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鎌倉七福神巡りとクルミっ子パフェの話。

毎日会社に行きたくないなと思いながら生きているわたしにとって、古都というのはとにかく憧れの場所である。というか、鎌倉の話だが京都にとにかく行きたい。数日に1回は少なくとも京都に行きたい、京都に住みたいと思っている。それはたぶん今わたしを苛んでいるこの会社と言う地獄から遠く離れた場所であり、神社仏閣がたくさんあっていろんなところから護られていそうというイメージがあるからかもしれない。

けれどコロナ禍の今、京都なんて行けない(年明けに厄払い行くって決めてるけど)。コロナは怖いけれど、どこでどう過ごしていても気を付けていたってなるときはなるし、それはどうしようもないことだと思う!という気持ちになって、メンタルが地に落ちまくっていたわたしは何故こんな天気のいい日に仕事をしなければいけないんだろう、コロナなのになぜ出社しなければならないんだろう、出社はよくて旅行は駄目なのは何故なのだろう、という理不尽な気持ちがふつふつと沸き起こって、そうだ鎌倉へ行こう!と思った。というのも、コロナ禍で各飲食店が自粛休業していた間に鎌倉紅谷さんがクルミっ子の切り落としを通販しているという話題をTwitterで見ていて、しかもカフェがあってクルミっ子パフェがあって、それが滅茶苦茶に食べたい!という欲求に抗えなかったからである。それで色々と調べていたら、鎌倉・江の島七福神巡りという記事に辿り着いた。なにやら途轍もなくご利益がありそうな気配である。それでとりあえず、ホテルを予約した。死にそうな思いで仕事をして税金を納めているのだから、1度くらいGOTOトラベルの恩恵に肖らねば!とも思っていた。そんなわけで、ホテルはメトロポリタン鎌倉を予約。泊まりたいホテルを予約できた!と浮かれていたが、よくよく見たら窓からの眺望は臨めない部屋だった。うっかりし過ぎである。

友人たちはこぞって土日休みなので、誘って断られるのがメンタル的にしんどかったので、母に行こうよ!紅葉(まだしてなかった)見に行こうよ!と駄々を捏ねてみたが、曖昧な返事でのらりくらい交わされた。それでひとりで行くぞ!と意気込んでいたのだが、こいつこのまま高跳びして帰って来ない可能性あるぞ!という話になって、偶々この週なら休みが合うと言った母とのふたり旅になった。初めての母とのふたり旅である。まずしたことは、以前妹を踏まえた3人旅をしたときに、母の鼾が凄くて寝れなかったので耳栓を調達することだった。パチンコだいすきな父が耳栓を持っていたので貸りれば?と母に言われたのが、流石にちょっと生理的に無理じゃない?という失礼な気持ちになって、父にどこに売っているのか訊いてみた。その辺のコンビニで売ってるだろ、と言われたが、売っていなかったら訊いているのである。そしたらその翌日、ネットで買ってあげたから!と言われる娘。父、滅茶苦茶に仕事が早い(結局耳栓をしてもあんまり寝れなかった)。

旅行と言うのは計画を立てているときがいちばん楽しい。もう仕事など手につかず、人目を盗んではずっと鎌倉の美味しいご飯屋さんとか可愛い雑貨屋さんとかを調べていた。わたしの仕事などその程度でこなせるものなのである。わくわくしながらTwitterで情報を検索していたら、クルミっ子缶なる素晴らしい情報を見つけた。鎌倉紅谷さんのリスくんがプリントされたつややかな茶色い缶にクルミっ子が10個詰まっている。なにこれ、かわいい。滅茶苦茶に欲しい!となって調べたら、どうやら土日は1時間ほどで完売してしまうよう。買えたらラッキーくらいの気持ちでいよう。そうしないと、もうこれを買うことが旅行の目的になってしまう。母はとりあえずわたしについてくるだけなので、計画をざっくり立ててみた。1泊2日の計画は以下である。

