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妄想UNJデート

夢のテーマパークUNJ(ユニバーサル・ニッポン・ジャパン)を舞台に青年トキオ君が好きな人とデートする物語。

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0503 妄想UNJデート。

こんなに楽しい「待ち」があるのかと、子供の時思った。当時1番人気だったスパイピーマンのアトラクションを待つ行列。世界観を作る演出に、心が躍った。 今はと言えば、現在1番人気、ハリー・ボッテーのアトラクションに、おじさんと2人で並んでいる。 「3時間なんて、待ったことない長さだ」 確かに、おじさんにはキツい長さだ。 「すみません、なんかヌルっと乗る感じになっちゃってるんですけど、多分途中で列抜けるとかも・・・」 「いや、むしろ何かがある方が、色々と忘れられるから」

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0223 妄想UNJデート。

煙突に火をつけたご褒美は、魔法の杖やローブなど、魔法ウェア一式だった。的場さんにそれを着せた途端、「ムーディ!」と周りのお客さんが口々に言った。何故か非常に盛り上がっている。 「入口でも言われたよね」 「はい、小さな子に言われてましたね」 「やっぱり恥ずかしいなあ…トキオ君着てもいいんだよ」 「いえいえ、火をつけたのは的場さんですから」 的場さんの顔は「ボウ」の魔法をかけられたかのように赤い。 「小枝事変」の行方を見た観客も散り散りになった頃、少し前に見たコスプレ

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0220 妄想UNJデート。

「一味ビーンズ…?」 「なんかお菓子で、入ってる全ビーンズ『耳くそ味』なんだって」 「…それは何が楽しいんですか?」 オレたちは買う可能性ゼロの、完全なるウィンドウショッピングを楽しんでいた。しかし、せっかくの機会だ、やはり何か魔法感あるグッズを纏いたい。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー 「さあ!魔法を使って、1番強い炎をあそこの煙突につけられた方に、ご褒美を差し上げますヨ〜!」 人が集まってきた。重いお腹が声を上げるにも邪魔をしてくる。働き始めた当

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0215 妄想UNJデート。

途中、小さな子供がおじさんを指差して、勢いよく「ムーディ!」と言った。どう見てもムーディ負山には似ていないし、おじさんも困惑を右から左へ受け流せなかった。 「僕、そんな似てます?もう50のおっさんだし…」 「え、オレの父と一緒です!」 「そうなんですね…夢一君は、大学生?」 「そうです。トキオでいいですよ、下の名前で。あと、タメ口で」 「じゃあ、トキオ君。僕にもね、大学生の娘が1人いるんだ…」 おじさんの顔はなぜか曇っていた。 「…ドッキリとかじゃないよね?やっ

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