さよちゃん
雨上がりの、とても気もちのよい日のことでした。
さよちゃんとかよちゃんは、えんがわで、おままごとをしています。さよちゃんが、おかあさん。かよちゃんが、こどもです。
「かよちゃん、かよちゃん。ごはんですよ」
さよちゃんは、つみ木のおにぎりと、たまごやきを、おままごとのおさらにのせました。かよちゃんは手をたたいてよろこびます。それから、つみ木のおにぎりをとりあげて、いただきまあす、と、ぱくり。おくちにくわえてしまいました。
「あらあら、これはつみ木ですよ。まねっこだけに、しましょうね」
さよちゃんはつみ木をハンカチでふいて、かよちゃんのおくちのまえで、あむあむあむと、たべるまねっこをしてあげました。かよちゃんもごきげんで、あむあむあむ。
ふたりはそのうち、だんだんとたのしくなってきて、きゃあきゃあわらいながら、あむあむあむ、あむあむあむと、大きなこえで、うたいだしました。
そこへ、おにわでせんたくものをほしていたお母さんが、もどってきました。
「あらあら、かよちゃん。ずいぶん、たのしそうにしているわね」
お母さんは、つみ木でりずむをとっているかよちゃんに、うれしそうに言いました。かよちゃんも、おかあさんのおかおが見えてうれしくなったのか、だーだ、だーだと、いっしょうけんめい、おはなしをはじめます。
雨上がりの、とても気もちのよい日のことでした。
おくのおへやの、小さなテーブルの上では、かよちゃんによくにた女の子のしゃしんが、お花にかこまれて、やっぱりうれしそうなおかおで、にっこりわらっているのでした。
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