①鎌倉・江の島七福神巡りをする。②クルミっ子パフェを食べる(タンブラーを買う)③クルミっ子缶をあわよくば手に入れる。④オクシモロンでカレーを食べる。⑤あわよくばgramで新しい指環を作る。⑥北斎グラフィックの傘を買う。⑦長谷の土鍋ご飯屋さんで土鍋ご飯を食べる。⑧江の島の和食屋さんでお昼ご飯を食べる。

鎌倉までは最寄りのひとつ先の駅から、時間帯によっては乗り換えなし1本で行ける。2時間半の電車旅である。ここでわたしは人生で2回目の快速線のグリーン車に乗った。なんと快適かなグリーン車の旅。ほとんど誰もいないので、満員電車での感染リスクも限りなく少ない。始発駅から乗るので、普通車両でも余裕で座れただろうし、東京を過ぎれば車内はかなり空くだろう。けれどグリーン車というものは、新幹線にも通ずる快適さがあった。一応物販があったが、乗務員さんの歩き去るスピードが速すぎて声も掛けられなかった。いや、別に欲しいものがあったわけじゃないけども。

9時半過ぎくらいに鎌倉に着いたので、これはクルミっ子缶買えるのでは!?とまず鎌倉紅谷さんでクルミっ子缶を買った。初日からあわよくばの③を達成!幸先がよすぎたが、明日パフェ食べに来るしなと秋のぬくもりを買わずにいたことを翌日滅茶苦茶後悔した。売り切れていたのである。だがそのことをこのときのわたしは知らない。うっかりし過ぎである。

1日目は午前中は江の島に行って、午後から鎌倉に戻って来る予定だったのだが、思いの他若宮大路が長かった。そりゃあ小町通と同じ長さなのだから長いに決まっている。そこで①鎌倉・江の島七福神巡りは鶴岡八幡宮の弁財天からスタートすることにした。そこから他の3つの神様を回りながら駅に戻るルートである。通常は江の島か北鎌倉の浄智寺から始めるのがセオリーのようだが、どこから始めてもOKのようだ。七福神、と言いながら8つの神様を巡るのだが、御朱印を頂く方法は3つある。まず色紙が2種類。御朱印の文字がスタンプされているものと、手書きして貰えるもの。そして専用の御朱印帖が1種類。わたしは今回御朱印帳にしたのだが、これは中に既に各御朱印が印刷されていて、それぞれの神社やお寺で押印と日付を書いてくれる。コロナ禍で何処の神社さんも御朱印は紙で配布となっていたので丁度良かったのかもしれないが、落ち着いたら手書き色紙でもう1度巡りたいなと思った。

午前中に4つの神社を回って(コロナ禍なのか平日だったからなのか、神社の混雑はほぼゼロである)、江ノ電で江の島へ。海辺の町に生まれてこの方ずっと暮らしているが、江ノ電から見る海はびっくりするくらい綺麗だった。海ってこんなにキラキラしているのか!漁船がないだけで!という気持ちである(後日近場の海を見て見たくなって来るまでぐるっと岬を回ってみたら、案外同じくらい綺麗だった。要は気持ちの問題なのである)。お昼ごろに江の島へ到着し、⑧の目的を達成。このお店は以前友人と鎌倉旅行に来たときにお昼を食べたのだが、そのときと比べて量が格段にアップしていた。とても美味しかったのだが、ちょっとこれ、夕飯までお腹空かないかもしれない!という気持ちになる。何故なら夕飯に行こうと思っていたオクシモロンがラストオーダー17時半だったのだ。デザート如何ですか?と魅力的な店員さんからのお誘いを丁重にお断りして、いざ江の島へ(このときは江の島で最中アイス食べるしね!と言っていたが、まったくお腹空かず食べられなかった)。江ノ島駅から江の島までは徒歩10分~15分くらい。江ノ島はなんだかフランスのモンサンミッシェルに似ている気がした。頂上に神社があるところとか特に似ている。ちなみにわたしは過去モンサンミッシェルで迷い、謎の浜辺に出てしまい半泣きになったことがある。言葉の通じない国で迷うのマジ勘弁という気持ちだった。けれど基本的にフランス人はいい人の塊である。話は逸れたが江の島神社まではエスカーで上がる。御朱印は中宮で貰えたのだが、どうせなら奥宮まで行こうと思ったのが間違いだった。母、完全にグロッキー。わたしもそれなりに寒いぞなんて天気予報を宛てにしてそれなりの格好をしていたら滅茶苦茶に暑く、軽い熱中症になりかけた。すぐに熱中症になりかける女、それがわたしである。マスクをしながら階段を上がるなんてことをして、死にそうにならない方が可笑しい。そして極めつけにピアスのキャッチを無くす体たらくである。本体の方じゃなくてよかったが、どうしてアイツはこうもどこかへ行ってしまうのか。本当に勘弁してほしい。どうにかこうにか結構な階段を上り下りして参拝を終え、参道で美味しそうなお饅頭とどら焼きを買って、江の島を出たのが16時過ぎくらい。時間余ったら江ノ島水族館行こうよ!なんて言っていたのだが、そんな元気はもうなかった。

