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美味しすぎてあっという間に完食~「ぐるぐる、和菓子」感想~

好きなものはいちばん最初に食べて、
いちばん最後のひとくちを大切にとっておきたい派です。

こんにちは。晴季です。


今日も断捨離の話をしたいところですが、
今日は連休ということもあり、
わたしの実家に帰省するので、
昨日書きそこねた本の感想を書こうと思います。



お久しぶりの小説


最近読む本は、自己啓発やら起業系やらの本が多かったんですけど、
久しぶりに小説を読みました。

それも、わたしにしたら異例の速さで。

日曜の免許更新の時購入して、
水曜の昼には読み終わりました。

買ったは良いけど、すくみ読まないで積読なんてザラ出し、
読み始めてもななかなか進まないなんてことも当たり前。

(気に入った文章を何度も堪能して読み返すので、
なかなか前に進まない)

それなのに、4日で読み切るとは。

なんというか、
こんなにおいしい小説は初めてで、
あっという間に完食(読了)してしまった感じです⋯。

(それでも、お気に入りの箇所は繰り返して読みましたけどW)


それだけでは飽き足らず、
この本の魅力をぜひ、お伝えしたい。
自分にももう一度、言い聞かせたい。

そう思い、
わたしなりの推しポイントを書き綴ってみようと思います。

そもそもなんで手に取ったのか


作品内容の前に、
手に取ったきっかけもちょろっと。

最近は、童話書く時間に充てたいと思って小説は買わないようにしてるんですが、
本屋へ行くと、必ずどんな本がるのか気になって、
平積みの本をチェックしちゃうんですよね。

で、いつもなら見るだけで満足するんですが

今回は、柔らかなタッチの和菓子のイラストの文庫がなんか気になって。

もともと、和菓子が好きなのと
和菓子のアンシリーズが好きっていうのもあると思いますが。

それで、ちょっとだけ覗く気持ちでパラパラめくったら、心躍る最後のサブタイトルと、
冒頭ちょろっと読んだだけで泣きそうになったので(買う前に泣くとかどんだけ感情移入しとんじやw)
購入せずにはいられなくなりました。


主人公(男)が理屈っぽいのにまっすぐで真っ当


で、ここからが本編の感想。

わたしの推しポイントの一つ、主人公(男の子)である河合涼太は、大学院に行けるほど頭がよくていい意味でお坊ちゃんな礼儀正示唆があって、何よりずば抜けて変わってる。
 
主人公が変わっているというのはあるあるですが、
彼は変人だけど、すごくまっすぐなんですよね。

こねくり回して考えるくせに、
その根底にあるのは純粋さと前向きな考えだから全然嫌味が無い。何ならちょっと感動しちゃったりする。

現実にいてくれたらめちゃくち勇気づけられるし、たとえ、いなくても、こんな言葉聞いちゃったら、自分のことを肯定しないわけにいかないじゃないか。と思わされずにいられないんです。

「だから僕は、世界を肯定することにしました。
矛盾だらけで理不尽で腹の立つことばかり起こる世界だけど、その中で生きていく自分はどんな形であっても正しい。そう考えたんです」
(「ぐるぐる、和菓子」より) 

主人公(女)の心情に心当たりがありすぎる

そして、もう一人の主人公(女の子)真っ直ぐで迷いのない涼太とは真逆に、
自分が何処へ向いたいのか分からず、まさしくぐるぐるしてるのが遠野寿莉。

「わたし、何も自慢できることがなくて、いつも地震がなくて、でもお菓子を作れるようになれば、そういうことがなくなるかもって。ここにいてもいいよって言ってもらえるかもって。そんな自分勝手な考えなの」(「ぐるぐる、和菓子」より) 

彼女は全日本の自信ない女子を代表してるような女の子で、
でも、そんな自分を変えたいと思ってるところが、共感しかない。(45歳と重ねて申し訳ないが、人の本質は年齢では測れないので、許してほしい)

じれったいと思うことも多いけど、
そのじれったさは、わたし自身に感じてることなんだって思う。
だからこそ、彼女が頑張ると嬉しくなるし、応援したくなる。

わたしにもやれることがあるんじゃないかって思えてくる。


涙なしには読めないノスタルジックな親子関係かと思いきや、いい意味で裏切られる家族関係


そして、そもそも読みたいと思った理由の一つである、涼太と母親の話。

わたしが作品の冒頭で思い描いた関係は、最後の章で全くの方向違いだったってことが分かるんですけど、それが全然嫌じゃない。


自分の古臭い思い込みをぶち破ってくれてありがとうとさえ言いたい。

この小説には世界的小説家や大女優、至高の和菓子職人などなど、
一見、庶民とはかけ離れた人物も出てきますが、それぞれが個性豊かに、人間らしい部分が描かれているので、これまた、全然嫌じゃない。

むしろ、楽しい。

そんな愛すべき登場人物にも恵まれている。

さわやか青春もほんのり恋愛も堪能できて、和菓子もチョコも食べたくなる小説


甘さも楽しさも、ほろ苦さも辛さもあって
そのどれもが愛おしくて美味しくて、いつまでも味わっていたい。

そんな小説でした。

素敵な出会いに感謝です。





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