ここは寂しいけれど涼しい。ノイズがないからだ。草原の果てにそのサナトリウムはあったが、そこの風は寂寥のなかでそれでも確かに心地よく吹いていた。その静謐は二人を愛の下へといざなう。森閑とした風景は抒情において融け合い、純粋な世界を現出させる。だがその世界は、あまりにも寂しかったんだ

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