もできますから、もし必要でしたら近隣店舗にご相談ください」

え?修理できるの?

衝撃である。修理してくれるのか。
サイトを見たら確かに修理メニューがいっぱい、載っていた。
コスパ考えるとどっちがいいのかは真剣に考えてしまうところだが、いつでも直してもらえるという安心感は、ちょっと大きい。
大切なものはやっぱり大切にしたい。靴のデザインって結構一期一会だからこういう、アフターサービスがあるとちょっと安心だ。

遠慮なく、まだまだ履かせていただこう。新しい靴を履くワクワクも大好きだが、大好きな靴を履くワクワクも、また格別である。
そして大切にしていることに気付いてくれた店員さんも、ちょっと嬉しくてまた少し、DIANAさんの靴が好きになってしまうのだった。

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