鎌倉に戻る頃にはちょっとお腹が空いてきた。夕方の小町通りはいい感じに空いていて、ご飯食べ終わったら見ながら帰ろうと思っていた。無事にオクシモロンのカレーとプリンを食べる。

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食後に貰ったクルミのお菓子が、クルミだいすきな母に大ヒット。とても美味しかった。gramはオクシモロンの下の階にあって、閉店間際だったのか入ってすぐ指環を作って貰えた。大体いつも混んでいて、整理券を貰って並んでようやく買える程の人気店だ。思えば駅に辿り着いたら丁度電車が来たり、行きたいお店が丁度空いて居たり、タイミングがとても良い旅行だった。18時半を過ぎた頃には小町通は飲食店以外は閉まってしまい、昼間の喧騒が嘘みたいに閑散とする。案外早くしまっちゃうんだね、と母と話しながら途中和雑貨のお店でピアスを買う。買ってから気付いたのが、これ樹脂の奴や!ということ。樹脂ピアスは少々差す部分が太いので、わたしのピアスの穴では少々痛いのである。うっかりし過ぎである。

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そんなことは露知らず、ピアス買えたぞ!明日付けるんだ!と思いながらホテルへ戻る。わたしは右耳に4つ穴が開いているので、ひとつでも掛けるとなんだかとても不格好だ(個人的に)。なのでいつも予備のピアスを持ち歩いていたのだが、どうせ毎日つける子たちは決まっているのでこのときは持っていなかったのである。さておき、ホテルの部屋は眺望こそ残念だったが、それを除いても素晴らしすぎる部屋だった。無駄のない配置、木を使った温かい内装、シンプルな壁、とてもいい。窓際の部分が小上がりになっていて、ソファとテレビがあった。お風呂とトイレが別々なのもいい。けして広々しているわけではないけれど、こじんまりとしているわりに丁度いい感じがとてもよかった。案外狭いね、なんて思いがこれっぽっちも出てこない。これで眺望がよければ最高過ぎるなあと思った。次は眺望のいい部屋を奮発しよう。お風呂から上がってもまだ20時だったので、鎌倉のホテルで海街diaryを見た。鎌倉にいてしみじみと海街っていいなぁと思う。

翌日は長谷寺から七福神巡りをスタート。前日5つの御朱印を頂いていたので、残りは3つだ。長谷寺を参拝し、そのあと御霊神社へ。長谷寺ではみたらし団子が食べたかったのだが、コロナ禍の影響なのか売店は閉まっていた。くそっ、コロナめ絶対に許さん。途中、オルゴール館でオルゴールを見る。エッグ型の小物入れのオルゴールとか可愛すぎてヤバい!となりはするのものの、意外と小物入れ使わないよねというのが大人になったわたしの感想である。あれ、なにを入れるものなのだろう。オルゴール、いつ鳴らすんだろう?子供の頃は欲しいな、かわいいな、と思っていたはずなのに、けったいな大人になったものである。

