父が泣いた。対面したわけでないけれど、文章が泣いていた。謝罪の涕涙であった。けれど、僕は涙ぐんだものの特段の変化を覚えなかった。僕の道の先に何も見えないからだった。暗澹たる真っ黒な世界が広漠としてあるだけだったからだ。もう、僕の膂力はペンを握り履歴書を書くのを許さないからだった。

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