Tumblrに掲載した文章 2022.07.15 AM10:24
隣の大叔母宅の庭で、いつか、
もう遠い、遠い、いつか、一輪の薔薇が、密やかに花をつけた。
小さな、手入れの行き届いた庭で、そっと、あかりが灯るように、咲いていた。
白を散りばめる野ばらが、囁きと沈黙を同時に湛えているように、
大叔母が丹念に手を懸けていたその薔薇も、
何かを話したげな、けれどもどんな言葉も無為にしてしまうのではないかという躊躇いと遠慮深さを、その身に淑やかに纏い、佇んでいた。
問い掛けたら、わたしも、薔薇の声を聴けただろうか。
けれども、大叔母の眼差しと、指と