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御霊神社は鳥居の向こうを江ノ電が走る神社である。向かって歩いていたら、近くに住んでいると言うおじいさんが話し掛けてきて、是非見るといいよ!と教えてくれた。そんなタイミングよく見れるかな?と思っていたら、20分ほどの滞在で2回ほど電車が通過するのを見れた。とてもラッキーである。ここまで来たので大仏様も見て行こうと鎌倉の大仏へ向かった。その後土鍋ご飯を食べる予定だったのだが、ホテルの朝ご飯が思いの他量が多かったのでお腹が空かない。これはもうお昼を抜いてクルミっ子パフェを食べよう!と言うことになった。そこで江ノ電で鎌倉へ戻り、そのまま浄智寺へ。浄智寺で無事に七福神巡りはゴールである。浄智寺は駅から10分くらい歩くので、このまま鶴岡八幡宮へ抜けた方がいいのでは?と思ったが、ハイキングコースの階段を目の前に断念した。

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ちなみに浄智寺は「おカネの切れ目が恋の始まり」の1話の冒頭、玲子がクルミクッキーを食べていたお寺である。参道も3話で出ていたりして、母とこの辺りじゃない?なんて言いながら歩いた。今度は同じ場所に座ってクルミっ子を食べよう、そう思った。

鎌倉に戻って小町通を散策しようと思ったが、人が凄すぎて断念した。北斎グラフィックを扱っている傘屋さんは小町通の入り口にあるので、傘は無事に購入することができた。椎名林檎嬢の大ファンであるわたしは和柄の傘が実に林檎っぽい!ああ事変っぽい!という基準で物事を判断する。今回購入した傘も実に林檎嬢が持っていそうな(勝手なる推測だが)雰囲気が素敵だった。というか、いろんなことを抜きにして奇抜なものがすきなのである。傘、晴れているのにめっちゃ荷物!と思いながらそのまま若宮大路に出てクルミっ子カフェへ向かう。混雑時だったので、整理券を発見してもらった。順番が来たら電話で呼び出してくれる仕組みだ。QRコードを読み取るとあとどれくらいで呼ばれるかを確認することもできる。1時間くらい待つとのことだったので、はんなり稲荷を食べながら待っていたら30分くらいで入ることができた。

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これが念願のクルミっ子パフェである。パフェはもちろん美味しかったのだが、3年ぶりくらいに食べたクルミっ子の切り落としがびっくりするくらい美味しくて、ここは天国か!?と思った。リスくんのクッキーも美味しかったし、アイスも美味しかったし、甘いキャラメルのアイスとコーヒーゼリーの相性が絶妙だった。美味しすぎてびっくり。何度でも言おう、美味しすぎてびっくりである。

すっかり歩き疲れていたので、少々早めに鎌倉を退散したが土鍋ご飯を食べられなかった以外は概ね目的は達成、充実した旅行であった。ちなみに2日間でお神籤を3回引いたのだが、なんと最初の2回が大吉だった。最近は全然大吉にお目に掛かっていなかったので、ついぞ運が戻って来たか!と思いながらまずチェックするのは健康運である。江の島神社で引いた1回目には「病長引く」と書いてあった。え、大吉なのに?母も大吉だったのだが、おおよそ大吉なのに?え?大吉なのに!?というような内容が書いてあった。凶とかの間違いではないのだろうか。まぁ、わたしにしてみれば、結構な感じで長引いているので、現状長引いています神様!ということにした。2回目は長谷寺でトンボ玉御籤を引いた。トンボ玉、とてもかわいい。健康運は「精神の安定が第一」だった。それ、主治医からも言われた!神様ちゃんと見てる!凄い!という気分である。3回目は浄智寺で水御籤というのを折角なのでやってみたところ、中吉、健康運は「自分の時間を作ること」だった。

その後クルミっ子の切り落としが食べたくて通販戦争に参戦、ついに栄光を勝ち取ったのはつい一昨日のことである。これでしばらくクルミっ子食べ放題!しあわせな生活が待っているであろう。鎌倉から戻って2週間、既にわたしが再びの鎌倉へ逃げ出したくなっていようとも、明日から始まる魔の1週間永遠と会社に行きたくないと思っていようとも。

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