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「弁護士のレスが遅い」問題をテックは解決するのか?

これはM&Aクラウドアドベントカレンダー2021の4日目の記事です。

最近やたらよく聞く、「弁護士のレスが遅い」問題について、自分なりに考えてみたいと思い、超絶久しぶりにnoteを更新することにしました。なお、内容はかなり個人的であり弁護士全体に当てはまるわけではないと思いますが、弁護士のお仕事を考えるという意味ではある程度参考になるのではないかと思います。もちろん、ちょっとしたテック技術を導入することによって自分が某法律事務所で仕事をしていた頃よりは作業に要する時間は短縮され、より案件への貢献度の高い仕事に集中できるようになりコスパは断然過去よりも良くなってきていると確信しておりますが、「弁護士のレスが遅い」という傾向はDXやテックではあまり変わらないのではないかと思っております。
個人的には、「弁護士のレスが遅い」のは、業務内容の構造的な問題から生じるものであり、ある程度仕方がない話ではないかなと考えています。正直僕自身なるべく「レスは早く」しようと思っているものの、実際はかなり遅いため言い訳という要素はなくはないものの、なぜ「レスが遅いのか」その理由をいくつか挙げてみたいと思います。

1  そもそも抱えている案件が多い。

まず挙げられるのが、そもそも弁護士が抱える案件数は結構多いという点。僕のような”兼業農家“でも常時20件ぐらいは大小様々なDeal案件を頂いており、キックオフからクロージングするまで多くの案件が並行して走っている状況です。これが専業の方になるとはるかにこれを超える数の案件が手元にあるのではないかと容易に予想ができる状況でございます。つまり、あるクライアント等(仮に「A」とします。)とやり取りをしている間、他のクライアント等(仮に「B」とします。)を常に待たせている状況ということです。Aと間のやり取りを迅速に仮にできているとしたらその分、Bとのやり取りを後回しにしている状況になっているとも言え、AもBも平等に対応しようとすると、基本的には即レスはありえない状況とも言えます(無論、偶々その案件について考えているときに連絡が来たとかという場合は結構サクサクやれると思いますが、あくまで偶然の結果なのではないかなと)。

2  基本的に目の前のことに“全集中”で他のことはいったん忘れている。

上記のとおり複数の案件を抱えている中でいずれかの案件は佳境になるとそれに集中してレスをしなければならないですし、かりに佳境となっている案件がない状況でも、契約書等が長かったり、複雑だったりする場合、当該契約書等に“全集中”しなくてはならない日があったりもします。そういった日は正直メールもSlackもFacebookもTwitterもChatworkもどれも全く見ていないことになります(当該案件の連絡を除きます。)。だいたいそういう場合は夜中に他の案件に関しては集中して返信することになります。なお、このような状況はクライアント等との会議が集中した場合も生じるところであり、クライアント等との会議は内部会議と違い“内職”できるわけではないため、所謂オンラインでのコミュニケーションツールでのやり取りは劣後した取扱いになってしまいます(基本的に目の前のこと以外のことにマインドシェアは渡さない姿勢の先生が多いのではないかと思います。このマインドシェアの一極集中が膨大なマルチタスクをむしろ可能にしているように思いますが、周りの人のリマインド力も結構大事なのかもしれないです。)。

3  外に出す書面は基本ダブルチェック

これはおそらく一般的ですが、法律事務所の場合、アソシエイトがファーストレビューした後、パートナーがダブルチェックする等一つの書面や回答に対して複数の目が入ることが多くその分レスには時間がかかることになると考えられます。

いずれにしましても、大体この辺りの理由が重なって“レスが遅い”ことになるのではないかと思っております。つまり、今貴社で取引のある弁護士事務所の“レスが遅い”のは、安牌を選んだ証拠と思ってある程度仕方ないなと考えていただければ幸いです。“レスが早い”というのは極めて大事なことですしそのためにある程度の犠牲は正当化されるのかもしれませんが、案件を獲得するまでは“レスが早い”もののいざ案件が始まると“レスが遅い”というようなケースも結構あったりしますのでこの辺りは要注意です。

なお、冒頭の世界地図は、自分のTwitterのフォロワーさんがどの地域の方かを示したものです。国際化が叫ばれる中、フォロワーさんは日本に偏っており国際化から取り残されている感が半端ないです。



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