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サイン盗みの許容範囲、NPBとMLB

「サイン盗みは絶対に許されない」のが今の日本野球では当たり前になっているような気がする。高校野球からプロに至るまで、塁上で少しでも怪しいそぶりを見せようものなら、実際にやっていようがいまいが厳しい批判の対象になってしまう。

このケースに関しても、ネット上には阪神・近本選手の行為を咎めるコメントが多数。本当にサイン伝達をやっていたとは考えにくいが、それでも批判は免れなかった。

ところが、大リーグでは事情がやや異なるらしい。こちらの動画ではドジャースのクローザー、K.ジャンセンが「故意」ボークをする様子が解説されている。

2塁ランナーのカブス・ヘイワードが不審な動きを見せていたことから、ジャンセンはサインが伝達されていると判断。先程のヤクルトー阪神戦であればここで試合が中断されてもおかしくなかっただろう。しかし、ジャンセンが取った行動は「あえてボークを犯し、ランナーを3塁へ進塁させることでサインを覗けないようにする」というものだった。まさかの「申告ボーク」である。

この動画のコメント欄では、ヘイワードの行為に対する批判は全くみられない。先程の近本と違い、実際にサインを盗んでいた可能性が極めて高いのにもかかわらずだ。それどころか、「アストロズ、よくみておけ。これがサイン盗みの正しいやり方だ("So a note to the Astros. This is an okay way of stealing signs.")」というものまであり、1.2万ものいいねがついている。この動画だけで判断するのは無理があるものの、どうやらアメリカ野球にはサイン盗みがある程度許容される文化があるらしい。

では、アストロズのサイン盗みはなぜあそこまで批判されたのだろうか?再び解説動画を見てみることにする。

この動画でJomboy Media の Jimmy O'Brien氏が指摘しているのは、サイン盗みがテクノロジーを使って行われたという事実。アストロズは高性能カメラとゴミ箱で球種を伝達していたわけだが、流石にこれは全く許容されない部類に入る。禁止薬物の使用と同じく、人間の力を超えたものに頼るのはNGだということなのだろう。

自分は経験者ではないので詳しいことはわからないが(ずっとサッカーやってました)、サイン伝達に当たる行為は誰もが人生で一回はやったことがあるのかもしれない。また、NPBでも過去にサイン盗みが状態化していた時期があったようで、ある意味では暗黙の文化の一つだったそう。ただ、現在の状況は最初に述べた通り。ここにもまた、アメリカ野球と日本野球の大きな違いがあるようだ。

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