見出し画像

「さよなら」

心が叫んでいる。苦しい。もういいと。決して口には出せない言葉に埋もれ呼吸を忘れる。嗚呼、もうこのまま窒息でもすればいいのか。どれだけ願っても望んでも欲しても叶わない事は既に解っていた。しかし、それでも構わない。僕はただ正直で在りたいが為に自分を信じた。君を信じ続ける気持ちにも偽りはない。

これからも其れは不変だ。しかし想いは膨らみ過ぎてしまった。心が破裂したんだ。あの日、あの時に。裂けた心から溢れ出したのは血の泪。痛みを感じる事が出来れば救われたのか。僕の痛覚は麻痺してしまった。時が経ち、瘡蓋だらけの心に残ったものは亡骸となった君への想いだけだった。なぜだろうか。

現実は待ってはくれなくて、目の前を足早に過ぎる。逃避する脳内はそれでも疑問符を外そうとする。この身など消えてしまえば良いと思うのに、だ。考えても何ら変わない事は知っているのに、それだけは解そうとする自分が居て生き延びる。暫くして漸く乾いた瘡蓋を君に剥がされ、それは幾度も繰り返された。

そして壊れた。自力で立つことも儘ならない状態になった。嗚呼、もういいや。そう感じた僕は全てを投げ出して今度こそ消えてしまおうとした。ただ、消えるにしても簡単にはいかない問題が山積みだった。仕方なく片付け始める。何をやっているのだろうと思いながら。消える為に生きている矛盾に、笑える。

未だ片付く目処は立たず生きながらえる日々。そんな最中に不意をついてまた、また君に打ちのめされた。どれだけ痛め付けるつもりだろう。しかし、其れを問い質したところで答えは返ってこない事ももう十分過ぎるほど心得ているし、敢えて聞かなかった。きっとこれが最後になるだろう。そう思う僕がいた。

そして疑問符が付いたままだった事。やっと外すことが出来た。やはり僕は心に嘘がつけなくて自分を信じ続け、亡骸になった君への想いも信じ続けていたんだ。君からの愛が歪でもその心には嘘がない事実もまた、信じるに値したから。けれどもうこれ以上は受け止められない。僕は消える為に生きてるから。

ただ、君への愛は決して消える事はない。亡骸となってしまったけれど君に愛されて満たされた幸せを、喪うことなど出来やしない。無かった事になんて出来もしない。出逢えて本当に良かった。この傷だらけの心の底から伝えたい。愛してくれてありがとう、僕も愛していると。これからもこの愛を貫くと。


※2018年7月2日 旧Twitterにて投稿


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?