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鶴亀杯(短歌)「審査員賞」 春〜と共に賞

前回の宇宙杯に引き続き、鶴亀杯短歌を担当させて頂きました 春〜と共に です。
2回目となりました  みんなの短歌大会  も大変多くの方に参加して頂くことができました。ありがとうございます。
どの短歌もその方の個性があり、魅力あるものでしたが、審査員賞として、今回は、10首紹介させて頂きたいと思います。
(順番は投稿順です)
(短歌をできれば横一行で表示したいのですが、スマホでは途中で行が変わってしまうので、五七五のところで行を変えてご紹介致します。)


【棚架ヤスヒデさん】

駅前のビアガーデンでひとりだけ
傾けている空の小瓶を

駅前のビアガーデン・・駅前だからビルの屋上でしょうか。やや解放感がある。でも周りは建物に囲まれているような、そんなビアガーデンで、自分ひとり、空の小瓶を傾けている。何を思ってひとり、空の小瓶を傾けているのか、いろいろと考えてしまいました。ここから物語が始まりそうです。

【リコットさん】

あしもとにノウゼンカズラふたつみつ
おさなごひろいほほあんずいろ

ノウゼンカズラは、オレンジ系、赤系、黄色系の色がありますが、こちらの短歌では、薄いオレンジ色にほんの少しピンク色を混ぜたような色の、ノウゼンカズラのことを歌っていますね。杏色のようなノウゼンカズラ。このお花は次から次へと咲いて、そのままぽんと散ってしまうようなお花なので、落ちていてもまだ綺麗ですよね。それを幼い子が手にとる。そしてその子の頬は杏色と。想像しただけで、幸せな気持ちになりました。ノウゼンカズラだけカタカナで、他は全てひらがなにして、さらに優しさを感じました。

【moeさん】

白雨の濡れそぼる髪滴りて
一秒のキス隠し暮れゆく

一秒のキス・・まずこの 一秒 という言葉で読み手にいろいろ想像させてくれます。そして夕立ではなく白雨、次に濡れそぼる、滴りて、そして最後に隠し暮れゆく。エンディングに向かってたたみかけるように。moeさんの短歌の世界に吸い込まれていくようなそんな気持ちになりました。

【かっちーさん】

八十を二つさば読む母の手に
一時外した結婚指輪

八十を二つさば読む という言葉、そしてその後に 母の手に一時外した結婚指輪と。最初の段階で読み手が想像した“お母様”が、一時は外した結婚指輪をしていると、ここでさらに“お母様“への想像が膨らみます。そんな“お母様“を見つめている作者の心。とても奥深さを感じる短歌だと思いました。

【つるさん】

叶ふならもしと訪ひたきいづくにか
夕べの君をさがしてをりぬ

もしと訪ひたき とても奥ゆかしい、優しさを感じる言葉ですね。叶ふなら ということは・・・・・それでも、その夕べの君、夕べに暮れるあなたを探していると。優しさのなかに、静かな悲しみのようなものが漂っている、そんな短歌だと思いました。

【はるのふみさん】

猫の声そのなまめかしさを春と呼ぶ
路地裏のジャズワインの一滴

この短歌を読んだ時、なぜか油絵のようなものが頭に浮かびました。春の夜、路地裏の何処かから猫のなまめかしい声がする。そして、店の中からジャズが聞こえ、ワイングラスにはワインが。イメージは日本ではなく、海外のどこか・・・雑然とした生活感のある路地裏。言葉で絵を描いているようなとても興味深い短歌でした。

【めろさん】

同窓会上目遣いのキミ近い
夏恋 sky is the limit 

読んでいて、韻が心地良いですね。会、遣い、近い、sky。まず上目遣いの君を想像します。目線が下から上へと行きます。そのあと最後に sky is the limit (可能性は無限だというような意味)で、その下から上へ向いた視線がそのまま無限に上へ大きく広がっていくような、とても伸びやかな気持ちになりました。日本語と英語が韻を踏んでいて、なおかつ、意味も響き合っていて、めろさんならではの短歌ではないでしょうか。

【七田苗子さん】

君影を待てど見ゆるは宵明けの
川の辺ゆらふ杜若かな

杜若・・5月から6月頃に水辺に咲く、青紫色や白色がありますが、やはり杜若といえば、青紫色ですね。この杜若が間近に見えるということから、池のほとりあたりにいらっしゃるのでしょうか。君影を待てど・・君を待っている。そして気がつくと夜の闇が消えて次第に明るくなってゆく。その朝の光の中に青紫色の杜若が浮かび上がってくる。その杜若も私と同じように “君” を待っているかのよう。初夏の水辺の静かな時の流れを感じました。

【菊池洋勝さん】

十日間の絶食解かれ口にする
バニラアイスを力なく噛む

まず十日間の絶食・・そして口にするバニラアイス。アイスは食べるという言葉を使うと思うのですが、力なく噛むと。冷たくて柔らかな食感のアイスを十日間の絶食のあとに口にする。口だけではなく、全身でアイスを感じたのではないでしょうか。私には到底詠むことのできない、菊池洋勝さんの短歌だと思いました。

【あぷりこっとさん】

今月も笑顔見せ合い語り合う
一期一会の覚悟持ちつつ

今日も ではなく 今月も。 そして、 笑い合うや共に笑う ではなく 笑顔見せ合い。 次に、一期一会の覚悟。一期一会(一生に一度の出会いで二度とない)の覚悟(受け止める心構えをする)。あぷりこっとさんが、この短歌に込めた深い意味が伝わってきました。先の事は誰も分からないのに、またきっとその人に会えるとどこかで思っている。でも、もう会うことはないかもしれない、そう思ったら、その人と笑い合う時、語り合う時は、本当にかけがえのないものとなりますね。





では最後に皆様へほんの気持ちです。
ありがとうございました🌸

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ありがとう
みんなの歌は心地良く鶴亀杯に響き渡って

この出会い鶴亀杯はいつまでもみんなの心に
 そして秋へと