痛いよ、助けて
前に進めない、このままじゃ。
私はどうしたいの。
自分の本音がわからない。
これ以上傷つくのが怖くて。
まだ治りきっていない傷跡がまたひらく。
その傷は良くなったり悪くなったりを繰り返す。
いつまで経っても完治しないで、ジュクジュクと湿っているんだ。
どこかに特効薬はないかな。
傷が完全に治るまで、触らないで、放っておくのがいいのかな。
私は即効性のある薬が欲しい。
時間が経てば治るなんてありきたりな言葉、欲しくない。
時間が経てば治るなんて、誰だってわかってる。
治る過程でぶり返すその痛みが辛いから、これ以上我慢できそうもない。
だから私は傷にいろいろと薬を塗ってみる。
触らないほうがいいって?そんなのわからない。
もしかしたら、今から試そうとしているこの薬が抜群に効いて、綺麗さっぱり傷跡までなくなるかもしれないじゃないか。
時間だけが過ぎて治った傷は、開くことはなくても、傷跡はきっと残る。
私が欲しいのは、完全なる復活。
そう、完治だ。
傷跡もいらない。
私の心は平穏と平安を取り戻す。
むしろ、前より強くなるかもしれない。
傷跡がなくても、治ったあとの皮は、前よりも分厚くなっているはずだ。
今の私は、まだ治りきらない傷を心にかかえている。
もう治った!と思いたかったときもあったけど、やっぱり傷はまだあって。
それは無視しようとしたら、きっとそのまま跡として残る。
それに気がついた私は、その傷がどれだけ小さくても、無視しないと決めたんだ。
だから私は、この傷をかかえたままじゃ前に進めない。
それは私が勝手にかけた呪縛なのだろうか。
でも私はこの傷を完治させたい。
跡形もなく。なんの後腐れもなく。
これは私の願い。
もう消えてなくなれ、この傷め。
ああ、きっと向き合うべきは、私を傷つけたあの人ではなく、私自身。
私自身が誰からも傷つけられることを許さなければ、傷はできない。
傷つけられるのを許したのは私自身。
私が私を傷つけた。
この傷を治すのは、私だ。
でも、どうすればいいのだ。
どう向き合うのが正解なのか、私にはわからない。
傷つけた人を嫌いになろうとした。無視しようとした。
それでも傷は無くならない。
その傷の存在をちょっとだけ許してあげたら、ちょっとだけ痛みが少なくなった。
私を傷つけたあの人と和解しようとした。
より深く傷ついた。
傷が良くなるかもしれないけど、場合によってはより悪くなる可能性があるカケに、乗っかりきれない自分の覚悟の弱さ。
それでも挑戦はしているんだ。
挑戦しても、いつも自分の読みが甘くて、大体は傷を増やすか深めるか、という結果になる。
でもちょっとだけ傷が良くなったように思えたときもあって。
なのに時間が経つとなぜか傷は元通り。
あれ?良くなったように見えたのは気のせいだったのか。
すごく悲しく、残念な思い。
じゃあこの傷はいったいいつ治るのか。
誰にも答えなんて出せないし、正解もわからない。
今夜また、私の傷が疼いている。
このままでは眠れそうにない。
痛いよ、助けて。
はる
2024.1.13
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