蒸発のなからば海は膨らみてヒト濡る ヒトは主体ゆづらず ヘゲモニーそれらしからず音のどかMADE IN CHINAの服はこぶ船 山脈にやはく小雨の降るやうに歯列はクリーニング受けをり たれか走り抜けるのあとにわれはゐてそこへ満ちゆく空気のながれ 大気大循環われをふふみゆく……やうなる夢に躯体透けゐつ Eclipseわれを見捨ててゆく肉のありてズボンにゆとりある秋 月、海を引き留めてゐてくるぶしに波打際の領域およぶ 生命の月より来たる心地せりMare Imbriumさざめいてゐ
さざれ石さざれさざれて無となれば夜風となって耳を吹き過ぐ さわらぬ君に呪いなかれと呟いてわずかに震う夜の水源 恭順をしずかに海へにがしたりさざんざざざと君にかかわる 「くん」という敬称を持つ僕らふたり渋谷PARCOの影に抱きあう 直腸に走る痛みのそれほどに君を嬲れりその末端も さざやかに、こんな言葉はないけれどさざやかに歩きたくなったの 果てには海……まっすぐ行けば海よりも先に行き着くブーランジェリー She sells sea shells by the seashore.
バスドラムばかり聞こえる洋楽を拍動として行く通学路 担任は呼び鈴を持つ 教室に入り来るとき三回鳴らす 前席の子は突っ伏して先生の靴が鳴るたびわずかにかしぐ Pursuitと言えば展かれるパラシュートあって語学の裸地に降り立つ 長恨歌 知ったかぶりと知らんぷりを組み合わせつつ作る友達 龍角散口にするたびカラオケの記憶よみがえりくる受験期 パーティション立ててマスクを外すとき露出しているわれの黒幕 青春を積み上げたその上に立つバスケゴールに春風が来る 死んだあとに全集とか作られる
わたしの神話一音乃 遥 さみしさ、とマスクの中へささやけば駅舎へ染みてゆく無声音 性自認という言葉に赦された姦淫を秘め歩く渋谷を 信号待ちのように学校へ行く日々にアネクメーネが侵蝕される 春という季節を呼べば春という名前のひとが開くくちびる 分け方によっては異性となる君の運命線はメコンのごとく はらひたまへきよめたまへとそのまんま君が読むから春は晴れやか わたしから性が溢れてしまうとき僕が生まれるいちいち生まれる 天界の捜査一課だ満杯のリュックをそっと開ける天
ナンバーズ参加者 このたびは数字短歌企画ナンバーズへご参加いただきありがとうございました。参加者の方のお名前を全員分示させていただきます。(敬称略) 《マイナンバー詠》 つきあかり 柊 雛子 々 悠正 りん2 5.74ft 零双乗(ダブルートゼロ) 三浦なつ 杏藤ミレイ 野添まゆ子 六厩めれう 404notF0816 涸れ井戸 千仗千紘 伊縫七海 やお 腐草 麦 きゃっと(cat) 深里たおか 鴇巣 和三盆 四辻さる 高木一由 ワトゾウ 青村豆十郎 なな 《題詠「数」》
今やこの世の中の基盤を形作る科学。そしてその科学の根底にあるのが数字です。 ということで、そんな数字で短歌を詠む企画、「ナンバーズ」を企画します。 具体的募集要項①マイナンバー詠 筆名に数字を持つということは、この世界の根源に名前という形で触れている、ということです。そんな方々向けに、ご自分の数字、いわば「マイナンバー」を詠んだ短歌を募集します。 対象: 筆名に数字が入っている、または筆名となんらかの数字が結びつけられる方 提出物: 1.「筆名」(かぎかっこをつけてく